【感想・ネタバレ】ダイヤル7をまわす時のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 初版は1985年に刊行された、故泡坂妻夫氏の短編集である。生誕90年記念出版の第1弾として、創元推理文庫から刊行され、第2弾、第3弾も予定されている。

 表題作か「ダイヤル7」。暴力団の組長が自宅で殺害された。犯人はなぜすぐに現場を離れなかったのか? 若い読者にはピンとこない理由かもしれないが、自分は使ったことがある世代なので納得。ノスタルジックな1編。

「芍薬に孔雀」。容疑者らしき人物が、事情聴取中に刑事に語ったこととは。泡坂氏は奇術の愛好家だったそうなので、こんなネタを思いついたのだろうか。マニアックであり定番ジャンルでもある、ピリリと洒落が効いた1編。

 「飛んでくる声」。なぜか向かいの建物の部屋から声が聞こえる。その内容とは。構成面でもよく練られているのだが、真相よりも、声が飛んでくる現象の説明がないのが気になった。ガリレオシリーズではないけども。

 短い「可愛い動機」。動機はともかく結果はまったく可愛くない。他の手段がいくらでもあるだろうがっ!泡坂流ブラックジョークか?

 「金津の切符」。嗚呼、コレクターの悲哀か。「芍薬に孔雀」に負けず劣らずマニアックだが、解せないのは犯行が露見した理由。「………」に込められた、犯人の気持ちやいかに。○○をこのために使うのは現代目線でも斬新だ。

 キュート路線だろうか「広重好み」。回りくどいというか何というか。ダシにされた彼の立場は…。最後に「青泉さん」。アトリエで殺害された青泉さん。彼のようなタイプはいるが、殺された上に暴かれてしまうとは、気の毒すぎる…。

 全7編、バリエーションもあり楽しめた。第2弾以降も読んでみよう。

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2023年03月12日

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