【感想・ネタバレ】つながらない覚悟のレビュー

あらすじ

私たちは子どもの頃から「人間関係は大切にしよう」と教え込まれ、つながりを結ぶことが強制されることもある。しかし、人とつながるとはどういうことなのかがよく理解されておらず、他人との「絆」が依存・支配関係になってしまうことも多い。「私」を失わないためには孤独を恐れてはいけない。私たちにはつながらない覚悟が必要なのだ。望ましくない人間関係を捨てて、偽りのつながりを真のつながりに変えるための考え方や方法を哲学者が語る。 【本文より】●支配、強制されて作り出されるつながりは、偽りのつながりである。このつながりは、人は本来的には他者とつながって生きているという意味の真のつながりとは別物である。 ●相手を理解したい、理解しようとする。これが愛である。ただ一緒にいるだけでは、いい関係を築けない。互いを理解する努力が必要である。(中略)理解しようと努力しても、その理解が正しいかどうかがわからないのであれば、たずねるしかない。 ●誰かを支配したり、依存したりすることなく、自分の完全性を保ったままで人と結びつくにはどうしたらいいか。「共鳴」(レゾナンス)という仕方であれば、他者に影響を与え、他者から影響を受ける。他者と共鳴することで、自分が変わることはある。

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Posted by ブクログ

依存と支配というのは偽りのつながりであり、
真のつながりは独立した個人同士で共同体感覚を持つと言うもの。

愛は排他的ではないと言っているのが印象的でとても腑に落ちた。

アドラー心理学や哲学を研究している岸見さんらしい本だった。

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2024年03月14日

Posted by ブクログ

孤独が健康を害する理由になる、というのは別の本で読んだ。社会性動物でもある人間は、直接、間接に社会と繋がっており、一人では生きられない。まして、深層心理的な価値観においても「他者のまなざし」から完全には逃れられない。だから、鏡を見て、自らの見た目と存在を確認するのだ。

本書にこんな記載がある。エーリッヒフロムは、合理的権威と非合理的権威を区別したという箇所だ。

― 合理的な権威は能力に由来する。ある人の権威が尊敬されるのは、その人が他の人から委ねられた仕事を巧みに処理できるからである。決して、何か魔術的な力を持っているからとか、カリスマがあるからではない。知識があり、それにもとづいて仕事ができる人は、合理的な権威を持っている。そのような権威には他者からの同意や賞賛は必要ない。合理的な権威といわれるのは、理性にもとづいていて、理性の名の下に権威が行使されるからである。理性は普遍的なものなので、それに従うことは服従ではない。

― 教師は学生に対して合理的な権威を持つ。学生が納得して自分の誤りを受け入れても、それは教師に服従することにはならない。合理的な権威を持った人が下す判断を理性で受け入れることをフロムは「自律的服従」、それに対して、他者の考えや判断をそのまま受け入れることを、「他律的服従」といっている。

そして、匿名の権威こそ、同調圧力となるいのだという。また、合理的権威と違って非合理的権威は批判を禁じる。教育の場では、教師は学生に質問を禁じるか、疑問を持つことさえ禁じるかもしれない。そんなことは考えなくていい、ただ覚えればいいのだという教師は、非合理的権威を用いて学生を支配しようとする。医師やカウンセラーも、権威的であれば、救いを求める依存的な患者を支配する。支配する人だけでは支配は成立しないということである。支配される人はその支配する人に依存するが、支配する人も、依存する人に依存している。

この辺の考え方は面白い。私は一人の人間の人格に「支配者」と「奴隷」が同居していると考えているが、それに近いような気もした。合理的な権威の合理性とは、絶対的価値観においてどこまで信用できるのかは分からない。長いものに巻かれるという事も、ある瞬間では合理的だと言える。思想が散らかっているようでもあるが、随分と考えさせられる重みのある本だった。

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2025年05月28日

Posted by ブクログ

『嫌われる勇気』の著者。
人とつながらないというのは孤独を選ぶのではなく支配的、従属的になりすぎない対等で横のつながりを持っていく。偽りのつながりは断たなければならない。同調圧力や人に依存していないで自分を見失わず孤独を恐れない。私ではない何かに洗脳されていくことがないように生きていこうと思った。

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2025年02月13日

Posted by ブクログ

個性を消すことなく、自分にのみ関心をむけるのではなく、愛を学び共同体感覚を意識する。
「生きる」そのことだけで価値がある。繋がりは強制されるものでもするのものでもない。
愛は無条件にあるものだけど、愛するということは学び訓練が必要なようだ。

