あらすじ
科学的な診断方法が確立されていない「発達障害」「精神疾患」について、専門家はあまりに安易な診断と処方を急ぎすぎていないか? 筆者は知られていない歴史と現状に光を当て、緻密なデータを駆使してこの問題を分析する。長期間に渡る取材を通して見えてきた実態を改めて日本人に問う。
「その専門家の意見は正しいですか?」「彼らはあなたやあなたの家族の味方ですか?」
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Posted by ブクログ
児童精神科医は子どもの味方か、「いや、そうとも言えない」、という立場からの本。どうしても主張が強いので、すべてを鵜呑みにはできないけれど知識や防犯の意識は必要だと思った。
それにしても、「子どものため」という言葉の裏で、大人や社会にとって「扱いにくい子」が排除されていく現実は切ない。社会の側に、もっと色々なタイプの子どもを受け止められる心の余裕があればいいのに。
そして何より、親の不安に付け込んで、それを煽るような風潮は本当になくなってほしいと思う。
防犯の意識(引用)
・専門化が正しい診断、適切な治療をできるとは限らない(最重要!)
・基本すら守れない、質の悪い児童精神科医、児童精神科医療機関が存在する
・行政機関は医療の中身まで指導する権限がないため、上記医療機関、医師が放置されている
・精神科領域において、絶対的に正しい診断は存在せず、1人の医師の診断が絶対視されるのは不適切。診断は意見であって、証明ではない。
・チェックリストにあてはめるだけでは本来診断できない。その状態や振る舞いを引き起こす他の要因(特に身体的問題)について徹底的に調べて、除外する必要がある。また、その状態があっても問題なく社会生活が送れている場合は診断も不要である。
・医薬品添付文書に記載されている、「重要な基本注意」を無視した投薬が横行している。
・精神科医師の倫理綱領に違反した反倫理的行為が横行している
以下メモ
・精神医学のマーケティング化
もともと日本において、精神科の印象は悪く受診のハードルは高かった。そこに「うつは心の風邪」、精神の病気ではなく脳の病気とすることで、受診、薬へのハードルを下げた。
政府も自殺予防=うつ治療としてイメージアップに貢献した。
・障害と症
医学用語(英語)のニュアンスを日本語に落とし込むときに、これまでは主に「障害(Disorder)」という言葉が使われてきたが、最近はこれを「症」へと置き換える方針が進んでいる。「固定的で一生付きまとう重いもの(障害)」というイメージから、「変化しうる状態であり、治療やケアの対象であるもの(症)」へ。
・最近ではがんの「早期発見・早期治療」も絶対善ではないと見直されてきている。がん検診のメリットと同時にデメリットのバランスも考慮すべきと。
これは、精神医学における、発達障害やうつ、統合失調症の早期発見にも当てはまる。
・自閉症児へのL-DOPA療法
瀬川医師は、本当に自閉症児へのL-DOPA療法 が正しく、その素晴らしい治療で子どもたちを助けたいと思い込んでいた節があります。それは善意から来るものだったかもしれません。しかし、その信念は非常にゆがんだ形になって、暴走していました。なぜならば、その信念は法律や科学や倫理よりも上位になっていたからです。
・うつ病も、統合失調症も発達障害も病理学的には正式な病気(疾患)というよりも症候群です。原因が特定されていないが、共通の特徴的な症状を示す患者が多い場合にその集まりに対して便宜的につけられた名称。
もし、単一の原因が特定された場合、その症候群は正式な疾患として格上げされる。
・現在の医学的な診断名としては「アスペルガー症候群」はすでに廃止されており、公式には使われていない。
かつてアスペルガー症候群と呼ばれていたものは、現在は「自閉スペクトラム症(ASD)」という大きなグループの中に統合されている。
・日本における「自閉スペクトラム」
本来、アメリカでは「重度の知的障害を伴う自閉症」から「知能が高く言語に問題のない自閉症(旧アスペルガー)」までを一つのスペクトラムとして捉えます。
日本においては、「定型発達な人」から「重度の自閉症の人」まで、人類全員を地続きの一本の線に乗せてスペクトラムとして捉える。この結果、「あの子が変わっているのは、ASDの傾向があるから、と社会的な違和感を説明するための便利なラベルとして診断名が使われるようになっている。