あらすじ
わたし、悪くない。ひとりで破滅なんて絶対しない。妻に先立たれ養子の息子と向き合う老人。仕事が忙しい妻を支える気弱な夫。地方の美術館でくすぶり続ける学芸員。倒産や理不尽なリストラで無職となった同級生たち。借金苦から逃れようともがく老女。会社ぐるみで不正を隠蔽する社畜たち。彼らに正論は通じない。ひとつの嘘から、転がりだす悪意の連鎖。強がり、もがき、這い上がろうとする嘘つきたちが最後につかんだものは?
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Posted by ブクログ
岩井圭也の短編集は初めてじゃないかな?上手い長編小説を書く作家さんと思っていたが、短編もなかなか読ませる。
タイトルの引力って言葉が実によくわかる、これ「嘘」のことなんよね。欲望とか見栄とか言い訳のために「嘘」をつく時、抗いがたい何かにグッと引き寄せられてる感があり、あれは確かに引力的やわと。
「僕はエスパーじゃない」は考えさせられたなぁ。相手の気持ちを読んで行動することに愛はないんだろうか?空気を読む、忖度までは違っても、そこから相手に対してどうするか…の行動部分には愛とか情が大いにかんけいしてると思うんだが…
どれもこれも後味悪い余韻の短編だが不思議と引き込まれるし、読み終わったあとに何かしらすっきりしているところもあるのが絶妙。