【感想・ネタバレ】クロコダイル・ティアーズのレビュー

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Posted by ブクログ

すっごく面白かった!移動の電車やバスで夢中で1日で読んでしまった!特に、ラストの章が良い!
この作品、何も知らずに読んだ方が面白いのでは?と思います。

老舗の陶磁器店のシーンから始まるこのお話、何の前情報もなく読み始めたので、何が起こるのだろう?この題名はどういう意味?なんて軽く思いながら読み進め、止まらなくなりました。
まさに、家族につわる「疑心暗鬼の闇」が描かれています。

自分がもう、歳をとっているので、嫁と姑、どちらの立場も気持ちも分かるのです。分かるんだけど・・・ああ〜、それを言っちゃあ良くないよとか、逆に、ああ〜そこでちゃんと伝えれば、とかそんなこと思いながら。

私自身は、小学生時代から通知表に「おしゃべりが多いです」と書かれたくらいで(笑)思ったことは口に出してしまう性格です。人生、それで損したと思ったことも数知れずですが、歳をとってくると、まあ、得だったことも多いのかな?とも思ってます。ネットでお遊びの性格診断とかすると『超社交的』とでる。(大笑)でも、人間関係でそれがどう働くかは、相性だと思うのです。

このお話では、真相は何だったのか?という意味では、ラストである程度分かります。でも、ラストの章が深いと思うのは・・・・
結局人は、自分の心の中しか覗けないから、どんな言葉を聞いてもそれを信じられない限り、救われない、ということ。そして、悲しいこと、辛いことは、誰しもたくさんあるけれど、誰かに対しての不信感を強く持ってしまうと、それはある種の「呪い」なのだな、と強く思ったのでした。そう、だから、自分にとって辛いことは、上手にスルーしていく、というのも大事なんだなあとつくづく思ったのでした。
風くんの歌にあるとおり、
「憎み合いの果てに
何が生まれるの
わたし わたしが先に忘れよう」
なのです。

やっぱり雫井脩介さん、良いなあ。傑作だと思います!

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2024年04月25日

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クロコダイル・ティアーズとは噓泣きのこと。美しい妻は、夫の殺害を依頼したのか。家族の間に疑心暗鬼が広がって—— 夫を殺した犯人は、かつての恋人だった。この男が裁判で「妻に殺害を依頼された」と証言。美しき未亡人は、悪女なのか、それとも。謎解きでもなく犯人探しでもなく一風変わった作品のように思える。直木賞候補にもあがった作品。2日間で読んでしまった。評価がわかれるだろうが私は★5

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2023年08月06日

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限りなくあやしい想代子。
しかし直接何をするわけでもなくただ周りが勝手に壊れていく。
体内に入った毒が体をだんだん蝕んでいくように年月をかけて一つの共同体を侵蝕していって最終的に自分の居場所を確立してしまう。
でも結局想代子という人物が本当に悪人なのかどうかはわからない。
まさに静謐のサスペンス。

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2024年03月13日

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白夜行的な雰囲気のもと、特定の登場人物の真贋を探って行くこととなる。
「本当はどっちなの?」となかなかページをくる手が止まらない。読み終わって振り返るとそこまで大きな印象を残したわけではなかったが、エンターテイメントとしては楽しめた。

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2023年12月03日

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ネタバレ

舞台は美濃焼の老舗「土岐屋吉平」
店主貞彦の跡継ぎ息子が殺害された。犯人は息子の妻想代子の元交際相手だった。
判決の時「想代子に唆されて殺害した」と発言した事から「吉平」家族に不穏な空気が立ち込める。

孫の血縁に係る後継ぎ問題、吉平ビルを含む地域の再開発問題、家宝の陶器損壊事件。事あるごとに貞彦の妻暁美は想代子を疑う。夫や読者の気持ちもそれに誘導される。

一番怪しい人が実は怪しくないという典型的なパターンだろうとは思ったが、それでも時々怪しさを拭い切れなく最後の1頁まで気が引けなかった。最初から想代子の立場で読んでみると只々良い嫁でしかなかった。

恥ずかしながら陶器に関しては全く無知で興味もなかったが、本書を読んでいるうち、以前多治見で購入し10年以上使用していた茶碗が美濃焼の志野だったのかもと気付いた所から今では美濃焼に興味が沸いている。
本書に出会えて良かった。

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2023年11月29日

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最後はどうなるのか、久々にドキドキしながら読み進めました。どんでん返しを期待してたのですが、ありふれた結末だったのが少し残念でした。

