あらすじ
1923年9月1日11時58分32秒、関東大震災が発生。関東一帯の大地が激動し、東京は火の海になった。突然起こった惨禍に、人々は動揺し、流言蜚語が発生。「朝鮮人が暴動を起こす。火をつける」というデマにより、多くの朝鮮人が虐殺された。自らの衝撃的な体験をもとに書かれ、震災の翌年から連載が開始された記録文学の金字塔。巻末に石牟礼道子によるエッセイを収録。
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Posted by ブクログ
読中・読後、辛くて堪らなくなってしまった。だが、「過去を学ばぬものは未来に対しても目を閉ざしていることになる」から、心身のあたうかぎり、折に触れ読み返したいと思う。ーー本書は、関東大震災(1923.9.1)とその後の2日間を、直に目の当たりにした作家が、小説のかたちで表したものだ。その眼は、『どこから出たかもわからない』デマゴギーから、日本庶民が朝鮮の無辜の人びとをどう扱ったかを、震災の様子ともども明確にとどめている。いちばんのおそれは、石牟礼道子さんが末尾の解説で語っているが、『五十年百年経って、われわれが同じことをしない保証がない』ことだと思う。ーーきょうは、あとは茨木のり子の詩「あの人の棲む国」を読んでやすむ。
Posted by ブクログ
震災による被害は地震だけのものではない。今から約100年前に起きた関東大震災。それが引き金となり起こった朝鮮人が虐殺されるという戦慄すべき事件が起こった。
震災大国に住む我々が、豹変してこのようなことを起こさないためにも、こういう事があったという事実は知るべきであるし、このようなことは起こしてはならない。
震災についてはこう書かれている。
”それは不可抗な自然力の作用によって起こったことでもとより如何とも仕方がない”
そして朝鮮人に関する問題についてはこう書かれている。
”全然我々の無智と偏見とから生じたことで、人道の上から言ったら、震災なぞよりもこの方が遥かに大事件であり、大問題である”