【感想・ネタバレ】音盤の来歴のレビュー

あらすじ

ここには、人間を生かそうとする言葉が書かれている。──永井玲衣

1枚のレコードを通じて関係する、無数の人生。この世界を諦めずに歩んでいきたいと思いました。──後藤正文

虐殺が続く世界の片隅で、静かにレコードに針を落とす。音楽に守られた日々の記録。

アメリカで神学と人類学を学び、自分のVOICEを探す日々の裏で、心の支えとなった音楽があった。ブルーズ、ジャズ、ロック、ソウル……いまも保持する愛着の深い音盤群と、ニューヨークで、ノースカロライナで、そして沖縄で出会った心やさしき人々との交流をもとに語る生活の記録。ガザで、ウクライナで虐殺が続くなか、音楽はシェルターとなりうるか? 若き神学・人類学者による、世界の片隅からの祈りにも似たメッセージ。

“わたしがレコードを聴いていたのも、結局は似たような理由からだったのだと思う。ときにあまりに残酷で醜悪な世界から身を隠すため。閉ざされた内密の空間で生を実験するため。歌ってみたり、踊ってみたり、もうひとつの世界を、ありえたかもしれない今を想像したりして。もちろんレコードは片面二十分足らずで終わってしまうのだけれど。そしたらまた針を落とせばいい。そうしている少しの間、この世界をかたわらへ寄せて、別の世界へ、あるいは別の惑星へ。”(「あとがき」より)

【目次】
はじめに

■Side A
アラン・トゥーサンと過去をかたわらに寄せることの勇気について
ライ・クーダーとチャイナタウンのアパートの屋上から見えた月
レオン・レッドボーンと初めてのレコードプレイヤー
メイヴィス・ステイプルズを聴きに501に背を向ける
ハービー・ハンコックとアメリカで車を売ること
ドニー・フリッツと自由の瞬間
ビートマスとレコードのないクリスマス

■Side B
ドクターQが教えてくれたり、教えてくれなかったりしたいくつかのこと
『アメイジング・グレイス』を探して
フランシスコのサンクチュアリ
黒いキリスト、メアリー・ルー・ウィリアムスを記念して
豚と詩人
レコードにまつわる抜き書きのアーカイヴ、あるいは百年目のボールドウィンへ
細野晴臣を聴いていた夜のこと
クラシックでしまくとぅば
ドン・コヴェイがシャウトする朝

あとがきにかえて

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Posted by ブクログ

中島みゆき『僕たちの将来』や井上陽水『傘がない』は、社会問題より目の前の現実のほうが大事だと歌うが、この2つは断ち切れないのだとほのかに感じさせる

世界で起きている虐殺や人種差別を、レコードに纏わる自らの来歴と絡めたエッセイ
読みながらこの2曲を思い出した

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2025年08月17日

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