あらすじ
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これはどうでもいい手紙ではなく、「じゆうりつ」なんだ
メッセージアプリの消えない「入力中…」、雨音が聞こえ続けているカーテンの向こう側、授業中に回される小さな折り手紙。
■■■の存在を意識した時、物語は再び動き始める。
『かわいそ笑』『6』に続く、新進ホラー作家・梨の単著第3作目!
299の断片が紡ぎ出す、聞こえなかった旋律と戦慄──
恐ろしく、そしてどこか儚い。
──四季凪アキラ(にじさんじVTuber)
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Posted by ブクログ
短い自由律短歌の連続なのに、毎回きちんと怖い。
面白かった。
セーラー服の少女が屋上から地面を見下ろしている様子が脳裏をチラつく。
最初は詩集かと思っていたのに、通して読めば関係性が薄らと見える。
以下、特に好きだったもの
朝焼けに黒い液体をまきちらして、夜を散骨するように
いっぱい名前を呼んでくれた、死体になってはじめて
夢に出てきた故人にふれると、ブラウン管に
指でふれるときと全く同じ、やわらかな拒絶の触感がする
空が肌色のときだけ現れる鉄塔
一匙のくすりの粉をわけあった日が
プラセボになれますように
静物画みたいな葬儀だった
名札の安全ピンが初めての自傷だった少女が
頭の中で空に泳がせていた魚
カショオする専用の
うどんの茹で方があるように、
幽霊になる専用の
死に方があるんだと思う
Posted by ブクログ
小説ではなく、詩集。
クスッと笑えるようなものから、前後の出来事がありありと想像できてしまうぐらいの一文もあって、ドキッとする。
ホラーとギャグは紙一重なところ、それを手紙(自由慄)という形式で見せてくるのは、すごく良い。そういうやり取りなら、少し笑ってしまっても、作品の全体の雰囲気は崩れたりしない。ちゃんと、気持ち悪さと怖さがある。
好きだなと思うのに、多分、万人受けしないので人に勧めるのは難しい作品。
この作家さんの言葉選び、好きなんだよなあ。
年代的には何だか刺さるものが多かったように感じる。ブラウン管の画面を触った時のあの感覚は、今はもう伝わらない人も多いだろうなあ。
今は画面に触ってなんぼですもんね。
Posted by ブクログ
自由律俳句初心者でも楽しめるような遊び心に満ちていて、しかもちゃんと怖い。短い単語の連なりがここまで怖くできるのかと感心してしまう。なんでエピローグから始まるのかを考えながら読み進めるのもワクワクする。
楽しい思い出になれなかった、大切だった記憶に、その残滓に苦しめられる様を断片的な言葉たちから自発的に想像させる構成に惚れ惚れ。
Posted by ブクログ
怖いよりも懐かしさ、寂しさ、儚さを感じる詩集。
この年齢特有の心の不安定さがうまく描写されていると思いました。
各章を見ていて気づいた。
・プロローグ
詩歌・小説・戯曲などの前置きの部分
・エピローグ
詩歌・小説・演劇などの終わりの部分。
これが逆になっているという事と日付を見て読者は逆方向に読んでいるのかな?
そうなると読んだ後の感じ方が変わるので面白い
Posted by ブクログ
8月31日から遡る形で7月1日のじゆうりつへと続く。友人の死と幽霊になって現れる生と死の痕跡。死に憧れた友人のその最後は分かったような分からないようなうすらぼんやりしたものだが、友人への愛惜の情がそこはかとなく漂っていて不思議な世界観だった。
装丁もいい
Posted by ブクログ
・2月6日に読み始め、10日に読み終えました。
・おもしろかった~。梨さんの本(流通に乗ってる本)はその怪文書を読みましたか以外たぶん全部読んでるんだけど、どれもガラッと変わった構成とか手法で書かれてて、シンプルにものがたりがうまい……と読むたび思っている。
・『かわいそ(笑)』と『6』読んだときは梨さんの話ってキモくて嫌(なのが良い)だな~って思ったけど、今作は全然そんなことなかったな。個人的には全然怖くもなかったかも。ふつうに少女の自由律句集から成る物語みたいな感じで読んじゃった。
・まあ、冒頭の凡例のおかげで、単なる物語として消費できないようになってるんですけどね。ほんとにうまい。
・句(…?)の内容的にはなんというか、たぶん5年前くらいは好んで読んでた系統なんだけど、ここ最近自傷とか精神疾患をコンテンツとして見ることがあまりできなくなってるので、直接的なものはあんまり…!って感じだった。だから黒い方のが好みだったかな。やっぱり不気味というか、い、嫌~…って感じのがこの人の本読んでるなって感じする。
・ただこういう思春期の病的なあれそれ…みたいなテーマって一種の美しさとか、切なさとかの「エモ」的な感情も内包してると思ってるんだけど、そういう切なくてうつくしい、風に見られる彼女たちの物語と同時にゾッとする薄気味悪さが並べられてるのはかなり良い。物語の見たくないところの存在を示されてるようで、対比が効いてる……
・組版もすごくよかったな。梨さんの本って、紙媒体になってこそ最大限のおもしろさを発揮するように作られてるから、本出るたびに欲しいなと思う。
・また梨さんの新作読みたいな♪
Posted by ブクログ
これはどうでもいい手紙ではなく「じゆうりつ」
ルーズリーフを折る事で作られた小さな手紙。299の書簡に書かれた断片的な言葉をもとに構成した(という体裁の)本です。
自殺した子とその友達の話? 赤い字の言葉は自殺した子に関わる文言? 色々な事を考えられて、ほんのりと恐ろしく、どこか儚い言葉の欠片から背景を想像し、考察するのが好きな方にはとても楽しいと思います。
もちろん、純粋に自由律俳句、あるいは詩として読んでも繊細で不気味で美しい。
印刷方法やフォントも凝っているので、そういう観点で見ても面白いです。
近々『自由慄』トークイベントのアーカイブ視聴しようかと思っているので、もしかしたら後で少し追記するかも。
※2024/02/26追記
梨さん×朝宮運河さん『自由慄』刊行記念トークイベント、アーカイブ視聴しました。見なくてもその人なりの楽しみ方がいろいろできると思いますが、こちら視聴してから読み返すと、解像度がとても上がるので興味ある方は視聴をお勧め。
お二人ともお話が上手で、『自由慄』の話を除いてもとても興味深いです。