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Posted by ブクログ
「計測」という独特なテーマを軸に、それが人間社会に与えてきた影響の歴史を追う本。
本書で私が特に印象に残ったものの1つに「計測は抽象化のツール」であるという記述。それまで「腕の長さ」や「人の声が聞こえる距離」としてある意味、主観的に測っていたものをメートルなどの計測単位を置くことによって、一段高い抽象度であらゆる対象のものを測ることができる。
それゆえに、計測単位は国家を形成する際、「1つの法律制度」を整備することと同様に「1つの計測単位」を浸透させることは極めて重要であると。
そんな感じで、計測が人間社会に与えてきた歴史を解きほぐしていく本書だが、終盤で紡ぎ出されるメッセージは、現在当たり前とされている計測単位も変わる可能性がある、ということ。だからこそ、計測がどんな影響を与えるかを考え続けることに大きな意味がある。
広い意味では、歴史学や科学全般というジャンルに当てはまる本だと思いますが、「計測」というユニークな視点なため分類するのが難しいなと。ただ、名著と呼ばれるような本は「なんのジャンルか分からない」ということが多々あるので、本書もその1つだと思います。
自分が当たり前と思っていたことがそうではない、とひっくり返されることは本を読む醍醐味だと思いますが、本書はそれでした。
あらゆる科学を学ぶ前に読んでおきたい本だと思います。
Posted by ブクログ
度量衡の統一が商業的、政治的、科学的にも重要なのは理解できる。メートルやキログラム、秒がどのように定義されたのか、その必要性や背後にある政治的な話まで含めて解説している。なんとなく知っていることもあるが、詳細を知れたのが良い。度量衡は全世界で統一されるのが望ましいが、米国などはまだ完全にメートルなどの単位に移行しきれていない現状がある。英国のEU離脱が取り扱う単位にまで影響を及ぼしたことが驚きであるとともに自然発生的に便利に使えている単位が根付いている現状も分かった。では、どうすればグローバルで日常生活を含めて度量衡統一ができるのかの考察がなかったのが残念なところだ。