【感想・ネタバレ】狙われた羊のレビュー

あらすじ

カルト宗教は、心を奪い、カネを奪い、家族を壊す!
カルト教団によるマインドコントロールの恐怖と、悪辣な集金システムを描いた名作フィクション、緊急文庫化!

最近は浮気調査ばかりしている探偵の牛島のもとに、奇妙な依頼が舞い込んできた。
「人さらいはやってもらえるんでしょうか?」
依頼人の息子は、突如連絡を絶ったのだという。どうやら、あやしげな団体に深入りしているらしい。

「厄介な仕事」と踏んだ牛島は当初依頼を断ったが、秘書の坂巻に説得されて調査を開始。すると、依頼人の息子は、近年様々な問題を起こしているカルト教団に入信していることが判明した――。

世間を騒がすカルト教団、そして家族を取り返すために戦う人々を描く!

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

まさかラストで笑うことになるとは思わなかった。

自分も高校、大学、就職、どこかで失敗してそんな時に普通に暮らしていたら出会わないような優しさを与えられたらコロッといっちゃうかも……と怖くなった。
財産も全て手放して、自ら周囲の人々と縁を切って。それから気づいたってもう戻れないし、それが怖くてさらにのめり込んでいく。
宗教ってよくできたビジネスだなぁ。

そもそも、宗教の興りじたいが権力を欲した男が「神の言葉を聞いた」と言って政治を始めたことなのだから当然なのか?
でもきっと、信者からすれば私たちが学んで信じている科学の方が宗教なんだろうな。

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2025年08月23日

Posted by ブクログ

⭐︎4.0
・未婚の信者を「シープ」と呼び、社会や家族から孤立させることで忠誠を誓わせ、団体の無賃労働者にさせる「敬霊協会」。協会に巻き込まれる若者とその家族、そして内部の者。様々な立場から見た協会の狡猾な"洗脳"の全貌が描かれている。
・今作は特に宗教団体の"中身"の描写が詳しくて新鮮だった。1人の若者を信者にするまでの過程や協会の内部の者それぞれの役割などが丁寧に描かれていて面白い。1人の信者に対しあらゆる役割の者が働きかけ、徹底的にマニュアル化された研修を経て少しずつ取り込んでいく。気付けば社会からも家族からも孤立し協会に身を捧げるしかなくなる。宗教としての真理が矛盾だらけで破綻しているにも関わらず、話術とマニュアルで次々と増やしていく様は恐ろしかった。

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2025年03月04日

Posted by ブクログ

⭕️️⭕️教会をモデルとしたカルト教団の実態を描いたフィクション小説、教団の経営や洗脳方法や組織図等が詳細に描かれていて成り立ちが良く分かる。
30年前に木枯らし紋次郎の俳優であり元参院議員中村敦夫さんが、執筆。日本を震撼させた安倍元首相暗殺事件をきっかけに再び注目。熱烈な信者の洗脳を解く事の難しさ、信者の家族側の立場になるといたたまれない気持ちになった。読みやすかった。

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2024年12月25日

Posted by ブクログ

これはあの宗教のことか!とすぐ分かる内容。
テンポよく進む展開に夢中になった。
探偵事務所を営む牛島が、出家した信者を家族のもとに取り戻すため奮闘する。
読みやすかった!

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2024年05月17日

Posted by ブクログ

本の題材は明らかにあの宗教だ。

まさかこの本の初版から30年経っても日本にまだ旧統一教会がはびこっているとは。名前を変えて活動するところまで変わらないとは。一方でこのカルトが人の劣等感にうまく漬け込んで近寄って操られていくあたり、リアルだ。家族の思いを思うにつけ苦しくなる。カルトに子供を取られた家族に救いの手を差し伸べる善意の人がいることだけが救いだといえる。
自民党よ、被害者により安倍さんも撃たれたことだし、この団体のヤバさには気付いてくれ。最近保守エリアでも勝てなくなっているらしいから、そろそろ問題に気付いてくれないかな…。

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2024年05月05日

Posted by ブクログ

カルト教団の手口を物語風に書き上げた、大変面白い小説であった。特に信者を作り上げるまでの洗脳のノウハウは今話題の統一協会のそれを感じることができた。

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2022年11月23日

Posted by ブクログ

知らない世界のこと教えてくれる本や映画って本当に尊い。自分が疑り深い性格で、他人を信用することがなかなか出来ないので被害に遭うことはないかもしれないけれど、そういう人たちの精神状態や、入信、脱会、救出、運営など裏付けされている取材力が30年前とは思えないほどの筆致でいて、物語ベースで描かれているので大層面白かった。自分に近い体験があれば、バイブルになり得たのかもしれない。