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2023年11月22日

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ネタバレ

【第168回 直木賞候補作】
ベストセラー作家、雫井脩介による「究極のサスペンス」
この美しき妻は、夫の殺害を企んだのか。
息子を殺害した犯人は、嫁である想代子のかつての恋人。被告となった男は、裁判で「想代子から『夫殺し』を依頼された」と主張する。犯人の一言で、残された家族の間に、疑念が広がってしまう。
「息子を殺したのは、あの子よ」
「馬鹿を言うな。俺たちは家族じゃないか」
未亡人となった想代子を疑う母親と、信じたい父親。
家族にまつわる「疑心暗鬼の闇」を描く、静謐で濃密なサスペンスが誕生!

想代子にイライラ。私はないも悪いことしていないんですぅ~と言いながら不幸をまき散らし・・最後は実母と息子と幸せかみしめる。ありえへんわ。

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2023年11月10日

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 幸福に日々を営んでいた家族に突然訪れた災難。疑心暗鬼が生む亀裂。信頼で結ばれていた関係の歪みが徐々に大きくなっていくさまを描くサスペンスミステリー。第168回直木賞候補作品。
         ◇
 鎌倉の老舗陶磁器店の跡取り息子が刺殺された。犯人は被害者の妻のかつての交際相手だった男で、未練からくる逆恨みによる犯行と思われた。

 だが裁判が結審し判決を言い渡された瞬間、被告の男は被害者の妻に頼まれてやったことだとまくしたてた。
 ざわつく傍聴席。動揺を隠せない被害者の両親。そして顔色を変えたものの、毅然とした態度で法廷を後にした妻。

 判決後、平穏を取り戻したかに見える久野家だったが、生じた歪みがしだいに大きくなるのを止めることはできなかった。

 はたして被告席で男が叫んだことは事実なのか。そして事件の真相は。

     * * * * * 

 さまざまな要因が絡み合い、起こるべくして起こった家族の崩壊。それはこの家族の特殊性が大きいのではないだろうか。そう思います。

 殺された康平は妻子に冷たかった。妻に対する暴力や息子に向ける冷眼は酷いのひと言。
 そもそもそれがなければ、隈本につけこまれることもなかったろうし、隈本がコンタクトをとってきた時点で想代子はすぐに康平に相談できたはずです。
 康平は自滅したと言えるでしょう。

 姑の暁美にはもともと想代子に対して含むところがありました。ひとり息子を取られたからか、美人で男受けする想代子へのやっかみゆえか、対応に冷えがあるように思います。
 それが下地となって、事件後の想代子への疑心暗鬼を生み出したのではないでしょうか。嫁に対する姑の悪感情。百害あって一利なし。
 暁美もまた自滅していったと言えます。

 暁美の姉の東子もひどく筋のよくない女でした。想代子に対して打ち解けてもいないし、康平の死の直後に優しい声かけもしていない。
 元来が派手好きで騒動を好む性分なのでしょう。想代子に対する暁美の猜疑心を煽り立て、嫁姑間の亀裂を大きくするだけでした。
 それでいて穀潰しの夫には甘く、夫の辰也が妹婿の貞彦を裏切り店に打撃を与えることに気づきませんでした。挙げ句に、夫婦して事故死するのだから自業自得です。( 仮に想代子からの鉄槌だとしたらなおさらいい気味だ。)

 そして嫁の想代子。
 美人で男の気を引いてしまうのは想代子のせいではありません。隈本に言い寄られたり、康平に妙な疑いをかけられたりするのも、気の毒としか言いようがないことです。
 けれど、同性から向けられる悪意含みの感情にもっと気をつけるべきだったとは思います。おっとりしていて、あまり負の感情を見せないのも性格なのでしょうが、もう少し上手に立ち回る必要があるのではないでしょうか。( 舅の貞彦にはうまく接していたけれど。)
 
 エピローグ部分。久野家の面々はみな鬼籍に入り、老舗陶磁器店は想代子が引き継ぐことになりました。
 焼き物についてはまったくの素人だった想代子だけれど、貞彦を手伝いながら熱心に勉強した甲斐あって目利きもできるようになり、貞彦が目指した店の拡充も想代子が成し遂げます。上辺からは想像できないバイタリティです。
 康平の死の前後は情緒不安定だった息子の那由太も立派な跡継ぎに成長しており、ラストはすっきりした後味でした。

