あらすじ
フランスのアナーキスト、ピエール・ジョセフ・プルードンは言った、「法律は、金持ちにとっては蜘蛛の巣。政府にとっては漁網、人民にとってはいくら身をよじっても脱けられない罠」だと。まさに今の日本の状況そのものじゃないか! 【目次】第1章 ルールは何のために生まれたのか…さまざまな局面に則して多様なルールが作られた/第2章 ルールとして成り立つ必須条件…人は自分が損をしてでも公平さを求める/第3章 フェアプレーの精神…ルールに反してなければいいのか?/第4章 時代に応じて変わるべきルールもある…いつまで異性同士の結婚にこだわる?/第5章 復讐するは誰にあり?…世界が滅ぼうとも刑は執行されねばならない/第6章 なぜ人々は立ち止まらないのか…利己的な人々が自ずと社会秩序を作る/第7章 こんなルールは嫌だ!…中途半端なルールは混乱を生む/第8章 民主主義は公正じゃない…多数決は根拠のない偏見までも温存する
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Posted by ブクログ
ルールはなんのためにあるのか。現代社会における疑問や課題を定義しながらわかりやすく説明している。
①部活をやっていても勝つために見境もなくルールスレスレ、もっというとルールを逸脱してくる大人がいる。勝利至上主義が悪いわけではないと思うが、教育という観点からもフェアプレーの精神は確実に必要であると思う。
②結婚の概念も面白い。「聖なるズー」という本でも動物を愛する人たちを描いていだが、あれも認められるべきなのであろうか。なかには動物愛護の観点で、認められないものなのなのか。難しい。自らの意思だけではなく、相手の意思のあるものである限り、結婚は互いの意見が尊重できていればできるものであってほしいと思う。「反婚」という概念を初めて知った。そもそも結婚する利点はなんだ?結婚してもうすぐ半年だが、いまいち見出せていない…結婚していなければなにか不便に気づけたのか…?
Posted by ブクログ
決められると頭で考えず、「あっ、そうなんだ」と受け入れたり流したりすることが多いことに気づきました。
同調圧力が強い国ですが、互いが過ごしやすいように考え行動することは必要だと感じました。
Posted by ブクログ
新書にしては少々感情的な部分もあるような気がするが、主張には賛同するところが多かった。タイトルの答えが本文中にはっきりと出ているわけではないけれど、ルールがある程度ファジー・グレーな部分が必要だということは読んでいて伝わったし、自分も共感した。
Posted by ブクログ
ルールはそもそも、なぜそういうルールが作られたのかという目的を考えなければ理解できず、またルールを守ることで得られる利益と、破ることで得られる利益とを天秤にかける必要がある。そのうえで、守った人が損をするルールはダメなルールである。
ルールの発端は人間と動物に共通して「縄張りの画定」と「序列付けの必要」である。
平常時のルールの目的は、世界や社会を円滑に回すもので、各人の安全な暮らしを守るものである。
第一次的ルールとは「責務のルール」で、第二次的ルールは第一次的ルールの欠落の補完を行う運用ルールである。
ルールがルールとして成り立ち、人々がそれに従う動機を保証する必要不可欠な条件は、「Aの情況とBの情況が同じなら平等に扱うこと」と「同等に扱わない場合は、説得力のあるルールを示す必要があるということ」で、すなわち「形式的正義」である。
ルールに普遍性を徹底的に求め、「いつでも、どこでも、誰にでも」適用されるものを真のルールとしたのがカントである。彼は、功利主義が重きを置く幸福や快は条件により異なるとして、条件に左右されない理性を重視している。また、「刑罰法則は定言命令(無条件的な命令)」とされる。
マスク警察のように、中途半端なルールは逆に混乱を生む。
Posted by ブクログ
ルールとは何か?法律?慣習?どう違うのか?
良いルールとは?なぜルールは守られる?守られない?
こんな感じの疑問について、カントやルソーなどの出典を交えながら、法哲学的な考えを述べる本。
コロナ禍や LGBT の事例など、最近の身近な事例を題材に扱っているので、興味深く読めました。
ただ筆者の政治的な考えもしっかり載っているので、抵抗のある方もいるかも知れません。
清濁併呑ができる人向けです笑
法律の知識が無くてもスラスラ読めます。
同調圧力という言葉に引っかかる方には特にオススメです!
