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看護師から警察官に転職した主人公の配属先は資料室。
過去の未解決事件を時空トラベラーとなり解決していく短編集。
未解決事件の捜査が手探りな感じとおじさん一日署長となった感じと楽しく読めました。
これはシリーズ化して欲しい。
実際は署長がどのくらい自由に動けるのかは
さておき、楽しく警察物がよみたい人にはオススメの一冊。
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新人警官であるいずみが過去の警察署長に憑依して事件を解決なんて、すごい突拍子もない設定だー。
タイムリミットはたったの「1日」。
なんて面白いんだろう。
署長(中身はいずみw)とコンビを組む羽目になる警察官の心労やいかにw
実務を引き受け、実質的なトップであるはずの副署長もお気の毒w
面白くて一気読み。
続編があったら嬉しい。
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史料編纂室に配置されてしまった新人警察官のいずみは、退職勧告を受けたものと思い落ち込む。しかし史料編纂室のデータ入力用パソコン「ポルタ」には不思議な力があった。過去の警察署長の身体に、いずみの意識をタイプスリップさせることができるのだ。ただしそれは一日だけで、その一日のうちに事件を解決しなければならない。一日だけ署長として事件に挑むいずみの活躍を描く連作ミステリです。
設定がまずユーモラスで楽しいです。署長に憑依することで権威をうまく利用でき、現代(未来)に読み込んだデータをもって事件を推理する、というなかなかに有利な状況とも思えるのですが。ジェネレーションギャップに苦しんだり、若い女性であるいずみが一日だけとはいえおっさんの身体を得てしまうという悲嘆がおかしくってしかたありません。また署長がどの人も癖の強い人ばっかりなんだよなあ。それも面白いんですが。
さらに事件を解決するだけでなく、そのことによって未来で起こりうるさらなる事件を阻止するという流れに繋がるのがまた爽快。現在進行中の事件を解決するだけよりもやりがいがあるかも? ほんっとうに楽しいなあ。続編も期待したいです。
お気に入りは「一九七七」「二〇二二」。ミステリとしての難易度が高かったです。これ、私だったら解決できなかったわ。
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高卒で看護学校を卒業し、二年看護師をした後警察官を受け直し、見事警察学校トップの成績で警察官になった五十嵐いずみ。期待を膨らませていた配属先は警視庁の地下3Fの史料編纂室。紙の捜査資料を電子化するのが主な仕事で、60代の西脇の代わりとして配属されたものの、あまりの窓際配置に落ち込むいずみだったが、西脇の「一日署長」と言う言葉がいずみの配属された意味を知る言葉となり…
言葉の通り、いずみは通称「ポルタ」と言うパソコンの意思で過去の捜査資料の署長としてタイムリープするハメに。そのたった一日で過去の事件を解決に導く力は流石選ばれし人材でした。
色々な署長になって事件を解決するのがテンポ良く読めて、楽しかったです。是非シリーズ化希望です!
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軽い気持ちで楽しめるエンタメ小説。署長にしかなれないという面白さと、署長という肩書きの便利さがこの小説のキモ。生まれてもいない時代に遡ってしまうのが面白いなあ。
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警視庁資料編纂室に配属された新人女性警察官が、時を遡り過去の迷宮入り事件を解決するSFミステリー連作短編集。
◇
看護師から警視庁の警察官へと華麗な転身を図った……はずだった。
警察学校を首席で卒業。本庁勤務ということで希望に溢れ登庁した五十嵐いずみに下された辞令は、資料編纂室勤務。その資料編纂室は庁舎地下にあり、窓1つない暗い部屋である。
そこでいずみを迎えた西脇敬三という初老の巡査部長は、簡単に引き継ぎを済ますと職場を去っていった。つまり資料編纂室の定員は1人だけなのだ。
仕事は過去の捜査資料をひたすら PC 入力するという事務作業で、まるで窓際業務のよう。こんな職場なら辞めてやると毒づきつついずみが資料の入力をしていると、突然パソコンの画面から放たれた眩い光がいずみの身体を包んでいき……。
(第1話「一九八五」) 全5話。
* * * * *
大倉さんの作品というだけで予備知識なしで手に取りました。イベントで1日署長体験をした女性の話かなと思ったら、まったく違っていました。
新米女性警察官が着任早々、警視庁内でも(恐らく)上層部しか知らない特殊任務を拝命します。
その任務とは、過去の未解決事件が発生した時点までタイムリープして捜査を解決に導くというものでした。ただし、ここからが大倉さんらしいこだわり設定。
まず、五十嵐いずみが身体ごと事件現場に跳ぶわけではなく、いずみの意識だけがタイムリープして当時の捜査関係者に憑依するという点。つまり、いずみは慣れない他人の肉体で動かないといけないということなのです。これだけでも大変です。
次に、憑依相手は捜査官ではなく、なんと所轄署署長であるという点。
当時の署長は全て男。狭い世界ですが、体育会系のお山の大将で、パワハラ・セクハラはザラ。しかも定年が近いヒヒオヤジなので加齢臭も気になる老醜の極み。
20代のいずみには酷な憑依で、気の毒な限りです。(でも笑えます。)
さらに酷なのが、とにかく条件的な動きづらさがあるという点。
署長はキンキラキンの飾りがついた大仰な制服姿。町では目立つことこの上ない。おまけに肥満体であったり生活習慣病持ちであったりします。捜査を迅速に進めようとしても動けないのです。
なのに、いずみに与えられた制限時間は「1日」だけであるという点。
普通ならギブアップして辞表を出すと思うのですが、いずみは違いました。
