あらすじ
名探偵を自任する女子高生、美智駆(みちかる)アイは突如、推理のための頭が働かなくなる。
そこで助手の取手(とりで)ユウは、”面倒くさい小話をまじえた推理”なんていらなくない?と
推理なしで事件の解決をもくろむが……。日常の謎や旅情ミステリ、果てはエロミスまで!
推理の常道を突き進んだ女子高生探偵・アイと助手・ユウの目には何がうつるのか?
前代未聞の真相に驚愕するメフィスト賞受賞作がついに文庫化!
〈本格推理を極めんとして道を外れた者が堕ちる《魔境》ーー
女子高生探偵シリーズはその攻略に挑んだ前人未踏の裏本格レポートである。〉.
(法月綸太郎)
〈ユーモアに隠されていた数々の手がかりを、シャープに解き明かす手際はさすがの一言に尽きる〉
坂嶋竜(文庫版解説より)
※かつてノベルス版として刊行時、本格ミステリ界に激震が起きた。
・法月綸太郎、微笑―― 第『53』回受賞作はメフィスト賞の『ジョーカー』だよね?
・青柳碧人、感嘆! 歴代すべてのメフィスト賞受賞者と、今後すべてのメフィスト賞受賞者に
贈る傑作(僕、受賞してないけど)。
・円居挽、憤然! やりたい放題やんけ! 不覚にも面白いと思ってしまったけど……オレもこれやりたかった!
・早坂吝、推薦! 昔のメフィスト賞では出し得なかった「最新」受賞作を見逃すな!
・白井智之、愕然! 196ページ(ノベルス版)を読むまでは舐めてました。本当にごめんなさい。
※本書は2017年9月に刊行された『NO推理、NO探偵?』(講談社ノベルス)の文庫化に際し、サブタイトルを追加、本文に加筆・修正を加えたものです。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
究極のメタミステリ。ミステリに推理はいらないというミステリを真っ向から否定する作品でありながら、犯人当ての伏線回収は怒涛で「こういうやり方もあるのか!」と唸った。そして、最終章の“推理”はもはや異次元の領域と言っても過言ではないだろう。メタミステリは異質な作品しかないが、この作品は特にそうである。
Posted by ブクログ
ずっとつまらなくて、途中で投げたくて投げたくて、でも最後まで読んで一気に評価が変わった!最後が面白いって聞いてなかったら絶対に読むのやめてた。寒い内輪ネタ多くてミステリ好きじゃないと面白がれないのに必然的にミステリしないつくりがもったいなさすぎる、でもどうしようもない……。最終話は笑ったし驚いたしメフィスト賞らしくてとってもよかったけど、そこまでの苦難が長すぎて他人に薦めづらい。続編読もうかな、というくらいにはよかった。
Posted by ブクログ
ただただ「メフィスト賞を受賞するためにやりきった!」という気概が否が応にも伝わってくるミステリー(と言っていいのか?)作品で、突然推理力を失った女子高生探偵とその助手が推理力抜きで事件を解決していく流れは良くも悪くも「そんなのありかよ!」と思わせるのに十分なパンチが効いてた。「やっぱりメフィスト賞は懐が深い…」と再認識した作品でもあった。賛否両論あるだろうけど自分はこういった作品も大好き。
Posted by ブクログ
主人公が自身を小説の登場人物とわかった上で大暴れするメタユーモアミステリ?
東野圭吾の名探偵の掟もそんな感じだったけどもっと掟破りな感じで新鮮な体験だった
文庫化の際にめちゃくちゃ加筆修正して大変だろこれと思った
Posted by ブクログ
冒頭、催眠術師によって探偵の美智駆アイは「推理」を封じられる。だから、「推理」は登場しない。いろいろとあった謎や不可解な伏線は、事後、実はこういうことだったのだという情報開示があって、なるほど、そういうことだったのね、と納得するタイプの短篇が続いていく。
しかし、最終話になって、改めて過去の事件が振り返られる。実はちゃんと推理で結論に辿り着けることが改めて示されて、メタ小説であることも合わせ技になって、本格(?)謎解きが始まる。その一瞬のカタルシスは、確かに間違いなく本格ミステリなのかもしれない。でも、そこまで辿り着くまでは、ラノベ調の女子高生のうにょうにょ会話に付き合わなきゃいけないし、メタ構造の文章にも付き合わなきゃいけない。でも、まあ、そうね。それを乗り越えたら、面白いと思うし、そういう作品である必要性もあるわけで、面白かった。
Posted by ブクログ
65点:「まちがいない。どうせ、あんた地の文とやらで色々しでかしてるんでしょ?だったら出してよ、『読者への挑戦状』を」
女子高生探偵「アイ&ユウ」=「探偵DEゆとり」がメタ構造の連作短編集で、ミステリジャンルを踏破する!と言った感じか。この作品がメフィスト賞を切望し、選考編集者はなんとかこの作品にメフィスト賞を受賞させたいと腹をくくった情景は最終話をみれば理解できる。ミステリ愛がメタ構造を通じて一気に噴出する様はとても感動的だから。
ただ受賞に反対した人の気持ちがわかるのは、最終話にいくまでの話が正直言って読むのがしんどすぎるから。最初の4話に最終話にむけての伏線が散りばめられてるとしても、一応連作短編なのだから1話ごとの完成度、あるいはキャラの魅力度をあげていかないと最終話にいくまでに挫折してしまう。
最後にどんでん返し的なものがあるからという理由で途中はぱらぱら読みしながらなんとか読み終えることができたということは告白しておきます。