あらすじ
『大家さんと僕』『ぼくのお父さん』など話題作を生み出してきた著者が、認知症患者とその家族の日常を描いた!
認知症の症状の進行具合を四季(春・夏・秋・冬)に分けて、それぞれの時期に認知症患者さんにどんな変化が起こり、介護者さんはどう対応したら良いのかがわかる構成。笑って、泣けて、不安がやわらぐ本です。
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はじめて、全編描き下ろしでマンガの単行本を描きました。
認知症の専門医である長谷川嘉哉先生のご著書『ボケ日和』の装画を描いたご縁から原案とさせてもらいマンガ化しました。
長谷川先生の本はあたたかくユーモアを交えて、「老い」を、「老化」を、その一環である「認知症」を、そして誰にでも訪れる「死」をあたりまえのことだと教えてくれて、安心を与えてくれます。この本の装画を引き受けることを勧めてくれたのは僕の母でした。
母は長年、介護の仕事に従事していました。でも子供の頃から、僕は母の仕事について詳しく聞いたり、学んだりすることはありませんでした。どこか目を背けてしまっていたのだろうと思います。今、母は高齢になり介護される側、僕は介護する側の年齢になろうとしています。
この漫画を描くことで僕自身が、介護や認知症についてもっと考えたい、学びたい、知りたい。それがこの本を描いた一番の動機だったのかもしれません。
このマンガを読んだ皆さんの未来への不安が、あたたかな日差しのような安心に変われば。そんな一冊になっていたら幸いです。
— 矢部太郎
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Posted by ブクログ
「大家さんと僕」からの大ファン
認知症と言う難しい問題に
優しい絵とアドバイスでほんわかさせてくれる
怒りっぽくなったり、物取られ妄想が出たりの
どうしてそうなるかを知っておくと対応が全然違って来ると思う
『食事が摂れない状態が続くと
モルヒネ様物質が放出されて
ふわふわと心地よく
苦しさも
不安も
恐ろしさも
感じなくなります
食事が摂れなくなるのは
生命に与えられた
最後の安らぎなのです
ただ見守るだけというのは
つらいことです
でもただ見守ることが
思いやりなのかもしれません』
この言葉に救われます
私も延命治療はせず、ふわふわと心地よく
旅立ちたいです
Posted by ブクログ
「食事が摂れない状態が続くとモルヒネ様物質が放出されてふわふわと心地よく苦しさも不安も恐ろしさも感じなくなります 食事が摂れなくなるのは生命に与えられた最後の安らぎなのです 死を通して死んでいく者があたりまえの生を見せることそして残された者がそれを受け止めて自らの人生の糧とすることみんなあたりまえのことなのです」涙が止まらなくなりました。読んでよかったです。こんな素敵なマンガを出していただきありがとうございました。
Posted by ブクログ
とても優しくわかりやすく描かれている。
始めのエピソードに出てきた女性の
「心がスッと冷えてしまって」
私は今その状態だ
完全に心は閉じてしまっている
病院やケアマネに相談して解決しないこともある
そもそもお金がなければどうにもならないことも
自分はこうなりたくない
その一心
Posted by ブクログ
元ネタ本があって,それを漫画化したもの。矢部太郎氏のふわっとしたタッチなのでボケ症状の苛烈さは表現されない。医師や看護師,OTPT,ケアマネ,介護士,といった専門家の助けをかりながら,ぼちぼち過ごしていく。昔は,結核やガンと宣告されたら,それで終わりと同様に,ボケたら(認知症になったら)全てが終わりとゼロイチで考えていた。今は,ゼロイチではない。尊厳を持って生きていくために,尊厳を持って死んでいくために,持っていた方がよい知識の1つが認知症に関する知識。老化に伴う現象の知識かな。