あらすじ
「最近の若者は本を読まない」のは本当なのか?「中高生に読まれている本」の綿密な調査と分析を通し、十代の読書の実態を検証する。
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Posted by ブクログ
雑誌離れは進んでいるものの、90年代よりも今の中高生の方が書記を読んでいる。
TikTok売れは、新規のタイトルが突然売れたわけではなく、すでに定評のあった作品が再度注目を浴びたもので、加えて、中高生全体の読書量を押し上げたとは言えない。
石田光規(2021)『友人の社会史』「地縁・血縁や企業共同体の希薄化に伴い、人間関係の流動性が上昇した結果、日本の若者は80年代ころから何でも打ち明けられる「親友」を持てなくなってきている。」「60年代までの農村社会における切っても切れない関係と異なり、現代においては友人関係は自ら「選択」して築き、維持するものに代わっているため、本音の吐露や激情を交わし合うなどの深い人間関係を築くためのリスクを回避する。」
Posted by ブクログ
2024年時点で、32歳なので、Z世代はひとまわり離れた世代。どういった書籍を読んでいるかの知見が広がりました。
この作者の偉いところは、「中高生が好む本を実際に網羅的に呼んで分析する」という方法を選択したところだと思います。
即座に自信で言ってる通り、主観にはなってしまうかもしれないけど、単なるデータをお出しされたよりは、読み物として面白いし、どんな本か実感を持って受け取れます。
だから、読まれる本の「四つの型」「三大ニーズ」というのを、示すことができたのでしょうし。
①自意識+どんでん返し+真情爆発
②子どもが大人に勝つ
③デスゲーム、サバイバル、脱出ゲーム
④「余命もの(死亡確定ロマンス)」と「死者との再会・交流」
1正負両方に感情を揺さぶる
2思春期の自意識、反抗心、本音に訴える
3読む前から得られる感情がわかり、読みやすい
うーん、確かによくみる!
あと、新たな境地を開いた『5分後』シリーズ、内容薄いんじゃないかなと忌避していたのですが、多様な作品を収録、文体のリズムを整えるなど、工夫を凝らした一冊ということで、なるほどよく考えられているんだな…と思いました。
先入観を取っ払う意味でも、よかったです。
読んでみないとやっぱり、わかりませんね。
Posted by ブクログ
以前、「トレビアの泉」というTV番組がありましたが、そこにあった「へぇ~」ボタンをバシバシ叩きたくなる内容です。
「若者」と言っても、主に10代を軸に書かれていますが、①小中学生の読書率・平均読書冊数は2000年以降V字回復(児童書は一人当り販売額はほぼ倍増)、②日本人の半分が本を読み(平均月1~2冊、一日30分程度)、長期間この傾向は変わっていない、③但し、「雑誌」は減少傾向に歯止めがかからず伸びしろがある、ということにつき、グラフを交えてデータで検証しています。特に、「子どもの読書量に関して、本棚や蔵書などの環境要因からの影響は確認できず、遺伝的影響だけが『影響あり』と統計的に見なされた」というのには少なからず驚きました。
「若者」には太宰治の『人間失格』が依然人気のようですが、売れるには「お作法」があり、①正負両方に感情を揺さぶる、②思春期の自意識・反抗心・本音に訴える、③読む前から得られる感情がわかり読みやすい、が三大ニーズと書かれています。これを踏まえた「型」もあり、子どもが大人に勝つ(『名探偵コナン』)、脱出もの(『王様ゲーム』)、余命もの(『余命10年』)などなどが分類・列挙。
書店で「いま売れています!」のポップにつられて購入したものの、どうもしっくり来なかったのは、ネット小説や「若者」向けのものだったのだと「へぇ~」ボタンを押しながら納得しました。