 ところで、タイトルになった「クロコダイル・ティアーズ」。嘘泣きのことなのですが、想代子のそれは「ワニの涙」とは違うものではないでしょうか。

DV 夫の死にはさほどの悲しみを感じていないのは確かで、そういう意味では嘘泣きです。
 でも獲物を食い殺しながら流すというワニの涙とは違う。隈本と共謀して夫を死に追いやったわけでも、その後の店の乗っ取りを画策しようと思っていたわけでもないからです。食い殺してはいないのです。

 ただ、自分にとって味方でいてくれるのか敵に回るのかを敏感に察知して対応を変えるしたたかさは随所で見られました。また、「棚からぼた餅」のようなチャンスを逃さない賢さも持ち合わせているとは思います。
 さらに、陶磁器店の経営権を手にするや自分の考える店作りを着々と進め、軌道に乗せてしまう経営手腕は称賛に値するでしょう。窯元との関係も良好で、支店も含め順風満帆です。
 
 雫井さんの作品で同じように家族を襲った災難を描く『火の粉』のようなサスペンスミステリーというよりも、美人女将の一代記として、楽しませてもらいました。

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2023年09月30日

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クロコダイル・ティアーズとは噓泣きのこと。嘘泣きもひとつのキーワードだが、それに関連するように人が人を疑う人間模様が黒い。人はとことん人を信じることができる一方で、とことん疑うこともできる。本作品は男女関係や嫁姑問題、再開発に伴う対立など、まあよくあるいざこざが表面にある。その渦中にある登場人物は事件に関連する人々を信用できなくなり疑心暗鬼に陥る。作品中でずっと疑われるのは想代子だ。元交際相手に夫を殺害されるが、犯人の元交際相手からは想代子が黒幕であるかのような捨て台詞があり、大事な瀬戸物が紛失した事件の犯人と疑われ...。人を信じるかどうかはその人によるが、疑いが生み出す恐怖のようなものを作品から感じた。

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2023年07月27日

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息子が殺害された。犯人は嫁の元交際相手。裁判では夫殺しを依頼されたと主張した。義母は疑心暗鬼に苛まれ、何があってもそこに結びつくような感じがしてさらに疑念を深くしていく。
というストーリーは帯に書いてあるから、前半はそういった状況と心情を追っていくことになるが、何とも気持ちのざわつく小説だった。そういえば同じ作家の前に読んだ小説もこんな疑念に苛まれる話だったか。
物語の終わりでスッキリとしたのは主人公だけかもしれない。と思わせるところが作家の巧さか。

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2023年06月06日

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ネタバレ

面白かった!前半は少し飽きがくる感じだったが中盤からはどっぷり小説に取り込まれてしまった。ただ、最後の女将の振り返りシーンはもう少し短くても良いんじゃないかなぁ

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2023年05月27日

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息子を殺された母親とその姉が、息子の妻を疑って疑心暗鬼でいることで、最後までミステリー感をうまく出している。複数の視点でストーリーが進んでいくところも、飽きさせない工夫がされていると感じた。

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2023年05月18日

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うん、スゴイ良かったです。
人間の心理を巧みに描写して、ずっと読者のことも疑心暗鬼にさせるこの作風は、初めてだったので、とても新鮮でした。

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2023年10月08日

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ネタバレ

疑心暗鬼によるすれ違い。一度こうなると、なかなか抜け出せない。老舗という守らなければならない財産があると、一般の家よりも疑り深くなってしまうのではないだろうか。
ずっと暁美夫婦目線で書かれているので、読みながらも想代子に対して、白黒どっちなんだ?と落ち着くことができないまま読み進んだ。暁美とは結局心通うことなく、こんな風に姑から見られていたら、嫌で仕方ないよなと思っていたが、暁美も疑心暗鬼による被害者なんだなと思った。想代子強いな。

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2024年01月18日

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ネタバレ

予備知識は直木賞候補作ということだけ。
最初は焼物の物語かと思っていたら、DVっぽい伏線が現れ、そのうちに殺人が発生・・・
そうきたか。
疑われようとしているとしか思えない、未亡人となったお嫁さん。そして疑った人たちに不幸が。魔性です。
ラストのお嫁さんのターンでわかる真相。
悪意がないのが、一番たちが悪いんですよね。

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2024年01月13日

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ネタバレ

えっ、どっち…!?淡々と物語が進んで(随所に事件が起きるけれども)最後まで夢中になって読んだ。バイアスって恐ろしい。

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2023年12月24日

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ネタバレ

夫を殺された妻。息子が殺されたのは嫁が原因ではないかと疑う義母。ずっとモヤモヤするサスペンス。
どんでん返しがあるかと思いきや、結局すんなり終わってなんか物足りなさを感じた。
けど結局想代子みたいな人がいちばん怖いのかもな。

