あらすじ
だれもが小学生の頃に習ったであろう「pH」。理科の授業でリトマス試験紙が赤色や青色に変化する実験をしたあの「pH」です。大人になると、「pH」のことなど気にも留めない生活を送っている人が大半だと思いますが、実は、私たちの身近なモノ・コトをはじめ、ありとあらゆるものに関係しています。たとえば、牛乳は「pH」がある値よりも小さくなると、牛乳に含まれるタンパク質の主成分が固まり、ヨーグルトになります。弱酸性に保たれているヒトの腸内の「pH」が変化すると、風邪をひきやすくなったり、新型コロナウイルスにも感染しやすくなったりします。髪も「pH」の影響を受けやすく、ヘアカラーは「pH」による髪の性質の変化を巧みに利用しています。深刻化する酸性雨は湖や海の「pH」低下にも関係し、海の酸性化は地球の温暖化にも影響を及ぼします。そして、2020年にパンデミック宣言がされ、世界中で猛威を振るった新型コロナウイルスも――。あれもこれも、それ全部「pH」のせいなんです。
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Posted by ブクログ
本の題名が面白く、思わず手に取った一冊です。私自身、pHの基礎知識は習得していましたが、実生活や社会現象でのpHの影響は、あまりピンときていませんでした。しかし、この本を読むとpHの知識がより一層深まりました。また、生活面(料理、清掃、病気など)をpHの概念から考え直そうと思えるようになりました。少し化学の専門知識が必要ですが、私生活や仕事に役立つ一冊です。
Posted by ブクログ
本書を読めば、世の中を「pH」という新たな視点で解釈する事が可能になる。素晴らしい本だ。
pHの値は0から14まであって、7が中性。7より小さければ小さいほど酸性が強く、7より大きければ大きいほどアルカリ性が強い。レモンのpHは2.0~3.0、ビールは4.0~4.4、牛乳は6.5で、レモンやビールは酸性で、牛乳は中性寄り、他にも、人間の腸内は弱酸性に保たれている。pHの大小により、味が変わったり、色が変化したり、さらには別の物質に変化してしまう。牛乳は、pHがある値よりも小さくなると、ヨーグルトになる。
ところで、あなたは「pH」を〝ペーハー“と読まなかっただろうか。私はそうだ。2012年以降に中学校で理科を学んだ方はこれを〝ピーエイチ”と読むらしい。まさに、年齢を判断するリトマス試験紙のようである。
pHは「potential of Hydrogen」の略で、水素イオン(H+)の濃度を表す。この濃度により、対象となる物質が「酸性」か「アルカリ性」か、あるいは「中性」かが決まる。
― 水を例にして、もう少し詳しく説明しましょう。水はH2Oという分子式で表されます。これは水素原子(H)2個と酸素原子(O)1個が結合したものです。水はとても安定した物質ですが、実は一部は常に電離(分解)しており、HとOH(水酸化物イオン)という2つのイオンに分かれています。純粋な水の場合、水分子のうち電離してH+が発生するのは1千万個に1個の割合です。pHは、この分母10の指数7をとるため、pH=7となり、中性であることがわかります。水をはじめ、H+やOH -、を発生するものは多数あり、電離してH+を発生する物質を「酸」、OH -を発生する物質を「塩基」あるいは「アルカリ」と呼びます。
このpHが私たちの食事にも体調、土壌や農業にも関係してくる。上記の通り、ペーハーと読んでしまったくらいなので一度習った内容であり、素晴らしい本と言っている時点で自分自身の知能を疑うが、正直な感想だ。
Posted by ブクログ
電離してH+を発生する物質を酸、OHーを発生する物質を塩基、またはアルカリと呼ぶ。
純水はわずかに電離していて、H+、OH-の濃度は、1の10-7乗。指数7をとって、PH=7を中性とする。
空気中の二酸化炭素は、微量だが水に溶けやすい。溶けると炭酸になる。炭酸になると、H+の濃度が増えて賛成になる。酸性雨の理由。炭酸飲料と同じ。
スティックのりの色つきはアルカリ性。空気中の二酸化炭素や紙の酸性の成分を吸収して、色が消える。
アルカリ性の物質は限られる。固形石けんは、灰汁はアルカリ性。
酸性食品、アルカリ性食品は、食べる前の酸、アルカリは関係ない。代謝の結果、最終酸化物がどちらの性質をもつかで決まる。金属元素を含むものはアルカリ性酸化物になる。植物にはミネラルが多く、金属元素だからアルカリ性食品になる。穀物、肉、魚は酸性食品。
ワラビは、毒があるので灰汁抜きをする=酸性の毒を中和させる。鍋のアクは別物。野菜の不溶性部分が集まったもので栄養分が含まれている。
酢飯は、PH4.6以下であれば病原菌の繁殖が防げる。なれ寿司、飯寿司はPH4くらいになる。ボツリヌス菌も4まで下がれば繁殖できない。
ライ麦は適応PHが広く耐寒性があるため北欧でも育てられた。アミラーゼが多く含まれ、デンプンが分解される。そのためサワー種という酵母を加える必要がある。PHが下がってアミラーゼの働きが抑制されて生焼けにならない。サワー種のため独特の酸味がある。
タンパク質は加熱すると水分が絞り出されて固くなる。ゆで卵も同じ状態。元には戻らない。火傷も同じ状態。水分を与えても元には戻らない。
毒蛇の毒はタンパク質。アルコールに漬けると毒性を失う。マムシ酒ができる。BSEはブリオンタンパクに毒性が現れた現象。
肉の等電点は5.5でこれに近いほど収縮で水分が絞り出されてパサつく。重曹などでphを5.5より高くすると収縮が起こりにくくなり水分が保たれる。マリネ処理で酸性にしても水分を保てる。
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