【感想・ネタバレ】戦後教育で失われたもののレビュー

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ネタバレ

大人になるために

一部ご紹介します。
・私たちが、他人を幼稚と感じるのはどんなときか。「思考が単純である」「常に主役でいたがる」「感情のコントロールができない」といったところ。
・どんな劇も主役だけでは成り立たない。脇役がいて、エキストラがいて、裏方として働く者がいて、初めて劇は成り立つ。
人は誰でも自分の人生において主人公だ。だが、それは、脇役を演じている自分、小道具を作っている自分を肯定することから始まる。台詞も満足に覚えられない子供が「僕も主役をやりたいよ」と主張しても、それをはねつけるのが大人の嗜みというもの。
・「『己』を知る謙虚さ」「『宿命』を受け入れる潔さ」「『不条理』を生き抜く図太さ」「『日本人』であることの誇り」を獲得する中で、「大人になる」ことが大切だ。
・緊張感のない組織や個人に活を入れるには「競争原理の導入」が最も手っ取り早い。
・共同体意識が最も高くなるのは「祭り」
・デモクラシーの本質は「国民皆兵がデモクラシーの正当性を基礎づけた」という歴史的事実にある。有事になれば、たった一つしかない命を国家に預けて戦う。これが国民国家の基本型。だから平時にでも国民は平等に国政に口を出す。命の重みに金持ちも貧乏人もないからだ。それゆえの「一人一票」。婦人参政権が認められた最大根拠は、第一次世界大戦により戦争の在り方が、国家の持てる力全てをかけて戦う「総力戦」に変化したことにある。これにより、男性が戦場に行った後の「銃後」が重要な存在になったためである。
・ほとんどの子供には「やりたい仕事」などないのが現実だ。大人でさえ「やりたい仕事」など変化するものだから。それ故、まず「普通の職業」に就く。特別な才能などなくても、まじめに努力すれば生活できる職業に。作家や芸人を目指す者は、その中から見つけるだろう。小説のネタになる出来事が。共感を生む笑いの元が。
・私たちが求める社会とは、「特別な才能のない人間でも、親や先生を信じて精進すれば、まっとうな大人になれ、平凡だけれども幸せな人生を送ることができる」、そんな当たり前の社会である。戦後教育(左翼全体主義)との決別とは、教育にリアリズムを導入することだ。それは同時に、戦中教育(右翼全体主義)との決別をも意味するのである。

#タメになる

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2022年09月30日

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