【感想・ネタバレ】定価のない本のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

終戦から1年後の神田神保町。古書の町は復興の息吹を感じつつあった。その中で古書店主、芳松は本に押しつぶされて死ぬ。芳松を弟分として可愛がっていた琴岡庄司は芳松の死に疑問を感じる。そんな中、芳松の妻、タカが失踪。庄司は些細なきっかけで知り合ったGHQの少佐から、ある依頼を受けることになる。

面白かった。古書業界のお話、ということで「ビブリア古書堂の事件手帖」を思い出した。途中で読むのをやめちゃったんだよなあ。
庄司の実直な人柄が好ましい。子孫がいるから、命に別状はなく、大丈夫だったのは分かっているのだが、暮らし向きは平気か?と心配になってしまう。
徳富蘇峰はもちろん青森 五所川原で津島=太宰治が出てきている、伏線があるのでは…と読み進めた。
やっぱり太宰、出てくる。かなり重要なところで。少佐に売って売って売りまくっているように見えたから、これでどう古典を守るのだろう?流出じゃないか、と思ったが、庄司の相場師のような感覚が生きてきたのか。
日本は文化を蹂躙された経験はあまりないが、してきた経験はある。それを考えれば少佐のやり方はかなりソフトなやり方だ。日本の日本らしい文化が海外で評価されることをうれしく思うが、日本人である自分がそれをしっかり語れるか、と言われると、自信を持って「はい」とは言えないのが辛い。勉強せねば。

0
2022年12月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

定価のない本、つまりは歴史的価値の高い、古典籍という、歴史研究に使うような文化財みたいな本のことだった。日本には歴史があるから変な自尊心があって駄目なんだ、歴史を奪ってまっさらにしてやらないと、という米国の考え。
ちょうど少し前に読んだ、加藤陽子著「それでも日本人は戦争を選んだ」でも話していたことだなと、内容を思い返しながら読んでいた。
日本の古典籍を片っ端から購入し、日本から奪うという米国。米国の金庫vs日本の古典籍という構図だったが、戦後の情勢による相場の変化は勿論だが、やはり日本の歴史の長さから、最初から結果は見えていたのではないかと思う。
太宰治が少し出てきたが、その役割は太宰治でなくてもよかったし、謎だった。ゲスト出演のような感じで、面白くはあったが。
メインは大量の本で圧死したのが自殺か他殺かなのだろうが、そこはあまり驚きはなく、やはり米軍との古典籍の商談のやりとりが1番面白かった。

0
2023年02月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

推理小説読んでてこんなに熱くなることはない
戦後の日本人の「日本の文化」離れに悲しい気持ちと腹立たしい気持ちが生まれたけど、結局は再興したし、それに実際自分が戦後すぐの世で生きてたとして文化を守ろうって気になれるのかな...私も玲奈同様、果たして日本の文化を守った彼らと同じ「日本人」と自信を持って言えるか自問自答したくなる
フィクションでもこの琴岡庄司と神保町を初めとする日本中の古本屋店主の志はかっこいい
それと庄司がファイファーとの闘いの中で相手に同志意識を感じたところがやっぱり熱かった

0
2022年11月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いやぁ、良かった。
なんだか後半は胸が熱くなってしまった。
望月不欠とは?芳松を殺したのは?貴重な古典籍をそんなにGHQに売ってどうなっちゃうの?
と謎が謎を呼ぶし、ドキドキわくわくした。
あの人が太宰治って!って驚きもあり、ラストまで本当に面白かった。

0
2022年11月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

久しぶりにミステリーを読んだ。神田古本まつりの前に読めてよかった。内容はやや右寄りな記述があったが、ストーリー自体は面白かった。

0
2022年10月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

犯人探しの話かと思いきや、GHQの無謀な本買取計画に加担することになる。いくらなんでも日本中の古典籍をすべて買い取るなんで無理ではと思っていたら案の定だんだん値上がり計画は頓挫。
正直みんな死ななくてよかった感。
歴史の授業は受けましたが、日本の誇りもそんなにもたずに生きています。

0
2024年02月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

古典籍を巡るサスペンスミステリーですね。
戦後一年たった昭和二十一年終戦記念日に、神保町の古本屋で、古本に押し潰されて、一人の古書店主が死んだ。
そこから、事件は始まる。
古書店主の先輩で、古典籍のみを扱う琴岡庄治は、事故ではなく、事件ではないかとみて、真相究明に乗り出す。
話が、ここまでなら、単なる推理ミステリーなのですが、さすがに門井さんは歴史ミステリーの強者。
話が、GHQにも及んで、戦後の日本の古典籍の危機をサスペンスがらみで物語ります。
徳富蘇峰、太宰治、九条家、神田の古書店総出演で、物語を膨らませます。
門井さんの取材力と物語の構想力には畏れ入るばかりです。 
参考文献は、古典籍販売の反町茂雄さんの本が有るばかり、凄い知識力で古典籍を語ります。
対談 門井慶喜✖️岡崎武志 も興味深いものでした。

古書好きには、面白味満載のミステリーですね。

0
2023年07月07日

「小説」ランキング