【感想・ネタバレ】悪女ですので、あしからず。 処刑された令嬢は二度目の人生で愛を知るのレビュー

双葉愛 / ふぁすな

王国で愛される女神ラトラと同じ見た目を持っていたせいで、処刑された令嬢・アイリス。そんな彼女はなぜか同じ見た目のまま逆行転生してしまう。このままでは再び初恋もかなわず、女神に弄ばれて死を選ぶような人生に？ そんなの絶対にお断り！ そう心に決めたアイリスは、女神を打ち破り、初恋の相手であるリュートや、前世で失った全てを取り戻すために動き始める。しかしそんな第二の人生を歩もうとしているうちに、アイリスは女神からの歪んだ寵愛とその弱点に気が付いて――？ 女神すら利用する最強の悪女が織りなす、人生奪還ファンタジー、ここに開幕！ ※電子版は単行本をもとに編集しています。

[ブクログ · ★★★★☆]

いわゆる死に戻り物語。
処刑された主人公が一度目の人生の記憶を持ちながらもう一度人生をやり直す話だが、復讐相手は王家や親ではなく国が信仰する女神という点が興味を引かれ購読。
一度目の人生では女神によく似た風貌のために信仰を集めてしまい、だんだんと人間では無くなることに怯えた末に悪行に手を染めていく主人公。
二度目の人生はそもそも信仰を集めないように立ち回りつつ、復讐相手の女神を陥れようとするもの。
高位貴族であり王太子の婚約者である主人公自体そもそも性格も高慢ではあるが、人間で無くなることを恐れたり、婚約者の目が見えなくなり婚約そのものが無くなりそうになると弱音を吐いたり、一度目の人生での最期が甘いシロップ入りの毒だったために二度目の人生では甘いものが苦手になってしまったりと、ときどき人間味が垣間見えるところが読者を完全に突き離さない。
どんな相手もピシャリと叱りつけやり込める主人公にスカッとする作品。