あらすじ
しずかな波音、やさしい食事、ぬくもる温泉、そして何よりあなたのための一冊を。戦前から続く海辺の老舗旅館・凧屋の名物は様々な古書を収めた文庫=図書のコレクション。少しばかり“鼻が利きすぎ”な若女将がすすめてくれる「お客様と同じにおい」を纏った文豪たちの小説が、訪れる人の人生を揺らす―。
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Posted by ブクログ
この本の匂いは、私にとっては心地良いものでした。
旅館の若女将 円がお客様に合う1冊をお客様へ渡す
その本の感想などを話しながら、その1冊から1歩すすんでいくお客様。
その海老澤文庫を巡っての、なんともいえない かくされたストーリー。
かなしくも 前へ1歩踏み出せる1冊だと私は思います。
Posted by ブクログ
名取さんの作品にハマってずっと読んでいますが、今回も良かったですね!図書室シリーズの時と同様に今回も5冊の本が出てきて、旅館に泊まりに来た人達に必要な本がそれぞれ紹介されます。ちなみに5章あって5冊の本が出てきますが、毎度のことながら私はどれも読んだことはありませんでした(._.`)
最後の夏目漱石の「こころ」にちなんだ話しがやはり1番良かったですね!次がその最後と少し関わってくる川端康成の「むすめごころ」が好きでしたね。
作中の「あなたは恥も罪も感じなくていい。あなたに血をつないでくれた皆のことを好きなままでいなさい。」「私達の人生は誰かの懺悔や復讐のために存在するのではない。私達の人生は私達のものだ。」「誰かのせいにして責めてばかりいると、そこから動けなくなっちゃうからさ。怒りや恨みをいつまでも掴んでないで手放すのはどう?」「赦して、手放すか…」「人間は赦すことができる。赦しはきっと、善悪を超える」とゆうのがとても心に残り、考えさせられました。赦すって難しいけど、持ち続けるのもシンドいものですよね。だからこそ、それが出来た呉朗さんを尊敬したし、感動しました。そして、そこからの三千子さんの「にいさん」呼びには泣かされました。
まだまだ名取さんの作品があるのでたくさん読みたいですね!