【感想・ネタバレ】世界がわかる宗教社会学入門のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 大学での講義を元に描かれた本であるとのことで、わかりやすく書かれていた。著者も書いてあるように基本的なことを網羅的に描いている一冊であった。各宗教についての一般的な知識を得られ、誤解や偏見をなくすことができる、と思う。

 宗教改革の詳しい背景や、インドで始まった仏教が中国で変容した形で伝わり、更に日本で変容していったところが詳細に書かれており、わかりやすかったし面白かった。「空」の概念が噛み砕かれて解説されており理解が深まった。

 最後のまとめとして、マックス=ヴェーバーの記述を引用しているところを見ると、改めて宗教の事を考えさせるし、マックス=ヴェーバーがどれだけ偉大な学者なのかも再認識させられた。

 ただ、マックス=ヴェーバーの一般論化した宗教観にもあてはめられない日本人の宗教観はほんとに複雑なのであろう。

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2015年03月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

宗教は社会構造である。(しかももっとも重要な)

マックス・ウェーバー
プロテスタントに特有の「禁欲」の考え方が資本主義経済の成立にとって不可欠。
ー禁欲を掲げたはずが、反対に利潤追求を目的とする資本主義が生まれたという驚き。

「宗教」とは何か?
橋爪さんの定義「ある自明でない事柄を前提として振る舞うこと。」
神道は宗教でない、と定義する事でキリスト教徒にも仏教徒にも天皇崇拝を強要できる。(東大、井上哲次郎が思いついた。)→国家全体が宗教化・兵営化する可能性がととのった。

神道は日本人の生活・風俗・宗教にとけ込んでいて特別にそれを信じるまでもないから。(知らないうちに勝手に宗教を信じていることになる!ここが無自覚な信仰の原因か。)日本が戦争に負けて、GHQが命令したため、神道が宗教になった。(政教分離がうたわれる)

・日本人が宗教を軽蔑する理由
江戸幕府、明治政府の宗教禁止政策の名残。信仰の単位は個人ではなく、家。神道の強要と天皇の絶対化。

にもかかわらず宗教に関して無知。
stewardship: 神が世界を創造した後、その管理を人間に任せた。(だから責任もある)ーここから品種改良、捕鯨禁止、生物の多様性保護といった考え方も生まれる。

キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の神は同一人物。

「死んだらどうなるか」の見解。
日本人:死んだら仏になる
インド人(正当な仏教):死んだらもう一度生まれ変わる
大衆的なキリスト教徒:死んだら天国に行く
正当なキリスト教:死んだ人間はわざわざ復活して、最後の審判を受け、神の許しを受けた者だけが神の国に入る。

日本の神は死者(八百万の神々)。Godとはかなりちがう。

一神教の神は、この宇宙と人間を「創った」。神の命令で、人間は死ぬ。神自身は生きていて永遠に生き続ける。

儒教?:江戸時代に奨励。特に武士。中国では官僚、家族、習慣は儒教にのっとっていた。

当時の序列は中国=父、朝鮮=兄、日本=弟。日本人は論語のような精神訓話が好きなだけで、儒教の儀式・制度に従って冠婚葬祭も政治も何もしなかった。(だからこそ宗教争いを人ごとのように眺められる冷静さはある)儒教に取って一番大事なのは制度(政治制度)、それを受け入れなかった日本は儒教国家ではない。

日本は儒教を思想だと受け取ったけれど、儒教は社会を実際に運営するためのマニュアル。(であれば日本の制度は何をもとに動いているのか?結局神道?というわけでもなく、なにかひどく分裂的な国だ。)

宗教音痴な日本人が宗教社会学を学ぶには?
偉い宗教学者が言った知識を詰め込むことではない。【日本社会はどうして宗教を拒否するのか、この社会の構造はなぜ宗教によって与えられないかを、他の民族、他の社会と比較することで解明すること】自分たちの社会を自己理解するために。(でもやっぱり、宗教とは認定されていない”宗教らしきもの”(思想)が根底にあって社会構造が出来上がっていないか?)


おもしろかった!宗教やその歴史を知れば納得いかない出来事も少しは納得できるのかもしれない。苦しいからこそ何かにすがらざるをえない、という状況や、秩序形成のためのルールとして。しかしそう思うと、というかずっと思っていたけど日本人は器用だ。明文化された何かを信じずに、その場の空気にしたがってなんとなく生きていけるのだから。なぜそれで大丈夫なのかは未だによくわからない。

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2014年09月07日

Posted by ブクログ

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「こうした工夫は、人びとの共感をよび、人びとに共有され、大きな運動となって拡がってゆく。人類の歴史をひもといてみると、知性が限界を超え、考えられないことを考えようと苦闘してきた歴史でもあることに気づく。そのような苦闘なしに、人間は、自分の存在理由を確かめることができなかった。そして、価値にあふれ、意味に満たされているこの世界が、そのようであってよいのだという確信をもつことができなかった。誇りある知性として、自分を肯定することができなかった。宗教は、このような試みである。そして、文明の原動力である。」各宗教がコンパクトにまとめられていて、ちょうどよいおさらいになる。

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2013年03月04日

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