あらすじ
ヨーロッパ中心の科学史を覆す!
科学革命は大陸を越えた文化交流と、古今東西の知られざる科学者のたゆまぬ努力によってもたらされた。
現代世界の見方を変える、かつてない視点で描く近代科学の発達史。
コペルニクスやガリレイ、ニュートン、ダーウィン、アインシュタインといった科学者の名前は、誰もが知っている。
そして、近代科学は16世紀から18世紀までにヨーロッパで誕生し、19世紀の進化論や20世紀の宇宙物理学も、ヨーロッパだけで築かれたとされている。
しかし、科学技術史が専門のウォーリック大学准教授、ジェイムズ・ポスケットによれば、このストーリーは「でっち上げ」であり、近代科学の発展にはアメリカやアジア、アフリカなど、世界中の人々が著しい貢献を果たしたという。
科学の未来は、グローバリゼーションとナショナリズムという2つの力の中間の道を見つけられるかどうかに懸かっている。
政治やイデオロギーによって書き換えられてしまった科学の歴史を明らかにし、科学発展のグローバルな過去をつまびらかにすることで、科学の未来について考えさせる書。
「国際的なつながりが、時代を超えて科学の進歩を刺激してきたことを説明する」
――アリス・ロバーツ(『人類20万年 遙かなる旅路』著者)
「近代科学がヨーロッパだけで発達したものではないことを、説得力をもって示してみせる」
――ジム・アル=カリーリ(『量子力学で生命の謎を解く』共著者)
「標準的な科学史ではその偉業が語られることのない科学者たちの物語を楽しく読める」
――イアン・スチュアート(『もっとも美しい対称性』著者)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
江戸時代の日本が銅山を発見して「世界一の銅大国」になったきっかけは、一頭のゾウ!?
ニュートンの万有引力はインカ帝国のおかげ!?
常識のように疑いもしなかった科学史観が覆される一冊。
Posted by ブクログ
膨大な史料に基づいた科学史 とにかく洋の東西を問わず、全世界の科学史を文献に基づいて詳細に記載。
日本の科学史についてもかなり詳細で正確なので、全編にわたってそうなのであろう。
非常に公正な視点。信頼できる資料として保存版の本。
医学の祖 イリヤ・メチニコフのことなど、知らなかったことを知ることができた。
Posted by ブクログ
知らなかったエピソードも多数あり面白かったが、やはりエピソードの連続でしかなく、科学文明の「起源」について、根底からひっくり返す議論がされているわけではなかった。
Posted by ブクログ
欧米中心で語られる科学史を、そうではなくグローバルな相互関係で発展してきたことを明らかにする。コペルニクスの地動説はサマルカンドでの天体観測の成果に由来すること、新大陸発見後の博物学は現地の知識に大きく依存していたこと、量子力学の発展も日本や中国の研究者に由来する部分があることなどの事例がこれでもかと紹介される。また、科学も社会的な人間の営みであるので、社会情勢や政治による影響を受ける。例えば、植民地経営の一環で博物学が発展したことや、新興国や植民地では国力増進や独立のために科学力が重視されたことなどが紹介されている。
しかし、本書は欧米中心でないことの証左をかき集めた印象もあり、何故これまで欧米が科学の中心として見做されてきたのかや科学の発展にとって重要となるファクターやデータの分析などは少なく物足りない感じがした。