あらすじ
ザトウクジラは、なぜソングを歌うのか?
テングザルの鼻と睾丸の不思議な関係 バビルサの牙はなぜ伸び続ける?
ヤギの交尾が一瞬で終わる切実な理由 なぜクジラはみんな逆子なのか?
アザラシの母乳に脂肪が多いのはなぜ?
ヒトはもともと難産になりやすい——。
求愛の悲喜こもごもから交尾の驚くべき工夫、妊娠・出産の不思議、環境に適応した多様な子育ての方法まで、あまり明るみに出ないけれど実はめちゃくちゃ面白い、繁殖・生殖のはなしを語る。
海獣学者・獣医として海陸両方のさまざまな哺乳類に触れ、解剖学の知識をもつ著者ならではの経験と視点が満載。
読んだあと、生命の不思議と大切さを感じずにはいられない一冊。
■内容
1章 クジラの歌を聴け~海の哺乳類の求愛戦略~
2章 ゴリラの背中を見よ~陸の哺乳類の求愛戦略~
3章 ヤギの交尾を見逃すな~オスの繁殖戦略~
4章 イルカは逆子で産みたい~メスの繁殖戦略~
5章 仔ゾウは、笑う~子どもの生存戦略~
■著者について
田島 木綿子(たじま・ゆうこ)
国立科学博物館動物研究部脊椎動物研究グループ研究主幹。
筑波大学大学院生命環境科学研究科准教授。
博士(獣医学)。1971 年生まれ。
日本獣医生命科学大学(旧日本獣医畜産大学)獣医学科卒業。
学部時代にカナダのバンクーバーで出合った野生のオルカ(シャチ)に魅了され、海の哺乳類の研究者として生きていくと心に決める。
東京大学大学院農学生命科学研究科にて博士号取得後、同研究科の特定研究員を経て、2005 年からアメリカのMarine Mammal Commission の招聘研究員としてテキサス大学医学部とThe Marine Mammal Center に在籍。
2006 年に国立科学博物館動物研究部支援研究員を経て、現職に至る。
海の哺乳類のストランディング個体の解剖調査や博物館の標本化作業で日本中を飛び回っている。
本書では獣医学の知見を活かして海と陸の哺乳類を対象に繁殖戦略を語り尽くす。
著書に『海獣学者、クジラを解剖する。』(山と溪谷社)ほか。
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Posted by ブクログ
前著「海獣学者、クジラを解剖する。」に続く。
前著のお陰で、日本ではクジラの遺体の有効利用への理解が進んだのではないかな。
さて、本著のテーマ 死でなく、生殖である。
全体的な感想として、オスは自分の遺伝子を残すためにひたすらメスを求め、奮闘努力する。メスは自分でオスを選ぶというけど、結局オス同士の戦いの勝者を無条件に受け入れる、という感じですね。
以下、蘊蓄
・シャチは背びれの大きさでオスの優劣が決まる
・ザトウクジラはラブ・ソングを歌い求愛する
・ザトウクジラの歌は毎年流行が変わる
・ザトウクジラの歌は3000キロ先まで届く
・ザトウクジラはシャチに襲われた動物たちのガードをする
・ザトウクジラの歌はCDやYoutubeで聞ける
・イッカクは牙の長さでオスの優劣が決まる
・海底のミステリーサークルは巣で、海水の流れを良くして酸素供給を増えすための形
・ゴリラの白い背中はイケメンの印
・強いオランウータンは顔がでかい
・ニホンカモシカは牛の仲間であり、鹿の仲間ではない
・テングザルは鼻が大きいほどもてる
・孔雀のオスのメスへのアピールは羽根から、鳴き声に変わってきている
・セミクジラの陰茎の長さは3から4メートルで哺乳類最大、著者は鯨類ではセミクジラが一番好き
・セミクジラは交尾の際に大量の精液で、元々あった精液を洗い出す
・ヤギの交尾はほんの一瞬 交尾中は危険なためとあるが、では出産も一瞬なのか?そこには触れられていない
・基本野生動物のメスはワンオペ育児
・ライオンは数頭のオスでハーレムを作る
・ライオンは陰茎のトゲトゲで排卵を促す
・ライオンの交尾は1回20秒、1日50回以上これが1週間つづく、これに応えられないオスはメスに群れを追い出される
・イルカなどは逆子で生まれる、頭から生まれると溺れてしまうおそれがあるから