【感想・ネタバレ】米国防総省・人口統計コンサルタントの 人類超長期予測―――80億人の地球は、人口減少の未来に向かうのかのレビュー

あらすじ

米国防総省は人口データから世界のさまざまな動きを予測している。たとえば将来の移住者が社会に与える影響を知るうえで、人口統計はどう役に立つのだろう? あなたも人口統計学者のような思考力を身につけ、どんな未来が待ち受けていようと準備できるようになる

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Posted by ブクログ

「人類超長期予測」に関する話は出てこないし、2100年の話も出てこない。だが抜群に面白い。ラーメンを注文したら絶品のカツ丼を提供された。

本書は一貫して、人口統計から導かれる世界の現状や将来を分かりやすく説明している。フラットかつ構造的な視線が特徴であり、日本に居たら「少子化が問題だ」という話しか出てこないのに、本書を読めば人類全体の幸福を考えるなら多産社会を優先して解決するべきだと感じるだろう(もちろん日本をはじめとした各国の少子高齢化についても多くの紙幅が割かれている)。

特に、「従来型の労働集約型産業を途上国に導入したところで大した雇用を生まない。なぜなら既に自動化が進んでいて大勢の労働者は不要だからだ。」という話に衝撃を受けた。工場の自動化は人をいわゆる3K職場から解放するという意味で人を幸せにすると信じていたし、そのための新製品は常に迅速・正確・安価・高品質を目指してきた。しかし、それが常に人類の福祉を向上させるとは限らないという情報に接し、なんだか足元が音を立てて崩れていくような気分になっている。

以下、印象深い内容をいくつか箇条書きで。

●多産について
・人口は基本的に多ければ多いほど良い。しかし、人口増に対応できる土台が無いところで人口だけ増えると、待っているのは暗澹たる未来。
・例えばナイジェリアは国全体が非常に若い。しかし、若すぎる国は統治しづらい。新たに産まれる数百万もの子供たちの食糧を確保するための、経済成長の方法は見つかっていない。
・人口ピラミッドの底辺がせり上って生産年齢人口が増えたなら、その分の職場・雇用がないと生活の糧が得られない。働き口の無い若者は、未来が閉ざされたと感じ、革命に時間を使う。(2060年に世界の人口は100億人に達すると予想されている。つまり、あと40年で20億~30億人分の雇用を創出しなければならない。)
・先進国でも途上国でも、工場において人間の代わりにオートメーションを利用する傾向がある。今日の途上国では、労働集約型産業でかつての東南アジアと同様の成長をすることはできない。大勢の労働者がいるという人口ボーナスに恵まれても、職場に労働者の需要がない。(これからはフィジカルAIが労働者を代替するようになる。)
・多産を解決するには、女性が希望する子どもの人数と実際に産む子どもの人数とが一致しなければならない。そのためには家族計画プログラムへのアクセスを容易にする必要がある。

●少子化について
・女性は家の外で第1のシフトをこなし、自宅にもどると第2のシフトをこなしているせいで疲労困憊している。女性の負担を減らし、家事を分担する方法を見い出せば、子供を産みたいと望んでいる女性を効率よく支援できる。フィンランドは充実している。
・人口縮小それ自体は、本質的には悪いことではない。ただし、経済学にこのシフトを理解するための知識が蓄積できていない。
・高齢化と人口減少は、ようやく安心して小さな家庭で満足するところまで人類が到達したと考えれば、悲劇と捉えるのは軽率。
・経済成長は難しくなる。ただし高齢者向けのサービスなどは伸びるだろう。
・社会の調和のためには、同化政策だけでなく、移民の教育、雇用、貧困に対応する政策を進めなければならない。そうでなければ移民は不満と不安を溜め込む。自分の将来が明るいと見通せなければならない。

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2026年04月28日

Posted by ブクログ

昔より突然の人口減少が起きにくくなって、予測がつきやすくなったとはいえ、コロナとか色々ある。予測は有益、限界あるが。仮定はアップデート必要。ある程度予測可能なパターンはある。所得があまり低いと移住できない。ある程度所得が増えて移住が可能になり、豊かになると受け入れ側になるコースがある。人口ボーナスを活用して浮上するには準備が必要。アフリカどうなる??全世界が高齢化する。人口動態の解釈は恣意的になりがち。名付けよ、好みを意識せよ、仮定を見直せ、適切な質問をせよ。

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2025年10月30日

Posted by ブクログ

人口統計学者が分析している事柄の一端を明かした一冊。
出生、死亡、移住という3要素によって起こることを世界各国について分析しているので話題の範囲が広くて面白い。

「人口ボーナス」の定義を改めて知ったことがよかった。
単に若年者人口が増えていればよいのではなく、その増加に見合った働き口の増加もなければマクロ経済における消費が増えることにつながらず、仕事のない若者たちの増加はむしろネガティブに働く(社会不安の増大)というのは、言われてみればその通りなのだろう。
しかし、世界市場で戦える工業化でなければポジティブなスパイラルにならないというのは、いまとなってはハードルが高い話だ。先進国や、アジアNIESといった国々は先行者利益を得たという印象を受けてしまう。

本書の主要なテーマではないというが、移住に関して世界で起きているコンフリクトは重いテーマだ。日本も例外ではなく。

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2023年11月17日

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