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2025年09月26日

Posted by ブクログ

宗教にのめり込んでいく始めから終わりまでをみた。やっぱり弱い時には人に見抜かれるのか。そういった団体に何も関わりはないが、いつも隣り合わせにいるのかもしれない。神の存在の有無は人それぞれだが、人に勧めたりする事ではないな。面白かったです。

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2025年04月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ある宗教団体から息子を奪回してほしいという依頼に奮闘する探偵の牛島を中心に、様々な立場の信者を通して暴かれていく教団の醜い実態には辟易。
なぜ頭のいい人たちがハマるのか?マインドコントロールは解けるのか?等の知りたい答えが全てストーリーに盛り込まれ、とても勉強になる。
特に加代のマインドコントロールを解く場面では家族が強いられた覚悟と準備の壮絶さに衝撃。脱会への困難さは想像以上だったな。
元信者の女性の「善意だけの情熱には負けてしまう」が厄介さの表れで印象的。
探偵事務所の事務員のよねの頼もしさが息抜きになった。

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2025年03月29日

Posted by ブクログ

カルト宗教の内情、子を奪われた家族の様子、経験はないけどきっとこんな感じなんだろうなと感じた。
カルト全盛期の頃にはまだ生まれてなかったから後付け知識しかないけど、90年代のアレを経験していたらもっと感じ方変わったのかな

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2025年03月06日

Posted by ブクログ

カルトの内情を詳細と信者とその家族の関係が壊れる様がよくイメージできた作品だった。

ほんとに怖いのはマインドコントロールや矛盾ばかりの経典よりも訴訟などで成り立たなくなっても
また名前だけ変えて何度でもやり直せるしぶとさなのかも、、

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2025年03月01日

Posted by ブクログ

カルト宗教がテーマの本

色々な立場の人の話が書かれていて読みやすい
結構リアルで怖いけど読みやすいし、作品としても読みやすかった

そんなに上手くいくのか??という描写もあったけど、、

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2025年01月29日

Posted by ブクログ

 著者中村敦夫は、言わずと知れた「木枯し紋次郎」だが、役者にとどまらず、ジャーナリスト、テレビキャスター 政治家等、経歴は多彩である。著者については、だいぶ前に評論「さらば、欲望の国」(2004年、近代文芸社新書)を読み、生きる姿勢、文章力とも私は高く評価していたが、この小説の存在は最近まで知らなかった。
 テーマは統一教会(作中では「国際キリスト敬礼協会」)。不倫調査、興信所の下請け等で食いつないでいる冴えない探偵牛島に、「人さらい」の依頼が来る。依頼人は水回り職人の松本で、妙な宗教団体に行ったまま戻らない息子を取り返してほしいという。金になりそうもないし、面倒なので、牛島は費用を過大に見積もり、一度は体良く追い返す。しかし、たった一人の社員、受付の坂巻よねに人情がないと非難されたこと、その後入ったラーメン屋から、偶然、外を歩いている松本を見かけてしまったことから、長年忘れていた感情がよみがえり、支払いは後々相談ということにし、仕事を引き受けてしまう。
 その後は、依頼人松本の息子の奪還を中心に、教団の勧誘の手口、洗脳の方法、教義のデタラメさ、信者の生活の様子や課されるノルマ、洗脳を解く過程などを巧みに織り込みながら、物語は展開していく。著者はフィクションと断っているが、教団に関する記述は有田芳生氏、浅見定雄氏らの著作に書かれていることと一致しており、深く調べ、正確を期して書いたことがうかがえる。娯楽小説としても、場面の展開が早く、登場人物が生き生きとしていて一気に読め、優れていると思う。
 特筆すべきは。この小説が1994年に発表されたことだろう。1992年、統一教会は合同結婚式や霊感商法でクローズアップされるものの、その後、有田芳生によれは「政治の力」で、統一教会に関する捜査、報道は、安倍晋三射殺事件が起こるまで、事実上封印される。これが「空白の30年」であるが、この小説はその空白の中で発表されている。私はそこに、この問題をそのままにしてはいけないという著者の強い思いを感じる。全国霊感商法対策弁護士連絡会の方々、有田芳生氏、鈴木エイト氏等、様々な圧力に屈せず、統一教会問題に取り組み続けた人々にと同様、私は著者に敬意を表する。
 安倍晋三氏が射殺され、空白の30年は一応終わりを見た。だが、教団で演説し、昔のアイドルもどきをそこへ連れて行った者、食口(信者)になり、ありもしない立場をでっちあげてごまかしている者、マザームーンと叫んだ者等、名前を書くのも汚らわしい政治家たちはみな、実質的に何の咎めも受けず、平然と権力の座に居座っている。変わっていない、というより、変えたくないのだ、多くの人が不幸になっても。まるでそれ自体がカルト集団であるかのような政党が牛耳る国。この国はとことん堕落してしまったが、著者のような人々の存在にわずかな希望を見出したい。