Posted by ブクログ
あとがきで書いてある「清濁併せ呑む」の言葉に尽きる。共同体のルールは個人的選好のみでは成り立たない。得するときもあれば損をするときもある。ただそれがLGBTQやコロナのマスク・ワクチンなどのように、同調圧力にしてはいけない。「自分の価値観だけが絶対」だと思わないこと。私が読書やゲーム・映画など様々なものに触れることは、自分にはない価値観が知れることや、ジャンル内でも触れることができるものを探すためだ。「ホラー映画だから…」とジャンル自体を拒否するのではなく模索する。「清濁併せ呑む」とはそういう感じのことなのかなと解釈しました。
Posted by ブクログ
大学教授である著者が世の中にあるルールについてその原理と個人的見解を書いた一冊。
ルールの成り立ちから条件、スポーツにおけるフェアプレーの精神からみたルールの意義
結婚や刑罰など法律に関わる部分までルールについての様々な考え方を本書で知ることができました。
そんな本書の中でもコロナ禍でのマスク着用に対する人々の行動からみるルールのあり方やエスカレーターや男性のトイレの仕方の考え方の違いは面白いと感じました。
また、違反しないことによって利得を得ることができることが人々がルールを守る中で効果があることも感じました。
本書を読んでルールとは誰もが公平感のあるものであることが前提であると感じました。
ただSNSの普及でルールの解釈が歪んだものになっているとも感じているのでルールに縛られずに寛容になることも大事だと感じた一冊でした。
Posted by ブクログ
もうちょっと骨太な内容、書きぶりを
期待したんだけどなあ。
ちょいちょい口語的になるところが、
いくらちくまプリマーでも違和感が…
せっかくガッツリしたタイトルなのに。
Posted by ブクログ
そもそもなんのためにあるのか、を説いたのは最初の数ページ。事例が多いせいか、そもそもなんのためにあるのか、の問いに対する答えがピンボケになっている印象。
Posted by ブクログ
法哲学の入門書。身近な事例のおかげで分かりやすい。
でも引用が合っていないように思えるのは、こちらに問題があるからだろうか。アムロがジェットストリームアタックをかわした場面を引いて「踏み台」にすることの是非を問うのは、的外れとしか思えなかったな。
Posted by ブクログ
小気味良い内容で面白かった。
エスカレーターのルールは本当に謎ルールだと思う。これだけ片側開けて歩くのは良くないと言われているにもかかわらず片側開けや歩行が横行している。特に駅などでは電車を降りてからエスカレーターに乗るまでが非常に混雑して滞留が発生している。いっそ守れないならエスカレーターはやめます、と宣言してもいいのではないだろうか。
自分に都合のいいことしか受け入れないのが人間。完璧なルールや法律などないのだけど、自分以外誰かが被る影響も考慮してお互いさまで過ごすことができれば、もう少し生きやすい世の中になるのだろうけど。人間だけでなく、地球に生きる生命全てに対してもそうだと思う。
Posted by ブクログ
法哲学の入門書。哲学的な理論の説明にとどまらず、オリンピックのドーピング問題、結婚制度、コロナ禍の対する日本政府の対応など、記憶にも新しい現代的な問題を具体例に、分析をしてくれているので、とても親近感を持って読み進められた。
それぞれの問題に対しては、筆者の法哲学者としての立場をかなり明確にしている。常識的でありつつかなり鋭い批判を述べるため、個人的には痛快だったが、もしかしたら、そうした筆致自体にアレルギー反応のある読者もいるかもしれない。最後、多種多様な価値観を持った人間が、共に生きていくためには「清濁併せ呑む」「心に毒も栄養も喰らっておおらかに生きる」度量の大きさが必要だ、という言葉は、とても共感した。
内容的には、イギリスの法哲学者ハーバート・ハートの議論を紹介しているところが面白かった。
普通、「ルール」と聞いたら思い浮かべる、何かをすることを禁止したり、罰を与えたりするルールを「責務のルール」とハートは呼ぶ。ただ、そうした原始的なルールに対して、遵守すべきルールそのものを決める「承認のルール」、ルール改廃の権限を与える「変更のルール」、ルール侵害があった際にその解決法について定める「採決のルール」という二次的なルールが存在するという。
こういった、ルールに関する細かい性格の違いは、普段考えないので、とても勉強になった。
他にも本書では、いわゆるただの「慣習」と「ルール」の違いに関するハートの議論も後半で紹介されていて、こうしたことは知らなかったので単純に勉強になった。
ルールというと守るもの。そういったイメージがある人にほど読んでほしい。そのルールは、一体、何のために、誰のためになるのか。それを考え続けるためのヒントがたくさん詰まった本だった。