【感想・ネタバレ】日本人はなぜ無宗教なのかのレビュー

あらすじ

いまや日本人は自分たちを「無宗教」と規定して、なんら怪しむことがない。しかし、本当に無宗教なのだろうか? 日本人には神仏とともに生きた長い伝統がある。それなのになぜ「無宗教」を標榜し、特定宗派を怖れるのか? 「……私は、宗教とは、人間がその有限性に目覚めたときに活動を開始する、人間にとって最も基本的な営みだと理解している……」。著者は民族の心性の歴史にその由来を尋ね、また近代化の過程にその理由を探る。そして、現代の日本人に改めて宗教の意味を問いかける。

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Posted by ブクログ

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日本人の無宗教観の理由を考える書。

近代化の過程で、国家神道が宗教ではなく国家祭祀であるという名目の反面、宗教は心にとどめるもので社会性を持つ宗教(キリスト教など筆者は創唱宗教という)は「信教の自由」に反するとした。

また、近代の国家神道をつくる過程で多くの神社の再編統合により縮小された結果人々の親しみのある神の多くは、国家の正統のものではないと見なされ、よき臣民たるには国家神道を尊重し、実質「無宗教」性が要請された。それが残っている。

一方で筆者はムラ社会からの日常主義をこの無宗教性に作用したという。

一神教などは時に国家権力と緊張をもたらすが、ムラ社会の日常主義は、日常生活に問題を及ぼすようなものは受け入れない傾向があった。古くからあった自然宗教はこの日常主義の要請のもとに結果的に日常と緊張をもたらさない様式、形式化して、世俗化する。それが例えば葬式仏教に見られる。

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2012年04月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

宗教には「自然宗教」「創唱宗教」とに分かれる。あなたの宗教は何かと聞かれ無宗教と答えると人間であることを否定することになる。無宗教という言葉は実は自然宗教をさしており、日本列島に属しているので無宗教という言葉で済ますことができる。初詣に80百万人も出かけるのは日本人の多くが自然宗教の信者であるから。お盆のときに大混雑という苦行の中、多数の人々が故郷に帰る。
では自然宗教とは何かというとご先祖様を大切にする気持ちやむらの鎮守にたいする敬虔な心。人は死ねば一定期間子孫の妻子を受けることでご先祖になることが信じられているし、やがて村の神様ともなりときには孫となて生まれ変わることができる。盆に帰省するのはもともと先祖たちと交歓するため。
我々が無宗教を口にする要因の一つが習慣となってしまった宗教は宗教ではないという思い込みがある。神道は自然宗教を基盤として生まれたが自然宗教そのものではない。中国の思想によって再構築されたものであり、創唱宗教と自然宗教の中間にある。

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2012年08月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 創唱宗教と自然宗教という概念はとても勉強になり、無宗教という言葉に対しても味方が変わった。
 天皇制という言葉がたびたび出てきたのは気になったが、、

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2023年04月29日

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