【感想・ネタバレ】知里幸恵物語 アイヌの「物語」を命がけで伝えた人のレビュー

あらすじ

アイヌ独自の文化の華ともいえる叙事詩ユカラ。本書の主人公、知里幸恵(1903-1922)は、その日本語訳をアイヌ民族として初めて行った人である。幸恵は、東京の金田一京助博士の家に寄宿し、ローマ字でユカラを表記、それを日本語訳にする作業を始めたが、4か月後、日本語訳を完成させた直後に夭折する。19歳という若さであった。彼女は、何百年にもわたる差別の歴史のすさまじさに傷つき苦しみながらも、自分の進むべき道を見極め、そして恋に泣き、もっと生きたいと願った。幸恵は言う。「わたしはなみだを知っている。試練を知っている。わたしはアイヌ。どこまでもアイヌよ!」アイヌの宝である神謡集を、命がけで後世に書きのこそうとした幸恵。本書では、短い人生ながらもひたむきに生き抜いた幸恵の生涯を、事実に基づいて紹介するノンフィクション(小学校高学年以上向け)。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

北海道に行く前にぜひ読んでおきたい。
知里幸恵さんの人柄にひきこまれる。
子どもから大人まで、多くの人におすすめ。

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2024年01月20日

Posted by ブクログ

アイヌの人びとは、おもに北海道を中心として、南樺太や千島列島、本州の東北地方で生活していた先住民族。
アイヌの人びとは、和人をシサム(隣人)と呼んできたが、和人はアイヌの人びとを、15世紀ごろから江戸時代、明治、大正、昭和に至るまで偏見と差別にさらしてきた。
もともと、アイヌの人びとは、さまざまな地域・民族との交易を行っていたが、それを禁じ和人が独占できるようにし、それがどんどん不平等なものになっていった。
更に、アイヌの人びとには、土地の売買という習慣がなく、また文字も持たなかったので、契約書などを読むことができなかった。そこにつけこんで、さまざまな規則や条例を作り土地を取り上げてしまった。
また、日本語を使うことや日本名を名乗ることを強制した。
このような、アイヌの人にとって厳しい時代を生きてきた主人公・地里幸恵さんは、言語学者・金田一京助との出会いによって、このままでは消えてしまうであろうアイヌの言葉や語りつがれてきた物語を後世に残していくことが自分の使命だと取り組みます。
日本語には無い発音を表記するためにローマ字を使うことや、より読みやすく親しみやすいものになるよう日本語訳を練り上げました。

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2021年12月28日

Posted by ブクログ

明治36年に北海道のアイヌの娘として生まれて、口承文学だったアイヌの物語を書いて本として残した知里幸恵の伝記。
アイヌ民族は、北海道を中心に生活していた日本の先住民で、日本語とは異なる独自の言語を持っています。日本語を話す大和民族(和人)をアイヌの人たちは、隣人と言う意味のシサムと呼んでいたが、和人は、15c頃から、江戸、明治、大正、昭和まで、偏見と差別にさらしてきた。アイヌの人々は、文字を持たない。口伝えで物語を楽しんできた。幸恵の生きた頃も、アイヌの人達は、日本政府や和人から差別されていた。
学校でも、アイヌの人たちは差別に会う。小学校では先生でも差別する人がいた。

女学校の2年生の時に、言語、国語学者の金田一京助と出会う。交流が始まる。金田一のアイヌの伝承文学はすばらしいとの言葉に、幸恵は喜ぶ。それから、金田一と幸恵の交流が始まり、やがて、東京の金田一の家庭で本の出筆を始める。しかし、出版される前年に、心臓が悪かった幸恵は亡くなったかしまう。19歳だった。

アイヌの人たちが長らく差別されていた事が、悲しく苦しい。体が弱いながらも、勉学に励み家族と離れて旭川の母方の伯母マツと祖母モナシウクを助けた。根性がありすぎ。また、曾太郎と恋に落ちて、婚約までするのも、
早死にしたのは本人も周りも悔しかっただろうが、すばらしい人生だったのではないか。

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2024年12月04日

Posted by ブクログ

「アイヌ神謡集」を著した知里幸恵の生涯を描いた児童向けの伝記。大きな活字とふり仮名で読みやすく、子どもたちへの配慮が行き届いている。何より、知里幸恵を天才や偉人ではなく、さまざまな困難に立ち向かい、恋に悩み、進むべき道を探した少女としてとらえている。わずか19歳で亡くなるまで、ひたむきに生きた人生が感動を呼ぶ。

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2024年07月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

銀のしずく 降る降る まわりに
というフレーズは聞いたことがあったが、シマフクロウが湖面を飛ぶ様子を表現したアイヌの歌物語だと初めて知りました。こんな人がいて、アイヌの文学が伝承されていたのだと感心しました。金田一京助もえらい!

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2017年01月04日

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