【感想・ネタバレ】空に星があるように ~小説 荒木一郎~のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

「不良、不良、不良っ、なんだお前は、不良のーっ、このーっ」。テレビ黎明期のNHKドラマ「あじさいの歌」の共演者、十朱幸代の妹役のステージパパにひとこと言ってキレられるエピソード。もうその親父を「カニをつぶしたような顔」と語るところから、荒木一郎ワールド炸裂です。爆笑。子供心に「いとしのマックス」がトラウマのように刻み込まれて、しかも突然なにか事件を起こしたのかテレビでは見れなくなった人、まさに「不良」としてぼんやり覚えていた人。有名女優のドラ息子、青山学院の不良少年、荒木一郎自身による「小説荒木一郎」は、60年代の東京と芸能界のタイムカプセルでした。先日読んだ「小説ユーミン」は荒井由美のクリエーションから生まれた小説でしたが、「小説荒木一郎」は本人の思い出なのか、意図的な創作なのか、とにかくカニ親父的ディテールが次から次へ。著者の脳内発酵としてノンフィクションは半世紀経つと小説になるのかな?と思って細かいエピソード、散りばめられる女優たちの名前、そして当時のテレビ局界隈、映画業界付近、レコード会社、あるいは当時のクライアント宣伝部、電通という業界人の空気感をめちゃくちゃ楽しめました。でも一番、すごいな、と思ったのは彼の創作。俳優であり、でも自分で作曲をし、歌詞を書き、歌い、そして他人のプロデュースもする。バントを作り、会社を作り、なんでも自分でやって行く。著作権の話もビートルズや矢沢永吉の話が有名ですが、アーティストが自分で出版社を設立したのは、日本では彼が初めてなのではないかな?(版権出版社としては50番目と書いてはありますが…)とにかく、はじめに荒木一郎ありき、なのです。
いや、一番スゲェと思ったのはモテっぷり。どんなフェロモンで出るんだ…出てくる女性の名前、覚えきれません。ということで、不良じゃないと、女にモテないと、イノベーターにはなれない?って感想書いてる時点で色気無しですね。

0
2023年04月05日

「ノンフィクション」ランキング