【感想・ネタバレ】チャンドラー講義のレビュー

あらすじ

「孤独」な探偵マーロウを通して浮かび上がる、「自分の居場所」を探し続けたチャンドラーの人生。

<マーロウ>シリーズにおける「ハードボイルド」のイメージのゆらぎに着目し、
伝記的情報とともにレイモンド・チャンドラーの成長と変化、実存に迫る画期的挑戦。
詩やエッセイ、パルプ作家時代の短編から映画シナリオまで徹底分析。
ファン必読必携、チャンドラー研究の完成形にして決定版!


「フィリップ・マーロウという名前を見るだけでときめく。
ぼろぼろの現実を忘れさせてくれる「夢の男」。
文学史上一度だけ現れた幻とさえ感じていたけれど、
本書によって、その誕生の秘密を知ってしまいました」
――穂村 弘



第一講 イントロダクション
第二講 チャンドラー以前のチャンドラー 詩とエッセイ
第三講 パルプ作家時代 短編小説
第四講 マーロウ登場 『大いなる眠り』
第五講 シリーズの始まり 『さよなら、愛しい人』
第六講 弱者の味方 『高い窓』
第七講 戦争の影 『水底の女』
第八講 チャンドラー、ハリウッドへ行く 映画シナリオ
第九講 依頼人のいない世界 『リトル・シスター』
第十講 キャリアの集大成 『ロング・グッドバイ』
第十一講 チャントドラー文学の到達点 『ロング・グッドバイ』
第十二講 未完のプロジェクト 『プレイバック』

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Posted by ブクログ

ネタバレ

『大いなる眠り』『さよなら、愛しい人』『高い窓』
『水底の女』『リトル・シスター』
『ロング・グッドバイ』
『プレイバック』

レイモンド・チャンドラーの作品の解説や人生。とても面白い。フィリップ・マーロウのシリーズとチャンドラーの短編集を読みたくなった。

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2025年09月26日

Posted by ブクログ

講談社 諏訪部浩一氏の『チャンドラー講義』

文庫本化するまで待とうかなとも思ったのですが、こういった本は文庫本にはならないのかな、とも思ったので。

『チャンドラー講義』の12章の章立ては以下の通りです。

1. イントロダクション
2. チャンドラー以前のチャンドラー- 詩とエッセイ
3. パルプ作家時代- 短編小説
4. マーロウ登場 - 『大いなる眠り』
5. シリーズの始まり - 『さよなら、愛しい人』
6. 弱者の味方- 『高い窓』
7. 戦争の影- 『水底の女』
8. チャンドラー、ハリウッドへ行く- 映画シナリオ
9. 依頼人のいない世界- 『リトル・シスター』
10. 人間としてのマーロウ- 『ロング・グッドバイ』(1)
11. チャンドラー文学の到達点- 『ロング・グッドバイ』(2)
12. 未完のプロジェクト- 『プレイバック』

チャンドラーの作品を、それが書かれた際の時代やチャンドラーの年齢や立場をもとに読み解いています。

諏訪部さんはチャンドラーを単なる「ハードボイルド作家」としてではなく、探偵小説の枠を超えてた作家として捉えています。また、チャンドラーの作品が持つ「揺らぎ」や「変化」に注目し、彼が一貫して自己のスタイルを模索し続けた作家であるとも書かれています。

って私は批評家でもないので、細かいところはいいのですが。確かに作品ごとに少しづつ違うマーロウ像への理解を深めるにはとても良い講義だと思います。また、チャンドラー自身の苦しみが反映されているからこそ、容易ならざるシリーズものとして、彼の7つの長編がそれぞれ傑作になっているんだろうなぁと思いました。

ただチャンドラーはとても好きな作家ですし、個人的にはあまり批評的に掘り下げたくはないかな、とも思いました。自分が読んだ際の感性や感動を大事にしたいなとも思ってはいて。

それだからこそ、諏訪部さんがあとがきで「「タフでなければ、生きていけない。優しくなければ生きる資格がない」という美学は相対化できるようなものではなかった」とも書かれていて、なにかわたしもそれを読んでほっとしました。
ああ、プロの訳者さんや批評家さんも、みんな本当にフィリップ・マーロウが好きなんだなって。

レイモンド・チャンドラーが好きで、フィリップ・マーロウを愛していて、もっとその世界観を深めたい人にはおすすめの解説書です。

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2025年05月01日

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