あらすじ
辞職を迫られた改革派官僚“覚悟の証言”「霞が関は人材の墓場」――著者はそう切り捨てる。最高学府の卒業生、志を抱いて入省したはずの優秀な人間たちが集う日本最高の頭脳集団。しかし彼らの行動規範は、「国のため」ではなく「省のため」。利権拡大と身分保障にうつつを抜かし、天下りもサボタージュも恥と思わない……。いったいなぜ官僚たちは堕落の道をたどるのか?逼迫する日本の財政状況。政策提言能力を失った彼らを放置すると、この国は終わる。政官界から恐れられ、ついに辞職を迫られた経産省の改革派官僚が、閉ざされた伏魔殿の生態を暴く。【内容例】「震災復興は利権のチャンス」――悲しいかな、それが官僚の性である/「5.7メートルで安全」と決めたのは経産省/天下りは国民に気づかれないようにこっそりやっている/なぜ政治家は官僚に取り込まれるのか/坪単価5,000万円、充実しすぎの身分保障/「不夜城」の真実 etc.
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Posted by ブクログ
官僚を追い出された改革派とよばれた元官僚による、霞が関で官僚がどのような思考回路で働き、問題があるのか述べられた本です。
縦割り行政にようる構造から、官僚は国益ではなく省益のために動こうとすることで、全体的に俯瞰して政策を作ることができなかったり、同じ目的で作る機関を2つの省が同時に作ることで無駄な金と人、時間が割かれることの問題について述べられていることに関しては、東大法学部の出身者が多く、多様性が少ないことが原因だと思います。
また、日本人は海外の人に比べ哲学が思考の土台に乏しいことも成長を妨げていると思います。海外の経営者はよい製品は高くても買うが、日本企業はコストを下げるように下請け企業に求め、中国に乗り換えることをちらつかせて脅します。だから日本の中小企業は伸びるべき企業は伸びず、政府が無理して中小企業を救うために、代謝が進まず海外に後れをとってしまうと述べていました。
また、官僚の出世や天下りなど普通はおかしいことも、上司が絶対とか、自分の将来の安泰のためにおかしいことをしてしまう官僚が多いことは問題であり、評価制度を実力主義に変え、国のために考える人が評価される官僚組織が大切だと思いました。自分のことしか考えていない官僚が多いことには驚きました。
世界の変化が激しい今、日本の霞が関は全く変わるスピードが遅く、このままではどんどん遅れていくと考えざるを得ないと思います。これから内部から変えられるようにする意志や行動が大切だなと思います。