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2024年10月12日

Posted by ブクログ

最後の三行を引用しておく。
『真のつながりは、自己中心的な支配や依存関係ではなく、一人一人が自立し、しかもつながっていて、必要な人は援助し、必要な時は援助を求めることができる。そのようなつながりを築けることを知れば、どんなに苦しい時でも生きていくことができる』

インパクト狙いのタイトルだと思ったが、本書の著者は「嫌われる勇気」の岸見先生だった。
本書の主張は「つながるな」ではない。「偽のつながりにとらわれるな、そのようなつながりを断ち切る勇気を持て」ということだ。
真偽判定は簡単ではないかも知れないが、つながりに種類があることは意識したい。職場で「真のつながり」が必要ないという点は特に重要。

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2024年04月27日

Posted by ブクログ

人を叱るとか褒めるというのは、結局人をコントロールすることになること。
独立して生きていくことが大事。

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2024年04月21日

Posted by ブクログ

アドラー心理学の岸見さんによる人生論。支配する、支配される関係で無理に他人と付き合うのではなく、本来の自分の生き方で自分の人生を生きる。孤独を薦めているようにも聞こえるが、そうではなく、人間の共同体の一員として、真に繋がりたい人と共鳴して生きることが大切。
アドラーの指摘は厳しく聞こえるが、とても共感できる。特に、人生後半になってくると、繋がりたくない人と無理に繋がろうと苦労をするのは、かなりの無駄だと感じる。

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2024年01月24日

Posted by ブクログ

本書にあるつながりの強制、例えば会議であからさまにおかしな事言ってる上司がいたとしても、周りの同調圧力で何も言うことができない。仕事をしている上であるなーと思いながら読ませていただきました。

つながりたい人とだけつながる。やろうとすると難しいかもしれませんが、自分の人生まだまだ先は長いので、少しでも意識して生活出来たらなと思います。

ちなみに内容は親子関係について書かれていることが多いなと感じました。

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2025年03月12日

Posted by ブクログ

日頃から記事を読んでいる岸見一郎さんの新書ということで、遅ればせながら一読しました。

人との繋がり、関係性が自主的に結ばれているのか、社会習慣として強制されているのか。
その結果だけが大事なのではなく、過程が大切なのだ、岸見さんはアドラー心理学や、ライフワークである西洋哲学を引用してそう諭します。

正直なところ、内容はベストセラー『嫌われる勇気』に重なるところが多く散見されます。ですので、初めて岸見さんを読むのであれば、まずはそちらから読むことをお勧めします。

この本のオススメする点は次の2点です。

まず、嫌われる勇気とは異なり、岸見さんの人生体験が多く引用されていること。
あちらはモデルが岸見さんとは言え、フィクションの哲人が話の中心でしたので、エピソードトークの具体性は少し欠けます。

そしてもう一つは、過去の作品である、幸せになる勇気、と同じように、子育てに関するアドバイスが紙面の多くの部分を占めていたことです。

子どもを支配しないこと。横の関係を築くこと。
子育て真っ只中の身の上としては、何度助言されても足りることはありません。

大絶賛には至りませんでしたが、岸見さんを通して、アドラー、西洋哲学を理解する一助になる本でした。





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2024年12月01日

Posted by ブクログ

前著の嫌われる勇気が分かりやすく面白かったので読んでみた。今回もサラッと読めるかと思ったが、さすが自分の分野外の哲学、難しい。
偽りのつながりを絶って真のつながりに変える。なかなか難しいとは思うが、残り人生を悔いなく生きるために、慌てずひとつずつ実践していこうと思う。

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2024年05月15日

Posted by ブクログ

本質的なつながりは、何だろうと考えて、読み始めた。つながりは、強制されるものでなく、自分の人生を生きることが大切であると感じた。

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2024年01月30日

Posted by ブクログ

人と繋がらなくてはいけないプレッシャーを感じている昨今。コロナが終わったからといってコロナ前に会っていた人と再会しようと思ってもどうしてもメールを打とうという気持ちにならない。本当に会いたい人とはコロナの波の間に会っていた。
本書では、人間関係をコロナ前に戻す必要はないと明言している。会わなければという気持ちは繋がりの強制ということになる。本当にその人と会いたいから会うのではなく、人と繋がることで安心感を得たいのだ。
自分に価値があると思えればそのような支配からも解放される。そして自分に価値があると思えるのは、自分が貢献している実感が持てた時と簡潔にまとめている。
支配から逃れ自由になるためには貢献すれば良い。それは仕事で成果を出すこととは少しちがう。他者と共鳴し、影響を与えることである。

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2024年01月20日

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