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2023年08月31日

Posted by ブクログ

これはかなり面白かった。30年前の小説ということだが、今年のあの事件をきっかけにクローズアップされた宗教団体を扱っており、今回文庫化したようだ。詐欺集団としてのそのマインドコントロールの見事さはぞっとする。
いま、世間では宗教二世の問題が取り上げられているが、この小説には、若い信者を取り巻く家族の苦悩が描写されている。自分がこの家族の立場に立ったら、どうするだろうか。自分がマインドコントロールされていたときに気づけるだろうか。
色々深く考えてしまう良い小説だった。
物語ならではの迫力があった。

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2022年12月05日

Posted by ブクログ

中村敦夫『狙われた羊』講談社文庫。

著者の中村敦夫は『木枯し紋次郎』で主役を演じた有名な俳優で、作家やキャスター、ジャーナリストでも活躍しており、統一教会と揉めた過去を持つ。

今現在、元首相の暗殺に端を発した政界と世間を騒がしているカルト宗教団体をテーマにした問題小説が、30年の時を経て文庫化。なかなかのリアリティ。30年前に統一教会のカルトとしての正体が暴露されていながら、何故に現在も存在しているのか……

もっぱら浮気調査ばかりをしていた自由ヶ丘探偵社の探偵、牛島は依頼人から怪しげな団体に取り込まれた息子を奪還して欲しいと頼まれる。

少しずつ調査を進め、団体の正体を知る牛島だったが……

家族の病気や事故、様々な不幸に見舞われたり、悩みを抱える心の弱った人に巧みに近付き、洗脳した揚げ句に財産を奪い、自由も、人間の尊厳をも奪い取るカルト宗教団体。親が信者であれば、その子どもまでもが信者にさせられるという世襲の実態。

30年前には明らかにカルト宗教団体というレッテルを貼られていた統一教会はいつの間にか名前を変えて、政治家と手を組んでいたことに世間は驚いた。しかも、現職の首相が統一教会の広告塔となり、他の多くの政治家も選挙のために統一教会と懇意にしていたというのだから全く驚く限りだ。

与党である自民党は旧統一教会と手を組み、創価学会を基盤にする公明党と連立政権を構築している。つまり日本は知らぬ間にカルト宗教団体を背景にした政府に支配されていたということだ。

与党が無駄に巨額の税金を遣い、その補填のために国民に増税や社会保障費の増額を負担させるところなどは、カルト宗教団体の集金システムと何ら変わりがないように思う。

定価990円
★★★★

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2022年11月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最近の個人的ブームが宗教関連のミステリー作品を読むことである。
薄暗いところに首を突っ込んでみたくなるのは、人間の性であり、しかし現実でそういった所に首を突っ込むと厄介なので、物語を俯瞰する事で欲求を満たしている。
今回の本は宗教内部の信仰者と外部の救出者で物語が進められていた。自分自身は、外部の救出者目線だけで展開していく物語が好きなので、このような評価をした。しかし、牛島さんやヨネさん、理恵さんを初めとした登場人物一人一人のキャラクター性がとても好きだった。

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2025年08月27日

Posted by ブクログ

Instagramで紹介されており、カルト宗教の洗脳と脱会に興味があったので読んでみました。

一番印象的だったのは、入信前にカルトの研修合宿(睡眠不足の疲労困憊状態で畳み掛けるように洗脳教育を受けた)に参加した大学生が、翌日大学に行くと教室全体が墓場のような雰囲気で教授も学生も死人のように感じる。といった場面。
研修場所で感じた生気、情熱、高揚が大学にはないと感じ、さらに入信へと傾いていくのですが…
こうやって都会に出てきた寂しい気持ちにつけこまれた若者が洗脳されちゃうんだなぁと実感したシーンでした。

宗教の説明シーンが長くて飛ばし飛ばし読みましたが、全然知らない世界の話だったので勉強になりました。

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2025年05月19日

Posted by ブクログ

再販 そうかだからか
昔 ワイドショーで連日報道されていた宗教団体
有名人か多数入信していたから TVをつければその話題だつた頃かあった

報道されていた事が文字になり 架空の人物だけど
人物像が浮き彫りにされていったが

…ワイドショーで見たのとかわらないかなあ

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2023年07月02日

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