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忍法帳に相応しいキャラ性
忍法帖シリーズのセルフパロディをしながら、南北朝の神器をテーマにする一風変わった山風作品。
三兄弟三姉妹の恋模様が『甲賀忍法帖』のパロディなのだが、特に男側が結構情けない。射精で真面目な攪乱戦法をする七兵衛に女だけには滅法強くなる又十郎、女のためならいくらでも荒ぶるフェミニストの舟馬。三人それぞれが女を中心に情けない強さを発揮する。
女人の一部になる忍者たちは後の忍法の原型の一つとも言える変態っぷりで、中々良い勝負している。がどちらが主役なのか判断がつかず(三兄弟も両陣営に散らばっている)、神器を持った南朝側にどのような史実に沿ったままの勝利を描こうか迷っているようであった。
極めつけに牢姫という、性器を模さない上に人間の術理を越えた技を使う皇族の末裔兼美少女剣士という盛りに盛ったキャラが出てくる。恋を知らない超常的で浮き世離れした少女が情けない男たちを通じて恋をしって、剣を向ける先を自らが決める展開は、ぶっ飛んだキャラに相応しくはあるが、それまでの物語と組み合わせが悪いように思える。
南朝に対して否定的になった戦後時代に一石を投じた部分と忍法帖部分が上手いこと噛み合わせられなかった作品。しかしそのキャラ性は今の漫画やらに出しても何ら違和感ないどころか、他のキャラを喰ってしまうような連中ばかり。
シンプルさとインパクトさはいつまでたっても色あせないシリーズであることの象徴のような作品だ。