【感想・ネタバレ】宗教地政学から読み解くロシア原論のレビュー

あらすじ

西側の「色めがね」を外して現実を見よ!
ここまで現実がよくわかる世界情勢の本は誰にもかけない。
プーチンの言い分が聞こえてくる恐ろしい本だ。
―橋爪大三郎(東京工業大学名誉教授・社会学者)

「現世の話」「世俗社会」の常識は、ロシアに全く当てはまらない─。

ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、注目される世界情勢。

政治、軍事、経済、地理といった様々なレイヤーが複雑に絡み合う現実を、一般に考えられる要因だけでなく、文明・宗教を含めた多層的な観点で理解しよう、というのが本書の目的です。

西欧型の「植民地帝国」や「国民国家」を主とする従来の地政学ではなく、「宗教を基盤とする文明の中核を為す帝国」を主とする、「宗教地政学の視座」でロシア・ウクライナ情勢、世界変動の分析を試みる一冊!

【目次】
序章 宗教地政学から読み解くロシア原論
第一章 ロシアとはいったいどんな国なのか
第二章 ロシア正教会とは
第三章 宗教から見たロシアのウクライナ侵攻
第四章 世界はどのように変化するか
終章 ロシアとトルコの500年の戦いから見たロシアのウクライナ侵攻

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Posted by ブクログ

2022年から始まったウクライナ・ロシア戦争の原因・遠因は様々あると思うが、宗教(主に正教会)的な観点から両国に関する地政学と歴史を考察しており、よい読書体験になった。

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2022年10月30日

Posted by ブクログ

中田考による独特なロシア史観、ウクライナ侵攻解釈が披露される。それはつまりソ連時代からのNATOとの因縁を引き摺るミンスク合意を巡っての欧米寄りな見解ではなく、タタールの頸、更にはロシア正教まで遡る。

ー タタールの頸によるモンゴルの支配から脱出した際のロシア、つまりモスクワ大公国は東欧の小国に過ぎなかった。スウェーデンとの間で起こった北方戦争に勝利して、現在のような大国としての地位を築いた。同じ頃ルーシの中心だったキエフ、現在のウクライナはポーランドとリトアニアに占領されていた。それをピョートル大帝の前後にモスクワロシアが自分たちのもとに取り戻したのだが、このいきさつも今回のウクライナ侵攻に深く関係している。

ー ロシアのウクライナ侵攻は一義的にはロシア正教の問題であり、ウクライナが西欧・カトリック世界とギリシャ・ロシア正教世界との宗教地政学的活断層(フォルトライン)であることに由来する、カトリック世界とロシア正教世界の千年にわたる対立の一局面である。

ー しかしロシア史にはカトリックの他にもう一つ、切っても切り離せないプレーヤーがいます。それはロシアとウクライナから見ると黒海を挟んだ対岸に位置し、かつては西アジア、南ヨーロッパ、北アフリカを支配する帝国であった「トルコ」だ。カトリックと正教の対立構図の補助線としてトルコとロシアの五百年の歴史が関与する。

極端な独自史観とも言えないし、日本人全体がどうとかいう前に私自身が宗教観を背景にした歴史の因果に恐ろしく疎いため、これを論じるに至らない。著者はムスリムであり、故にブッディストや無神論者とは異なる視点もあるのだろうか、信仰とはそもそも立場を規定するためにニュートラルな発言などあり得ないのではとも思うが、中田の信仰度を知りもせぬため、この線でも掴めぬ所が本音。

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2024年07月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ロシアのウクライナ侵攻から1年以上経過するが、終わりは見えない。
これまでにウクライナ関連本を読んできたがよくわかなかった。過去にあった事件からウクライナからロシアに対する怨嗟があることは知っていた。ロシアからウクライナにはそれほど怨嗟はないだろう。しかしことはそんな単純ではない。著者はカソリック社会と正教社会、そこに割って入ったトルコ、イスラム社会があり。複雑な様相を呈する。
 それがここ数百年の流れであある。ロシアはいつも西洋社会から疎んんじられ、嫌われてきた。にもかかわなず、オスマントルコの力をそぎ、ナポレオンを撃退し、ヒットラーを撃退し、9.11以後は米国追従の立場をいち早く表明した。しかし、いつまでたってもロシアは仮想敵国とされ、それだけでなく、旧社会主義陣営の国々が次々とNATO傘下に入る。
 そんな状況でにっちもさっちもいかなくなってウクライナ侵攻にいたったようだ。
 これってどこかで聞いたことなかったか?そう、真珠湾攻撃である。攻撃せざるを得ない状況が周りから徐々に準備されたのである。
 再読が必要な本です

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2023年03月26日

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