【感想・ネタバレ】東京 消える生き物 増える生き物のレビュー

あらすじ

高層ビル街でハトを狩るハヤブサ、街路樹を住処に数を増やすアオスジアゲハ、巣を作れず減り続けるスズメ……。動物たちがいかに環境に適応しているかを探れば、大都会の姿がガラリと変わって見える。都市の「野生の王国」の姿を生々しく描く驚きの書!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

東京区内を中心に、地域から消えた(絶滅した)生物と、逆に流入して増えた生物について書かれた内容。
人間が環境を変えた結果、その地に棲んでいた生物がどう変化したかを、江戸時代、1960年ごろ、現在の比較で書かれている。

外来生物というのは比較的良く耳にする話だが、その制定がされる前から流入してきている生物などの話もあり、ぼんやり認識していたものの解像度が上がる感じがして良かった。個人的には園芸でパンジーの栽培が流行ったことにより、一部のチョウが増えてしまった話が面白かった。

自然保持という話はよく聞くと思うのだが、どの時点の環境まで戻すのを最良とするのかが少し疑問に思った。里山にいる動物を戻す活動というのは、人工的な環境下で不自然に繁殖した生物群の状態に戻すだけではないのか。果たして、それは正常なんだろうか。

高次消費者が何らか活動をするとそれに引っ張られて生物は増減するわけで、極論してしまうとヒトが日本列島に流入した段階から変化は起きていたはず。仮にこの先ヒトのせいで生物が減少し、その影響でヒトが減ろうとも、むしろそれが自然なことなのではないかなどと思った。

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2025年09月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

意外な接点
たぶん中学生の頃だと思うが、科学の発達(人間が利便性を追求したこと)によって引き起こされた公害、自然破壊こそ、その科学の力で解決、自然を回復させれば良いと思っていた。本書を読んでみると、”自然保護”という誰もが簡単に発する言葉を、実際に行なってみようとすると、その定義付けが難しい、複雑な概念であることが分かる。”自然保護”を人間が自然に対してまったく働きかけを行なわないこととするならば、現在の自然環境は変化し、現在そこで生活している生物達も変化してしまう。また、自然に働きかけを行なうにしても、どこまで、どのような働きかけを行なうかは、各自然保護活動団体によって、まったく意見が違うという。そもそも、江戸と呼ばれる地に人間が住み始めて以来、多かれ少なかれ自然破壊は行なわれてきた。現在の自然を部分的であれ、どの時点まで戻すか。悩ましい問題と言えないか。 →人類が消えた社会

以下、引用省略。

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2014年11月29日

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