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Posted by ブクログ
再読
単行本版感想から転載
武周時代、両親が亡くなり路頭に迷う所を、哭女として弟妹を養う事となった少年の成長と、挑む葬儀の死の真相を追うミステリー
過酷な環境と未熟な子どものできる事、考えられる事は限られていると痛感します
忌まれる職業であり女性しかなれないけれど、10才の少年という事で女装をして、13才で都一の哭女となった泪飛と、そんな彼に訪れる運命の出会いの物語
最終章で、成長した彼が鏡の中の自分に語りかける一言に号泣しました
Posted by ブクログ
まだ年端もいかない子供の頃、ちょっとしたことでピーピーと泣く私は親戚の叔母や叔父に大きくなったら、泣き女になればいいとからかわれていました(今思えば、そんな大したことでもなかったんですが、幼稚園にも行っていない幼児をからかいおって)
そんな経緯もあり、こういう仕事があったということだけは知っていました。
この物語の主人公、泪飛こと燕飛は少女ではなく、少年。早くに両親を失い、幼い妹と弟を養うためにいやいやながらも哭女をしているのですね。
男子だと知られるわけにもいかず、父親が役人だったために科挙を受ける準備をしていた彼は無理をしていた母の死に目にもあえず……。
そんな時に葬儀の帰りに泪飛は一人の青年と出会います。
青蘭と名乗る青年は親友であった張飛が陰謀から殺されたのではないかと思い、張飛の葬儀に哭女として泪飛に出てほしいと頼むのです……。
ここから始まる青蘭と燕飛の物語。
それはこの時代の闇を見ることでもあり、燕飛には自らの身を顧み、新しい道へと踏み出す始まりでもあったのです。
中華関連の作品で則天武后の時代は珍しいなぁと思いつつ、物語に引き込まれてのあっという間に読んでしまいました♪
舞台がどの時代であっても中国はその広い大地に多くの民族を抱えていることが問題になるのだなぁとしみじみ。
民族の違いを相手を否定する理由にしてはならないと強く思いながら、理不尽というものはいつの時代にも私たちの背中に張り付いていて、私たちがそれをはがさなくてはならないのだとも思いました。
幼い頃の記憶と共に、たくさんのことを考えさせてくれる一冊でした。