【感想・ネタバレ】月に呼ばれて海より如来る 〈新装版〉のレビュー

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Posted by ブクログ

 オウムガイから螺旋をめぐる宇宙のお話。

 とても不思議な読後感でした。

 著者が得意とする爽快な読後感やカタルシスをほとんど味わうことがなく、逆にそれが妙に心に引っかかるようなそんな印象を受けました。

 といって、それぞれのエピソードは読みごたえのある作品であり、登場人物一人一人に感情が向けられるようでした。

 オウムガイにそんな歴史やロマンがあるとは、今まで想像したこともなかったので、気づきや視点とは、とても大切なことだと改めて感じました。

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2023年02月26日

Posted by ブクログ

登山家・麻生誠は、現地政府の許可を得ない違法なアタックでヒマラヤの霊峰・マチャプチャレに挑む。猛吹雪に襲われ、友の生命と自身の指五本を犠牲にしながら頂上を目指した麻生が目にしたのは、煌々とした月の光に照らされた巨大なオウムガイの化石だった。
なんとか下山して帰国した麻生は、オウムガイに異常な執着を見せるようになる。連日通う水族館でオウムガイを担当している布引と交流するようになり、布引からオウムガイにまつわる様々な奇譚を聞き、さらにオウムガイへの興味を深める麻生の身に、やがて不思議な出来事が降りかかる・・・。

事前に知ってはいたんですけど、こちらの想像以上に突然、本当に突然、話が終わります。ブチっと終わります。これ以上ないほど話を放り出した形での「未完」作品です。
それでも、巻を閉じた後にそれなりの充実感があるのは、夢枕獏作品ならではの世界観と美学に満ち溢れているから、でしょうね。

未完であることをもって激しく罵倒しているレビューも散見されますが、正直申し上げて、夢枕獏作品はかなりの割合で未完です(苦笑)作者本人が飽きてしまうのか、疲れてしまうのか?その辺はよくわかりませんが、まぁそういう作家で、読む方もある程度織り込み済みで読んでますので、未完であること自体には、鴨はそれほど抵抗はありません。
未完作品ばっかり世に送って、それでもこの作家が作家として活動を続けていられるのは、一重にストーリーよりも物語の世界観や肌触りに重きを置く作風だから、だと鴨は思います。螺旋・宇宙・月・音楽・雪山・女体・時間・・・様々な要素をてんこ盛りに盛り込んで、感覚的に「理解できそうで理解できない何かを語る/騙る」、それが夢枕作品です。ロジカルな構築は、ほぼ感じられません。ひたすらに感覚的で官能的で、とにかく美しければ良い。理屈はいらない。そういう作風です。だから、未完でも刊行されちゃいますヽ( ´ー`)ノ
そんな特徴的な作風を、思いっきり凝縮している作品だと、鴨は思います。

とはいえ、さすがにこの尻切れトンボっぷりは、高評価することはできません。でも、それなりに面白いですよ。
十数年ぶりに夢枕作品を読んで、「そうそう、これだよな〜」と不思議な充実感を味わえました、はい。

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2023年02月04日

Posted by ブクログ

読み始めは、山岳小説と思ったが、第一部の後半からは伝奇小説に。第二部でどう展開するのかと期待したところで、終わった。第二部江戸編が大江戸恐竜伝につながっているということなので、読み直そうと思うが、それでもやはり続きを書いて欲しい。

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2023年01月29日

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