なぜか。それは、いずみのキャラ設定にあります。いずみはこんな女性です。
①優秀
警察学校首席。法令や規則などの座学や逮捕術などの実習はもちろん、運動や武道もそつなくこなせるということでしょう。
②負けず嫌い
どんなことでも、やる限りはきっちりやってみせようと頑張り、投げ出さない。
③正義感が強い
捜査資料を入力しつつ未解決事件には批判的で、仕方ないで済ますのを許さない。
④元看護師
医師や患者と意思疎通を密にし、必要とあらば丁々発止のやり取りをしてきたはずで、舞台度胸もコミュ力も持ち合わせています。また、出血や傷痕を見ることに耐性があり、遺体を前にしても平静を保てるでしょう。
かくして、いずみは1日署長を立派に務め上げるのです。
事件が迷宮入りになる分岐点を見出したいずみが、捜査をコントロールして解決に導くさまは痛快そのもの。
また、それまで署内で嫌われ者だった署長ですが、憑依したいずみがうまく立ち回って事件解決のお膳立てをしたことで、署員から見直されるというおまけも楽しい。(本人にはいずみが憑依していたときの記憶はないので、その整合性をどうするかまでは描かれていません。でも気にならないほどのエンタメ性の高さです。)
シリーズ化して欲しい作品でした。
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知人からの紹介。
著者の名前の字面は見たことあったけど、読むのは初。
コナンの脚本も書いているのか。そこに一番感心してしまう。
ライトなSF警察小説。
そんなジャンルがあるのかどうかは知らないけれど。
有能で若い主人公が、資料の入力という閑職丸出し部署に配属される。
不思議なPCの力でタイムスリップし、1日だけその時代の所長に憑依して未解決事件に挑む。
所々に中年男性へのヘイトがにじみ出ている。
多少傷つきそうになるも、奥付を見たら著者も中年男性なので、自虐ネタと思うことにする。
もっと若い人が書いているのかと思った。
警察内での所長の立場など、あっさりめだけど触れられている。
本格警察小説だと、その辺の人間関係がもっとドロドロするのだろうけど、そこはライトSF警察小説。
とっつきやすくする作者のサービス精神なんだろうな、と思った。
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大倉崇裕さんの作品を読むのは初めて。『福家警部補』シリーズなど、警察物のシリーズが比較的多い作家だろうか。書店を物色していて何となく手に取った本作も警察物だが、設定に興味を持った。タイトルの『一日署長』の意味とは?
警視庁警察学校を主席で卒業した五十嵐いずみが配属されたのは、本庁地下にある一室。1人で過去の事件資料の入力をする日々に嫌気がさしていたいずみだったが、ある日未解決事件の資料を入力していると、彼女の意識は過去へ飛び…。
「一日署長」といえば芸能人やスポーツ選手が務め、あくまでお飾りである。ところが、いずみの場合は、過去の捜査現場の所轄署長に憑依してしまう。意識が現在に戻される一日の間に、署長として事件を解決に導くのがいずみの役目なのだ。
外見はおっさんでも中身はいずみなので、署員も怪訝な反応をするが、なりふり構ってはいられない。通常、署長自ら捜査に赴くなんてことはないが、適当にパートナーを見つけて動く。ちょっとした『相棒』か。主席卒業だけに頭脳は明晰ないずみ。
そうして現在に戻ってみると、事件の結果も変わっているのがお約束。タイムパラドックス云々には目を瞑ろう。あるケースでは、どうしても過去を変えなければならない切実な事情があった。詳しくは伏せておくが、これだけで長編にできそうな。
各編タイトルは西暦年号になっており、何年に飛ぶかはバラバラだが、最後は「2022年」。具体的にはわずか数日前である。タイムトラベルネタは数あれど、これほど近い過去に飛ぶパターンは異例。そういう点ではひねっているのかも?
警察小説として、タイムトラベルものとして、目新しさがあるようなないような全5編。十分に楽しめたし、続編が出たら読んでみたいが、この任務に縛り付けられるいずみが気の毒な気もする。前任者は30年間も務めたそうだが…。
とりあえず、『福家警部補』シリーズを読んでみようか。
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元看護師として勤務後、警察学校を首席で卒業した五十嵐いずみが配属されたのは地下3階にある資料編纂室。
前任の西脇から引き継いだ仕事は過去の事件データの入力だった。不貞腐れつつもデータ入力していると、突然パソコンがうなりだし、入力したばかりの未解決事件捜査署の署長に憑依していた。
憑依するそれぞれの署長、時代背景の違いなどに戸惑いながらも、事件解決に動く。
初対面のいずみに対し、「コマンドー」と評する理由など明らかにされてないし、シリーズ化するのかな。
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【収録作品】一九八五/一九九九/一九六八/一九七七/二〇二二
元看護師で警察学校を首席卒業の五十嵐いずみは、なぜか閑職と思われる史料編纂室へ配属された。ろくに説明もなく前任者は退職。不本意ながら我慢して過去の事件の資料を入力することにする。鬱々と過ごしていたが、忍耐の限界に至る。そのとき、パソコンの画面が光り…
タイムリープもの、なのかな。当時の事件を扱う警察署の署長の体にいずみの意識が入りこみ、捜査するという形式。ただし、猶予は一日のみ。
だから、解決までたどり着いたものの、事後処理の前に戻ってしまうわけで、意識を乗っ取られていた署長は突然意識を返されても… と思うのだが、ちゃんと事件は解決している。ということは、いずみが認識していないだけで、当の署長の意識もあり、一連の事情を把握しているということなんだろうな。
この事情について前任者によると詳しく説明することを禁じられているらしいこと、いずみが看護師を辞めて警察官になった理由が述べられていないことから、シリーズ化前提のようなので、続編に期待。