あらすじ
98年の栄冠から幾年月か。客席もまばら、順位はたいていBクラス。チームだけでなくフロントも「最弱」と言ってよかったゼロ年代以降のベイスターズ。そんな球団を変えたのは、野球ド素人の新興IT企業だった。DeNAがベイスターズのオーナーになって10年。今やリーグ屈指の人気球団となるまでの軌跡を、球団社長や中畑元監督といった顔役だけでなく、多くの「無名の社員」たちの仕事と共に追う。ビジネスのノウハウと人間ドラマ。両方のエッセンスが詰まったノンフィクション!
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Posted by ブクログ
塾でおすすめ
本のサブタイトルにもあるように、継承と革新に努め続けた10年というのがよくわかった。
「人気のある野球チーム」と聞くと、試合によく勝つ、強いなどのイメージを抱きやすいが、
ベイスターズの再建録を読むと、
非常に多角的な視点でベイスターズを盛り上げていこうという気概がよくよく伝わった。
映画化もしてほしい本
特に気づきになったのは
・球場経営の工夫
試合途中に花火などのエンタテインメント、無料チケット配布、返金制度、ユニフォームやペンライトなどのグッツ配布、おいしいビール研究など
・ターゲット層の選定
30代男性、既婚者子ありの人でも球場に来てもらうためには?
野球教室やグラウンド開放など、子どもたちに野球に興味を持ってもらうための工夫の数々
(小学生と幼稚園、保育園で派遣する選手を変えるなどは興味深い)
・行政、地域との連携
花火など打ち上げるには行政の許可が必要。
「地域を盛り上げるためにしている」という信頼が地域連携につながり、愛される球団になることがわかった
・他にはマスコット作成、選手育成、スカウト、そしてもちろん監督をはじめ選手との一体感、盛り上げていこうという雰囲気づくりがよくよく伝わった
・球団と球場の経営はかつて別だった
(2016?から統合)
とにかくいろいろな方が登場し、いろいろな立場でベイスターズを支え、盛り上げているのがよくわかった
(出てくる人物は多いが、1人につき10ページ以下で、詳細をすべて記憶しなくてもいいので、気楽に読める)
中には、元選手も登場し、
「あぁ、あの人が!」
と思う方もいた。
全員が全員ではないが、引退後は、球団を支えるというキャリアチェンジも興味深い。
・番長・三浦監督「信頼というものは一瞬で崩れるもの。取り戻すには時間が掛かる。崩れないためには積み上げていくしかない。そうなれば頼はどんどん強くなる」
この言葉が特に心に残った
Posted by ブクログ
横浜ファンとしても、ビジネスパーソンとしても楽しめる内容であった。裏方の苦悩、たえず顧客満足度とチーム強化の中心に横浜という街とともに愛し愛される球団を求めたストーリーが素晴らしい。
あとは悲願の優勝のみ。
いま改革に苦心してる企業の上層部に読んでほしい一冊。かなりためになる。
Posted by ブクログ
1998年10月26日。
日本シリーズ第6戦。
横浜ベイスターズ、38年ぶりの日本一。
横浜スタジアムが熱狂した。
横浜の街が、歓喜に包まれた。
日本中に、名声が轟いた。
だが、ベイスターズの時代は続かなかった。
主力選手が、一人抜け、二人抜け。
数年後には、最下位の常連になってしまった。
そして、2011年オフ。
球団は身売りを発表。
買収先は、新興IT企業DeNA。
ファンの心はささくれだった。
「外れ一位みたいで申し訳ないけれど」
当初の監督候補との交渉が決裂し、初代監督に指名されたのは中畑清。
絶好調男の最初の仕事は、選手や球団職員と大きな声であいさつをしあうところから始まった。
閑古鳥が鳴いたスタジアムに、少しづつファンが戻ってきた。
筒香嘉智。
宮﨑敏郎。
山﨑康晃。
今永昇太。
そして、佐野恵太。
球団生え抜きの選手が、台頭し始めた。
2016年には、12球団最後のクライマックスシリーズ進出。
2017年には、日本シリーズ進出も果たす。
2020年オフには、ハマの番長・三浦大輔が監督に就任。
DeNA球団10年目のシーズンは、「横浜一心」をスローガンに船出をしたが、チームは最下位に沈んだ。
