感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
昭和30年代の前半はこんなだったのかな
映画、「三丁目の夕日」(西岸良平さん原作マンガの映画)を見たときは、隣の知らないおばちゃんに負けないほど懐かしさや感動に号泣してしまったけれど•••
こちらはもう少ししんみりしている。
30年ほど前に亡くなった姉を慕う私(妹)の懐古連作、5作。
「姉さま」はフシギな能力を持っていて•••その能力に焦点を当てた①と②。その能力を前提にした③と④。そこまで行くか、という⑤。
僕が好きなのは③と④。いい!!
やっぱり、このラインからは逃れられないな、僕は。
【あらすじ(冒頭部)】
①追憶の虹
幼い私は、交番の秦野巡査の気を惹くために、姉の秘密『透視能力』を話してしまう。15歳の優しい姉は、私の頼みをきき、友だち『杉べえ』の弟が車に接触した場面を透視し、秦野巡査に手柄を立てさせてくれたのだが•••。
②夏空への梯子
昭和33年、『なべ底不況』と言われていた、とても暑かった夏、ある新聞社に、「自分は人を殺した」と告白する電話がかかってきた。
③いつか夕陽の中で
昭和33(1958)年9月26日、台風22号から避難していた一晩で、村田のおばちゃんに連れられて避難していた茜ちゃんと姉と私は親友のように仲良くなった。台風一過、20歳の茜ちゃんは、洋裁を私の母に習うため、家に通ってくるようになり、私(12歳)は嬉しくて仕事中の茜ちゃんに毎回じゃれついた。
④流星のまたたき
茜ちゃんが手品の賭けに負けて100円取られた、と駆け込んで来た。相手は同じアパートの笹森という学生で、シャッフルした3つの空のはずのマッチ箱の中に、どれがマッチ棒が入っている箱かを当てるものだった。その賭けに姉は1回目の勝負で勝ったのだが•••。
⑤春の悪魔
母と同じように裁縫で生計を立てているクラさんの家へのお使いを姉も私も茜ちゃんも嫌がる。礼儀に厳しく、口うるさいからだ。そのクラさんの家に、姉の代わりに私は出かけたが、クラさんは留守で、しばらくすると割烹着を着た、挙動不審なクラさんが帰ってきて、私を追い出して、鍵をかけた。
Posted by ブクログ
ノスタルジーには希望だけでなく悲劇前の哀しげな追憶も含むことがあって、最近の昭和ものにはその暗い側がないがしろにされてるよなぁ。
って思ってたんだと、改めて思い出さされた本でした。
主人公と幸薄そうな美人の姉、厳しくとも優しい毅然とした母の家族に、娼婦あがりの茜さんという女性たちが、まだまだ戦争の傷跡が残る昭和の日本で生きていく姿は読んでいて心に沁みる、ミステリー要素や姉の能力がまた絶妙に効いた小道具で飽きさせない
父親の謎、予想される悲劇(なんだろうなぁ)と続編にも期待できる。
ただ、やっぱり、それでも楽しい話が好きなんだよなぁ俺は…