【感想・ネタバレ】殺意は砂糖の右側に―天才・龍之介がゆく!のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 小笠原諸島から初めて都会にやって来たIQ190の天才,天地龍之介が活躍する短編集。ワトソン役の光章や,光章の会社の同僚で,一美などが登場する。個々の作品の所感は以下のとおり

エデンは月の裏側に
 龍之介が世話になる予定の中畑さんを見つけるために訪れた未来企画総合研究所で殺人事件が起きる。屋上で能戸という男性と前島という男性が小競り合いをしていたが,能戸という男性が落下する。その背中には矢が刺さっていた。真相は,屋上から落下している最中に,遠隔装置で矢を放った前島が犯人だったというもの。トリックは何それという感じのチープなものだが,容疑圏内から逃れようとした前島の心理的な工作はやや見るべきものあり

殺意は砂糖の右側に
 毒殺もの。ラストイン・ファーストアウト現象とミラクルフルーツがトリック。ミラクルフルーツは,酸っぱいものを甘く感じるというフルーツであり,これを皆に飲ませ,酢入りのコーヒーを飲ませることで,アリバイを得ていた。標題作だがトリックは平凡。

狂気は死角の奥底に
 ナイトクラブで起こった殺人。凶器の隠し場所がメイントリック。すりガラスを食用ガラスに入れて隠していた。凶器を隠した理由は,凶器に血がついていたため。
50円玉が4グラム,1円玉が1グラム,10円玉が4.5グラムであることを利用して麻薬を図っていたが,重さをごまかしていたのがばれたのが動機。

銀河はコップの内側に
 龍之介を預かる予定だった中畑さんという研究者を捜すためにフィリピンを訪れることになった龍之介と光章。一美の知り合いの子どもも連れていくことになった。フィリピンに向かう飛行機の中で殺人事件が起きる。トイレでマーカーのインクをまき散らして殺害されていた女性。血を隠すためではなく,ネックレスの飾り玉の代わりにガラス玉を使うためにマーカーを分解していたいうオチ

夕日はマラッカの海原に
 フィリピンについた龍之介と光章がガイドのラモスとともに事件に巻き込まれ,ラモスが殺害される。真相は,ラモスの殺害こそが目的であり,義眼だったラモスの義眼に火薬が仕込まれていたというもの。いやいや,いくらなんでもこれは…。ミステリとは言えないような作品

ダイヤモンドは永遠に
 フィリピンから一美に電話を掛け,一美と兄が事件に巻き込まれたことを知る。密輸されたダイヤが見つからないという。ダイヤの隠し場所は,ドアの掘込錠の中だった。

あかずの扉は潮風の中に
 光章達が捜していた中畑が,密輸に関係しているのではないかと疑いを掛けられる。中畑が密輸に関係する情報を聞いていたのは,密輸犯が利用していたパイプのモールス信号を聞いていたからだったというオチ

 全体を通じて,ミステリとしては弱く,キャラクターの雰囲気を楽しむべき作品といえる。非常に軽い作品なので,寝る前や通勤電車で気楽に読むべき作品。期待せずによめば,そこそこは楽しめるかも。★3で。

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2016年05月15日

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