【感想・ネタバレ】P+D BOOKS マカオ幻想のレビュー

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Posted by ブクログ

新田次郎さんの遺作短編集。
特に、表題作を含む巻頭の2作品はとても読み応えがあった。激動の歴史に翻弄された2つの都市、マカオとヴァンクーヴァー。二度と母国日本の地を踏むことは無いことを覚悟した移民たち。人種差別もある過酷な環境で力強く生きた当時の生活を想像することができた。

現代は交通通信環境が発達したため、簡単に人の捜索ができて、会うことも用意だが、昔は物理的に離れ離れになることは「今生の別れ」に相当するものだったのだろう。そのような時代がつい半世紀前まで続いていたことが分かる。

行方知れずになった人の消息や生きた証を探すなかで手紙・伝言・風景といった「手掛かり」に辿りつくだけでも本当に価値があることだった思われる。なかなか会えない相手のことを想い続け、待ち続けるロマンが、今の時代は薄れているのかも知れない。

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2024年04月09日

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