感情タグBEST3
Posted by ブクログ
『腐葉土』に似た印象で、途中、登場人物の、現代では経験できない史実が盛り込まれて、事件の中枢に繋がっていく、だけれど、今の価値観を持ってる人間が読んでもわからない、その経験をしたからこそ、その選択をした…というところが個人的にはすごく面白いと思ったんだが、評価がみんな辛口ね。笑
すごい好きなんだけどなあ。
直木賞あたり取って欲しい作家さん。
Posted by ブクログ
血で汚れた古い5000円札が自販機などから出てきた事案を、フリーランスライター木部美智子が追求していく物語だが、25年前の火災事件、さらには戦前の満州での出来事が絡んで複雑なストーリーが展開する.戦後一時的に真珠養殖で繁栄したものの、薬物被害で台無しなり、同時期に伊方原発に関連する闇資金が村にばらまかれ、その矢先に起きた火事.美智子が様々な情報を収集して、複雑な難問を徐々に解き明かす過程が楽しめた.最後に、美智子が東都新聞の亜川、キー局の濱口、桐野弁護士らを集めて、彼女の考察を披露する場面が素晴らしかった.三世代に渡る物語が、今見えているように描かれている感じがして、非常に面白かった.
Posted by ブクログ
木部美智子シリーズ第6弾。
物語は1996年夏、四国の山と海に挟まれた小さな漁村の事件から始まる。
それから25年後の夏‥‥次々に発見された血のようなシミのついた旧五千円札、一人のジャーナリストの死、そして池袋のビルの谷間で発見された身元不明の男の遺体。
話の展開に追いつけないうちに物語はどんどん裾野を広げ、舞台が愛媛県の村に至ると今度は深さを極め、原発マネーの問題から満蒙開拓団の歴史や戦前戦後の漁村を取り巻く様々な悲劇が描かれる。いつのまにか息をするのも忘れたように話に入り込んでいた。
そして複雑に絡み合っていた事実が整理された時、導き出された真相はあまりにも哀しいものでした。
「事件の陰にいくつの悲しみが潜んでいるか」
隠蔽するために、守るために、事実を捻じ曲げた結果、多くの人間が苦しみ、悲しみ、その後の人生を送ってきたことがとても切なく読後に深く余韻を残しました。
木部美智子シリーズ、これからも追い続けます。
Posted by ブクログ
かなり、重厚で複雑なミステリーだった。
終戦の壮絶な満州での日記は、心に重く感じた。
偶然にお盆の期間中に読み終わった。
今年の終戦記念日は78年目。
戦争の恐ろしさ、人の恐ろしさを痛感した。
フリーの記者、木部美智子の推理、またまた冴えわたり!
Posted by ブクログ
疲れた。壮大な大河ドラマのようで読み応えはあったが…。観念的で難解な文字ばかりが先走る。さらに話のスジと関係ない描写や突然振りかざされる大上段の社会正義に思考が散漫に。「真実を突き止めて公にする記者がヒーローだった時代。ペンによる正義がかっこいいと思われた時代。真実を伝えるという自負があった時代」そんな時代もあったかなぁ。満州のパートは大岡昇平さんの野火も意識したんだろうな。
Posted by ブクログ
※
時代、歴史、土地の因習や人々の思い、
さまざましがらみが複雑に絡み合った物語。
複雑に混じり合った幾つもの事件と謎を
フリーライターの木部美智子が、一つひとつ
丹念に調べ上げ、紐解いて真実を明らかにする。
男性色の強い業界で、老若さまざまな癖のある
人たちから一目置かれる主人公(木部美智子)の
スーパーウーマンぶりが際立ちます。
真実を知ることが必ずしも最良ではなく、
知った過去をどう消化し未来に繋げるかが
大事なんじゃないかと考えさせられた小説。
ページ数はそんなに多くないのに、時代描写が
とても細かいので情報過多で若干話から
気が削がれてしまいそうになりました。
その分読み応えは十分ですが、謎の地図に
辿り着くまでが遠かった。