あらすじ
「死刑が執行されても何も変わらない」――大阪市浪速区・姉妹殺害事件、東京都文京区音羽・女児殺害事件など、凶悪犯罪で大切な肉親を奪われた遺族は、どんなにつらくても「事件後」を生きていかなければならない。彼らが心の奥底からしぼり出した赤裸々な「語り」を丹念に聞き取った渾身の社会派ノンフィクション。
●「泥棒が家に入ってきてお金やらなんやら取ったとしますやん。入ってきてものを食べたりしたかもしれん。その程度のことは許してあげてもいい。ぼくはそう考えてる。(中略) 子供ふたり死んだときにね、ぼくがお通夜の挨拶で最初に言うたことは、神様に嫁に行かせたと。神の世界に嫁に行かせたら帰ってけえへんな。何年経っても帰ってけえへん。娘たちが夢に出てくるだけ幸せや」――(大阪市浪速区・姉妹殺害事件の被害者遺族 上原和男さん)
●「犯人が死刑になったからといって、父や母が帰ってくるのではないので、死刑は罪の償いではないと思う。(中略) 人を殺めるという罪を犯したので、その謝罪をかたちで表すのは死刑でしかないのではないでしょうか?」――(栃木・牧場経営者殺害事件の被害者遺族 渡邊早月さん)
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Posted by ブクログ
なかなか当事者になることがないだけに現実味がないのですが、当事者自身も以前はみんなそうなのでしょうね。
こういう社会的なイシューがあることをまずは認識して、選挙の時とかに気にし続けなければいけないですね。
Posted by ブクログ
ぐえー。レビュー数少ない!もっとたくさんの人に読んでもらいたいなぁ。こないだ永山則夫の精神鑑定のドキュメントを見たばかりだけど、被害者側からしたら、加害者がどんな過酷な人生を送ってきたかなんて、どうでもいい、と思っちゃうよな。PTSDで心神喪失状態だった、なんて、いわゆる39条で無罪とか懲役刑だけだったら、やっぱりはらわたが煮えくり返る被害者遺族は多いんだろう。最後の対談も衝撃だった。日弁連でこんなにひどいの。自分が加害者遺族になったらどうするだろうか。被害者遺族がいかに心身を病みやすいか。知ってる事件もあって、あの山地悠紀夫の事件も入ってた。Coccoが被害者に向け歌を作ってたなんて知らなかったな。今ネットで聞いたら、何か聞いたことあるやつだった。MDに入れてたかな。やっぱCoccoはいいなー。やっぱ小説だけじゃなく、こういう本もじゃんじゃん読もう。
Posted by ブクログ
相変わらずの雑食性を発揮する私。
本当に軽率にこの本を手に取りました。
犯罪被害者遺族がどのような感情を抱くものなのか、単純に「知りたかった」から読んだ。
別にその行動自体は間違ってはないと思っているんですけど(本なんて知的好奇心がないと手に取らない)、もっと単純に遺族は怒っているんだろうか? 泣いているんだろうか? という修羅場のようなものを想像していたのだけれど、違った。
そこだけは本当に、メディアに作られたことをまるっと信じてしまっていたのだな……と反省するしかない。
被害者は思ったより冷静で落ち着いていて、真面目に行動している。
その行動の原理って、私には「感情」だけだったと思っていたのだけれど、もちろん、感情だけではそんなこと続かないのはわかってるんだけど、もっと大きな方向を見ていた。
そういう意味では、本当にとても勉強になったと思いました。
人間は特に「こうである」という像を作りたがるけれど、もっと他に考えないといけないことがいっぱいあるなあ、と。
そこにあるのはリアルです。
お涙頂戴みたいなのを期待して、この本を読むと拍子抜けすると思う。