あらすじ
「タイムズ」紙サイエンスブック・オブ・ザ・イヤー選出!
「ニューヨーカー」誌2022 年ベストブック選出!
「ロサンゼルス タイムズ」紙 書籍賞 科学 & テクノロジー部門ファイナリスト!
キュビットからキログラム、ミリメーターから光の速度に至るまで、計測することは、人間が世界を理解するために発明した強力なツールだ。
科学と社会史に関するこの啓示的な作品で、著者はその隠された世界に飛び込み、
ナイル川の年間を通しての深さを測定することが重要な任務であった古代エジプトから、
フランス革命におけるメートル法という知的起源にまで読者を誘う。
そしてメートル法とインチ・ヤード法との間の驚くほどの対立から、現在のGoogleなどによる「数値化された自己」の時代まで、あらゆる場面で計測がもたらす政治的影響を鋭く捉えており、測定が抑圧と統制のツールとしてどのように使用されてきたかを科学的に探求する。
本書は、計測が、私たちの世界経験とどのように深くかかわっているかだけでなく、計測の歴史が、人類の知識の探究をどのように包み込み、形作ってきたかを、余すところなく描く。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「計測」という独特なテーマを軸に、それが人間社会に与えてきた影響の歴史を追う本。
本書で私が特に印象に残ったものの1つに「計測は抽象化のツール」であるという記述。それまで「腕の長さ」や「人の声が聞こえる距離」としてある意味、主観的に測っていたものをメートルなどの計測単位を置くことによって、一段高い抽象度であらゆる対象のものを測ることができる。
それゆえに、計測単位は国家を形成する際、「1つの法律制度」を整備することと同様に「1つの計測単位」を浸透させることは極めて重要であると。
そんな感じで、計測が人間社会に与えてきた歴史を解きほぐしていく本書だが、終盤で紡ぎ出されるメッセージは、現在当たり前とされている計測単位も変わる可能性がある、ということ。だからこそ、計測がどんな影響を与えるかを考え続けることに大きな意味がある。
広い意味では、歴史学や科学全般というジャンルに当てはまる本だと思いますが、「計測」というユニークな視点なため分類するのが難しい。ただ、名著と呼ばれるような本は「なんのジャンルか分からない」ということが多々あるので、本書もその1つだと思う。
自分が当たり前と思っていたことがそうではない、とひっくり返されることは本を読む醍醐味だと思うが、本書はそれだった。
あらゆる科学を学ぶ前に読んでおきたい本だと思います。
Posted by ブクログ
思う事が沢山ありすぎて文章にならない。
脳のリソースを使わない様にするためにはバチバチに規則に縛られるのが良い。計測、数値化できる事によって規則が定量化される。
バイアスすらも統計データなどの数字によって左右される。
再現性を求めるとやはり精緻な尺度が必要。
その計測の歴史を見てみると、「制度(計測)のハック」とその対策だよなぁ。
現在でも制度のハックは合法だし、知らないのが悪い、やらないのが悪いと言う風潮まである。
「いたちごっこ」と纏められるウイルス、ピッキング、落書き…があるからこそ抑止の為の技術が発展しはするけど、知らず知らずCPUのリソースにウイルス駆除ソフトの負担があるみたいに、税金がごっそり投入されてるみたいに、私達の脳も便利と思って使ってる精緻な尺度の数字に脳のリソースをがっぽり持って行かれてんのかなとか。
もうこうなると、塑性変形と言うか、鍵を閉めなくて良い時代にも戻れないし、アバウトで「こまけぇこたぁ良いんだよ」で良かった時代に戻る事は無いんだろうな。
最後まで何いってんだかなにも解らないな。
暑さのせいかな
Posted by ブクログ
2024-06-28
計測という人類が手にしたツールが、世界を縮小する力を得て、ひいては認識自体にまで影響を与えるさままで描き出した名著。結局、人は信じたいものしか信じないし、自分が信じるものを他人に信じさせるためにその労力の大半を費やしてきたのだなあ。
しかし、キログラム元基が2018年まで使われていたとは知らなかった。
Posted by ブクログ
度量衡の統一が商業的、政治的、科学的にも重要なのは理解できる。メートルやキログラム、秒がどのように定義されたのか、その必要性や背後にある政治的な話まで含めて解説している。なんとなく知っていることもあるが、詳細を知れたのが良い。度量衡は全世界で統一されるのが望ましいが、米国などはまだ完全にメートルなどの単位に移行しきれていない現状がある。英国のEU離脱が取り扱う単位にまで影響を及ぼしたことが驚きであるとともに自然発生的に便利に使えている単位が根付いている現状も分かった。では、どうすればグローバルで日常生活を含めて度量衡統一ができるのかの考察がなかったのが残念なところだ。