あらすじ
15歳の僕と14歳にして名探偵のルンババは、家も隣の親友同士。中三の修学旅行で東京へ行った僕らは、風変わりな姉妹と知り合った。僕らの冒険はそこから始まる。地元の高校に進学し大学受験――そんな10代の折々に待ち受ける密室殺人事件の数々に、ルンババと僕は立ち向かう。鮮烈!新青春エンタ!! (講談社文庫)
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Posted by ブクログ
舞城王太郎先生の作品は二作目!!!
やはり大好きな文章の疾走感とワードセンス。
しかしそれは面白いだけでなく、ダイレクトに登場人物の心を伝えて、直で自分の心を揺さぶられる感覚になる。
起こる事件自体は様子がおかしいものが多いが、そこも面白がりつつ、人間の感情を極端に伝えてくれていると感じた。
次読む本も楽しみ!
Posted by ブクログ
舞城王太郎スタイル健在。
破綻しそうな危うさを常にちらつかせつつ、勢いに乗ってなんとか崩れることなく最後まで突っ走った感じ。それでいてクライマックスの盛り上がりにはすっかり心を持っていかれ、終わればやっぱり☆5つ付けてしまう。
人生はこんなふうに、キレイにまとまらずに疾風怒濤と流れていくものかもしれない。
ルンババこと番場潤二郎とユキオこと西村友紀夫の12歳から19歳までの物語。基本、ユキオ目線でルンババが観察される。
ユキオが暴力的な子じゃないおかげで、今回の話はいくぶん暴力に怯えることなく読めた。まぁ、周囲の人間にぶっ飛んだヤツが多すぎるけど。
それなりにミステリ調の事件はいくつか起きて、名探偵に成長したルンババが惜しげもなく謎解きするけど、総括すると本作品はミステリじゃない。
死体にカツラを被せて着替えさせて変なポーズ取らせた連続殺人は実は絵画作品の見立てだったとか、死体が執拗に動かされた跡が実は死体を出演者にコマ撮り動画を制作したからとか、トリック(?)のアイデアはめちゃ秀逸(?)だけど、ミステリに仕立てるにはストーリーの組み立てのセンスも大事なんだな、と、多分舞城王太郎はそこを目指してないのにミステリ脳な自分は勝手にそんなふうに考察した。
大切な人を不慮の事故で失った人は、多かれ少なかれ自分を責めるんだろう。何故あの時自分は助けられなかったのかと。ずっと苦しんでたルンババにずっと寄り添ってきたユキオは、ルンババが弾けてしまった時に諦めずに勇気を出して救えて良かった。ルンババは救われたし、ユキオも、責める側になりかけてた自分を救ったのだ。
友達って、イイね。(←陳腐な表現にしかならない語彙力を呪いたい)
ハーケンクロイツの回転箱家で、菅原悠のオリジナル作品の見立てを4コマ漫画に仕立てて菅原を閉じ込めたのは奈津川家の誰なんだろう。センス的には明らかに二郎だけど、ルンババは多分三郎と同じ歳だから(うろ覚え)、もう二郎は蒸発した後だし、一郎や三郎や四郎の仕業とも思えないし、丸雄なのかな。
で、ルンババが三郎と懇意になるのは、もしかしたらこの事件の未解決の部分を明らかにしたかったからなのかな。
で、で、『煙か土か食い物』のルンババの壮絶な最期を思うと、ちょっとやるせないよね。
Posted by ブクログ
名探偵ルンババ12と僕の密室に関する話し。主人公が中学生というのも無理筋だし、密室がたくさん出てきて、猟奇的な殺人事件が続き人が死にまくるのだが、謎解きの部分はあっさりしていて、たぶん、そこがモチーフではなくて、どうして密室が作られたのかが重要だったのだと思う。井上えのきという2つ年上の女の子と僕とルンババの三角関係が少し微笑ましい。
Posted by ブクログ
舞城王太郎さんは、覆面作家ということで、正体不詳の謎の人物でありますが、年齢は1973年生まれということみたいですが、ということは、平たく言いますと、ええ歳になったオジサン、という事ですよね。男性だったならば。
そう考えますと、何故にこう、年齢を重ねても、こうも瑞々しい文章を書けるんかなあ?と思うのですよね。
この小説の主人公は、中学生くらいの少年であり、その彼の一人称の形で話は進んでいくのですが、はあ、まるで自分が、中学生の少年であったかのように、あるかのように、舞城王太郎さんが、この地の文章を書く事ができるという心の若さ。それはどこから来るのだろう?どうして生み出せるのだろう。
いやあ、言葉を綴るというのは、不思議だなあ。そう思いつつ、読み進めたのでした。