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2023年11月19日

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最後は想像とは逆だったけどなんだか肩透かし感。
タイトルからすると実は想代子のしてやったりなのかな。

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2023年10月28日

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その人の周りでは不幸な事が起こる…。
義父母から見た嫁は怪しいが、決定的な証拠はない。
こういう話、とてもすきです。白夜行とか火の粉も。

 この話の嫁は結局いい人なのか。私が思っていたラストではなく、何だか曖昧でがっかりしました。話の流れはとても面白かったのに。

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2023年10月04日

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息子の死に、その妻が関係しているとの疑心暗鬼に振り回される親の心理サスペンス。ワニは獲物を捕食する際にも涙を流してる様に見えることから、ワニの涙=嘘の涙。

直木賞の候補になった人気作家の雫井さんの作品をはじめて読みました。テレビのサスペンスドラマを観ているように、次から次へと疑惑が生じて、最後まで読んでしまいましたが、反面、心理サスペンスはあまり好みでないことを実感させられる作品となりました。

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2023年08月16日

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夫を殺された妻。
夫にはDVの可能性があり、妻が夫を排除したのではないかという疑惑を持つ義母。
老舗陶器店を営む家族に、土地の再開発も絡み、物語は複雑に絡み合う。
読者はさまざまなポイントで疑惑の種を植え付けられるが、その疑惑は晴れることなく強制的に終わる。

親しい家族の中でも、拭い去れない疑心暗鬼。
モヤモヤとしながら最後まで読み進めざるを得ない。
読んだ後に、その疑惑の真実を確かめたくなる。
最後までワニの涙(クロコダイルティアーズ)が気になる。

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2023年08月15日

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ワニの涙、嘘泣き、偽りの涙という意味らしい。老舗陶磁器店の、跡取り息子が、その妻の元交際相手に殺されるという、事件が起こる。残された両親、特に母親は、妻への疑いとわだかまりを深めていく、そこに商店街の再開発に絡んで、事件も起こる。見方を変えれば、微笑ましい振る舞いも、不審な動きに見える、いわば一つの心理ドラマとも言える物語だった。歯車が狂って、噛み合わず、疑いを深めていく様子が興味深いお話だ。人を疑うことは、自分も貶め、苦しむことになると、つくづく思った。血が繋がってるかどうか?って、決定的なことなのか、情報に惑わされ、簡単に気持ちが変わっていくことに、人の弱さを痛感した。

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2023年08月13日

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ネタバレ

嫁が息子を殺させたのではないかと疑う義母。主人公想代子視点では何も語られず、最後の最後になって始めて吐露される。それまで本当に悪いのは彼女ではないかと思いつつ読み面白くはあったが、登場人物に誰一人として魅力的なひとがいなかったのが残念ではある。

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2023年08月05日

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隈本は何で結審で、そんな大事なことを叫んだんだろう?初っ端からちょっと不自然感だったなあ。最後もちょっと物足りない印象。でした。
雫井さん、すきな作家さんなんだけど、今作はちょっと・・

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2023年07月29日

Posted by ブクログ

何とも言えない後味の悪さ。物事は、見方一つで180度変わる。何を信じるか。どの言葉に耳を傾けるのか。何が正しいかなんて、結局わからない。そのことを私たちはよく分かっているはずなのに、都合よく解釈し、真実と定義づける。世の中矛盾だらけだ。

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2023年07月17日

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スラスラ読めるし、何だか怪しい人が多くて、どういうこと?どうなっちゃうの?!と思いながら読んでいったけど、どうにもならなかったというか、予想ほどの結末ではなかった。