この10年間。
監督。コーチ。フロント。球団職員。そして、老若男女のファン。
数え切れぬ「熱き星たち」の熱と力が記された再建録。
2022年3月25日。
横浜スタジアム。
新たなシーズンが幕を開ける。
「横浜反撃」
栄光への戦いが始まる。
Posted by ブクログ
横浜ベイスターズ。親会社がDeNAとなってから今日まで。弱小球団がチケットの入手困難な人気を得るまで。球団職員を中心とした努力を描く。
野球本としては異質、球団経営、球団職員を中心とした内容。ベイスターズに就職していた職員、親会社から派遣された職員。一丸となってファンサービスに努める姿。
横浜という町の持つ独自の魅力を活かした球団独自のファンサービス。あまりの弱さにせっかくのイベント、ペンライトをグランドに投げ込まれたり。そんな中から少しずつファンの心を掴んでいく。
どちらかというと裏方中心の内容だが最初が初代監督の中畑清、最後が現監督の三浦大輔というところに、筆者の強いベイスターズ愛を感じる。
ベイスターズファンならずとも絶対に楽しめる内容です。セ・リーグなら広島と横浜がファンサービスとしてうまく行ってるように思えます。
Posted by ブクログ
球団に関わる人の熱い想いが伝わってくる一冊だった。特に監督・社長の話ばっかりではなく1社員の話が多く、1つ1つの企画をどんな想いを持って実行していたか、がよく伝わって来た。こんなけ熱い想いを持てて仕事できたら、しんどいやろうけど楽しいやろうなって思う。ちょっと羨ましいなとも感じた。
1つ1つの細かい中身でも、今の仕事で参考にできるマインドとかやれることもあったと思う。
自分は横浜ファンじゃないけど楽しんで読めたんで、プロ野球が好きやったら面白いと思う。オリックス題材でこんな本誰か書いてほしいよなー。
Posted by ブクログ
<目次>(本では「第1プロジェクト」との表記)
第1章 ベイスターズを変えろ!
第2章 スタジアムを満員にしろ
第3章 STAR☆NIGHTを成功させろ
第4章 振興と親交。子供たちのハートをつかめ
第5章 横浜に根差し、地域とともに生きろ
第6章 強いチームをつくれ
第7章 伝統を守れ 革新に走れ
第8章 横浜一心を実現させろ
<内容>
”大洋ホエールズ”から”横浜ベイスターズ”になり、親会社が大洋漁業(現マルハニチロ)からTBSを経て、DeNAに変わっていった時期を、裏方の関係者ヘのインタビューを中心に(中畑や三浦へのインタビューもある)、どのように現在の人気チームにしていったのか、を綴ったもの。やはりMLBを参考にしているが、いろいろな業種を参考に、ファンを増やし、ファンに愛され、結果強いチームになっていく過程がわかる。教え子の女の子もいつの間にかベイスターズファンになり、球場に足繁く通っているらしい。この本を読むと、そうした事実も裏付けられ、腑に落ちた。DeNAというネット系の会社が親会社ならではのフットワークの軽さ、仕掛け、コンピュータを使った事業など、従来の日本のチームにないやり方が、マッチしていると思った。
Posted by ブクログ
ベイスターズが不人気球団から人気球団へと変革できた軌跡を追った本。球団職員へのインタビュー中心に構成されています。
やはり経営権がTBSからDeNAへ移ったことが大きく、各種イベントやチケットが変わり観客動員数が右肩上がりになりました。DeNA社員は仕事が早く、IT関係も詳しいので様々な変革が可能に。
私はヤクルトファンですが、ベイスターズファンでなくとも面白く読める本だと思います。
Posted by ブクログ
経営がDeNAに移った2011年から2021年までの10年を、主に球団・スタジアム職員の目線から語る。選手がプロなら、そこで働く"会社員"もプロ。課題だらけの組織をどう変えていくか、自分の仕事に誇りを持つことの大切さなどが伝わってくる熱い一冊!
Posted by ブクログ
「再建録」のタイトルにふさわしく、たくさんの関係者のコトバを集めて、ルポルタージュ的にそれぞれの場面を並べてありました。共通するのは、誰一人順風満帆ではなかったこと。裏方さんにも感謝しながら、今年の「横浜反撃」を期待して応援しよう!