【感想・ネタバレ】Qのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ダンサー「Q」に魅せられ狂わされた人々の群像劇。
(何か半端な言い方になるけど色々複雑なんでそういうのが一番近いかと)

良かった点
・ハチが”友だち”と退屈な日常を選べたこと。
”友だち”と呼ぶには危ういなあ、「好きなんだ」の話をもっかい詰めておいた方がいいんじゃないかと思うけど、本人たちがそれでいいなら、下手に恋人としてじゃなく”友だち”として長続きするといいなと思う。独りじゃない、損得なく待っててくれる人がいるってのは、きっとずっと一人だった彼女にとって大事なことだろうと思うから。

・ハチが結構頻繁に「飯が無難だ」とこきおろす所。
普段コンビニパンとサイダーを食事にしてる彼女自身は全然グルメじゃなく、むしろ腹に入れば何でもいいくらいの感じがするので、この文句は本当にメシマズっていう不満よりは文句の一つも言わないと素直に食べられない一種のツンデレっぽいなあと思った。
あと食べ手の舌に絶妙に合わせてくるロクの腕前と比較して、有吉の調整能力のなさというか不器用さも表現してて、群像劇としてキャラの際立たせ方がうまいなと思った。(ハチの話ばっかしたけどロクと健幹の方も語りたいこと色々。誰について語るかで読み手の思考が問われるタイプの話だと思う)

よくなかった点
・超粘着質な重和と大地は後顧の憂いを絶つためドサクサ紛れに海底へドボンしといてくれた方がよかったんですが。これからそれでなくてもロクも健幹もハチも後始末でゴタゴタしそうなのに、場を仕切った百瀬の処理に抜かりがないことを祈るばかりでちょっとだけ心配。

総評
けっこう分厚かったんだけど、どの人間関係も気軽に省けなくて、あれもこれも、人物もテーマもギュウギュウに詰まってミチミチな一冊。出てくる奴だいたい皆タガが外れてるんだけど、それぞれに言い分があって濃度が高い。
あとコロナに振り回された2020~2021年の記憶が抜けきらないうちに読んだ方が絶対面白いと思う。皆が何も考えられない、何も考えなくていい麻薬的な感動に飛びついたのは、作中にもあるけどあの時期の疑心暗鬼、相互不信、理不尽な振り回しがひどかったからってのも多分にあるはず。辛い時にも自分のつまらない日常を、自分の意志で選ぶことができるかが問われてるかなあと思った。(ちなみに自分はできる自信があんまりない。自分を救うのは自分だけって頭で分かってても間際までグズグズする気がすっごいする。)

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2024年02月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『爆弾』の呉先生が描く超長編!

本作は基本的にハチと健幹の視点を行き来するんだけど、まぁ主役はハチであることを置いておいて、彼女らの違いはQ(キュウ)に対するスタンスと言ってしまっていいだろう。
健幹は…まぁハッキリ言って他のQの信奉者と変わらない。というより、愛する人すらいた普通の人間が、どのように信奉者になっていくかを描くための鏡ですらある。
一方でハチはキュウに惑わされながら、自分で決めたものに真っすぐであろうとする。やり方は無茶苦茶かもしれないけれど、それなりに「自分」というものを持ってキュウと並んで話すことができるんだな。

コミュニケーションはいつだって一方的で、誰だって物事を捉えたいように捉えてしまう。Qの口パクが、観客によって異なる解釈をされたのだってその最たる例だ。
その中で、日常という自分が選んだものの上で、ようやくハチはキュウと正しい関係になれたんじゃないかなぁ。

まぁなんていうか、いつまでも夢を見続けることなんて出来ないっつーわけだな。残酷だけども、踊りはいつか終わるわけで。

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2024年03月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

持ち運ぶのも大変な重さだったけど、連続ドラマのような細切れの起承転結やドキドキハラハラあり、間延びせず読めた。愛する人の為に殺人しましたけど、勘違いでした!?世界を変える為にメッチャ金かけて段どったけど、なぜか反社になっちゃいました!?…とか、ハデにやり過ぎ感は否めないところも、連続ドラマっぽい。ダンスを文字で表すのって、難しいだろうなぁ。映像表現を視野にいれた脚本ってとこかな。
超長編のわりに、読破に達成感も感慨深さも特に感想もないのも、やっぱりドラマっぽい。

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2024年05月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ダンスの天賦の才をもつ弟のためにすべてを排除すると決めた二人の姉の話。ものすごくざっくりしたあらすじ。

かなり期待して読んだんですが正直今一つでした。話の焦点がピンとこない。ハチとロクが過去に犯した犯罪の真相が核になってるとは思うんですが、結局のところ「だからなんなんだ?」という感じで。主要な登場人物がみんなそんな気にしてない感じで読む側としても盛り上がらない。ゲリラライブでの殺害予告は一体だれが?とか辰岡の死は一体どんな訳が?とかそういうのもあるんだろうか?なんかどれも物語を大きく動かすような衝撃もなく。
とにかくキュウのダンスがすごいんだ!という描写がたくさんありますが、こればっかりは文章でそう書かれても映像なわけでもないので「よくわからないけどすごいんだろうな」くらいにしか思えないので作中でそのダンスに魅了された人たちとの温度差が。

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2024年05月09日

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