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2023年07月12日

Posted by ブクログ

老舗の陶磁器店を営む熟年夫婦と、近くに住む息子夫婦と孫、忙しくも程々に裕福に暮らしていたが、息子がナイフで刺され殺害された。
犯人は嫁の元彼…嫁は事件に関係しているのか、していないのか…。
○曜サスペンスの様なあらすじだが、本当にそんな話だった。
舅と姑の目線で語られるので、横暴な息子は贔屓目で語られるし、姑は嫁がとにかく気に入らない。義理叔母も曲者、孫との血縁関係も疑われていく。
「嫁は何を考えているのか分からない」と姑は常に不満気だが、そんなの当たり前だろう。
息子の事件後から同居することになったが、完全にアウェーの環境で自分の考えや気持ちは場を乱さないために控えるし、舅や姑に節度なき態度を出すのは小さな子供だけだ。
何を考えているのか知りたいなら、陰で文句ばかり言ってないで相手の気持ちを考えてみろよ、と思いながら読んだ。
嫁も美人で少し不思議な空気を纏い、頑張り屋さんだが女受けするタイプではないため、最初っからもう合わないんだろうな。
家業を手伝わなければ文句言うし、手伝えば調子に乗るなと言われるし、周囲に嫁を良く言われるのも悪く言われるのも、どっちも気に入らない。
身体が衰えていくけど、老舗の女将としての仕事や台所は取られたくない、など面倒くさい。
「老舗の看板」のプライドが良くも悪くも摩擦を生み、みんなが行き違ってしまうのかよく分からないけども、やっぱり○曜サスペンスみたいだった。
刑事は出てこないので、船越さんは登場しないけど。

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2023年06月10日

Posted by ブクログ

クロコダイル・ティアーズ
crocodile tears
偽りの涙、うそ泣き◆【語源】ワニは人間をおびきよせるためにうその涙を流すと言い伝えられている

ーー
カタカナ表記のタイトルだが、舞台は鎌倉。何代か続く陶器店の息子が襲われて死亡した。
これは犯人を当てる推理小説かと思っているとすぐに犯人が捕まる。
嫁 想代子をストーカーしていた男だった。
裁判でも有罪となり閉廷…かと思ったら、男が捨てゼリフを浴びせていく。
「女に頼まれたんだ!」と。

幼子をかかえた嫁、息子の忘形見の那由太のことを思い、陶器店の店主、貞彦はいっしょに住まわせることに決めた。
しかし、妻 暁美には不信が消えない…
息子の嫁へのDVを気にかけていたからだ。
相談も恨み言も言わず、ただ静かに従う本心が分からない嫁。
そして、葬儀のときの涙…

これがウソ泣きだったのではないか…?そんなことを実姉から聞いてしまう。
つまり「クロコダイル・ティアーズ」。

愛息を失った悲しみ、自分たちの城(店)に転がり込んできた嫁、自分の居場所(女にとっての台所、店の女将の立場)に入りこむ…。
募っていく嫁への猜疑心…。

こうなってしまうと、すべてが面白くなく、見方は偏っていく一方だ。そして唯一の味方である夫は那由太を跡取りとすることが念頭に浮かんでいて…。
疑いは深まる一方なのに有耶無耶なままで、暁美だけが追い詰められていく。

事件では「やってないことを証明するのは途轍もなく難しい」と言われる。
血のつながりがない家族関係、どこまで信用できるのか?
読み手のほうも、いよいよ?!いや、待てよ?とうとう来るか?と膨らんでは鎮まり、ふたたび、と繰り返される。

心情が暁美をメインに、夫、実姉と綴られる。
立場が違えばおなじ事象もここまで見方が変わるものか?外野ほど面白おかしく騒ぐものだ。そう、読者も傍観者でしかない。


心情面にクローズアップしたくなるが、作品中の陶器への記述が細かい。
美濃焼の「黄瀬戸・瀬戸黒・志野・織部」をちがいを克明にえがき、手に取ってみたくなる。


予想外の作品だった。

しかし、女の勘をあなどってはいけない。
なにか感じるときには、なにかある(ことが多い)。

このタイプの女は、か弱そうに見えて、自分の思いの方向へ無意識に事を運べる策士だったりする。
できれば嫁の心情にそって、この物語を振り返ってほしい。
女はそんなに綺麗な生き物ではない。

…と思わされているのは、すでに作者に食わされているのかもしれない。
けれど、このタイトルからすると…

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2023年06月03日

Posted by ブクログ

イヤな話でした。
「このカラクリはどうなってるんだろう?」と思っていたところには触れることもなく終わり「あれはカラクリではなかったのか?」と。
そんな・・・

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2023年05月25日

Posted by ブクログ

第168回直木賞候補作となったミステリーサスペンス。

毒婦、毒妻、毒親という言葉をしばしば聞くが、この嫁は天然の毒嫁と思いました。
息子を殺されて亡くした父母や義伯母が、息子の嫁に対して疑心暗鬼を募らせていくのにはホラーさすら感じました。
ラストの嫁の独白がきれいごと過ぎるのですが、もう少しぼかしたエンディングの方がイヤミス感が増して、読後の余韻が残ったのではないかと残念でした。

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2023年05月04日

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