【感想・ネタバレ】晴れ晴れ日和 3のレビュー

吉村佳

ふたりぽっちで暮らす千晴とルイは義理の姉妹。
夏の嵐の日、千晴は自分の小学校時代のことを思い出し
ルイを心配するが、ルイもまた千晴を思いやる。
「晴れ」と「雨」の物語――。

[ブクログ · ★★★★☆]

1巻時点からほのかに匂わせていた、人物それぞれのバックストーリーによぎる暗い事情。遂に千春を形作った幼少期が描かれたことで、今後の物語の動きがどうなるか、期待はいや増すばかりです。

ルイと千春の"家族の物語"と、彼らと周囲の人たちの抱える内情を掘り下げる"個人の物語"。それらの人間ドラマがストーリーに無理なく絡む展開が素晴らしいですね。
作品世界を丁寧に拡大すると同時に、一人ひとりへの掘り下げが生み出す緊張感による場の引き締め。それでいて、決してシリアスに寄りすぎないバランス感覚も、大変魅力的です。