【感想・ネタバレ】カプチーノ・コーストのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

『カプチーノ・コースト…見た目とは裏腹の現実』

パワハラが原因で求職中の早柚。
ふとしたきっかけでビーチクリーンを始めるも…
最初から最後まで、違和感を抱き続ける早柚。
何が本当なんだろう?
この世の中、晴れることのない違和感で溢れてる!?

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2023年01月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この本を購入したきっかけは、「しんどい時ほど、周りに頼れない。自分を見つめ直すひと月の物語」という帯文でした。
今年の一月上旬。
人生でこんなに辛いことがあるのかと絶望して、会社から一週間の休みをもぎ取った時に出会った本です。

いつもより少し詳しめに物語の内容を以下に。

1ヶ月の休職中に、海岸のゴミ拾いを始めた早柚(さゆ)。波間に落ちた腕時計を探している中でボタンを拾ったことをキッカケに、海辺にたくさん落ちているゴミに気付いてしまった彼女は、一つ二つとゴミを拾い、気付けばバケツいっぱいのゴミを拾い集めていました。

時間だけは有り余っている早柚は、翌日もゴミ拾いのために海岸にやってきます。次の日も、その次の日も。

彼女と同じようにゴミを拾う人々に出会い、ここにはいない誰かのためにダンスを踊る男に出会い、自分の人生に今後関わることのない人達と出会っては、別れの言葉もなくすれ違っていく。

そんな名前も知らない人々との邂逅を繰り返す中で、自分の仕事に意味を見いだせなくなっていた早柚は、少しずつ自信を取り戻していくーーわけではありません。
休職明け、職場復帰した彼女を待っていたのは、あまりに生々しく、変わらない現実社会でした。そこに直面した彼女も、何くそと奮起して戦うわけでもなく、ただ立ち尽くしているような印象を受けます。

最後まで悩み続け、ラストシーンまでとうとう答えを見出せない姿が、リアル過ぎて「物語なんだから少しだけでも救済をくれよ」と思いましたが、最後の最後で海へ帰っていったカメの姿が仄かな希望を象徴しているようでもあります。

海岸のゴミを拾うという行為を、ただ黙々とやり続ける姿は、崇高な修行僧のようでもあり、贖罪を求める罪人のようにも感じたのは、この本を読んだ時の私の気持ちが混乱していたからかな。

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2023年03月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

初めて読む、若手の作家さん。
「群像新人賞」受賞、本作も「群像」に発表されたよう・・・
ということは、純文系か。

・・・なるほど!

パワハラにより休職中の26才の女性が
海でのゴミ拾い(ビーチクリーン)に精を出し
その1ヶ月の日々での出会いや想いを描く・・・

舞台は、ほぼ海と、その周辺。
彼女の自宅なんて、出てこない。

登場人物も、通りすがりは何人もいるけれど、
メインは主人公と友人と、ビーチクリーンで出会った年上の女性だけ。

それだけなのに、ここまで、世界を膨らませ、
主人公の想いに共感することができるって、
さすが、「群像」!
(昭和生まれは、純文に弱くて、ひれ伏しちゃう?)

私事ながら、
最近、親しい昔からの友人よりも、
今、身近に居る、ゆるいつながりのサークル仲間とか
元同僚とかの方が、話しやすく、一緒に居て心地よい。

お互い、何でも知っている相手というのは、
結構、疲れる。

相手のことは知らなくて良い。
向こうも、わたしのあれこれを知らなくて良い。
今、目の前での出来事やら何やらを、話し合えたら、それでいい。
・・・そんな風に感じているので、主人公に共感するのかも。

それで、新しいつながりができました、
居場所ができました、ハッピー・・・ってならないところが、
純文!いや今風?

ネタバレになるけれど・・・

最後の最後。

彼女が選んだ道は?
そして、なぜあの人が、同じ場所にいるの?
・・・ってことは、あの人も、同じ思いってこと?
(そういえば、思い当たる節が多々あった)

一見、逃避にも思えるけれど、
あのラスト。
わたしは、主人公は、新しい道を踏み出し、
さらに、心のつながりー本当の意味での絆ー
ビーチクリーンの日々から作ったと思いたい。

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2023年02月19日

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