あらすじ
私の人生は失敗の連続だったが、とにもかくにもその都度、全力を出して失敗してきた。失敗も全力を出せば満足に変わるのである。
今はただひとつ、せめて最期の時は肉体的に七転八倒せずに息絶えたいということだけを願っている。
愛子センセイ、もうすぐ99歳
人生が終着駅をめざして速度を落としていく……
老いとは? 死とは? 幸福とは?
波瀾万丈の人生から紡ぎ出された感動のラストメッセージ
佐藤愛子(さとう あいこ)
1923年(大正12年)、大阪に生まれる。甲南高等女学校卒。小説家・佐藤紅緑を父に、詩人・サトウハチローを兄に持つ。
1950年(昭和25年)、「文藝首都」同人となり本格的に創作活動を始める。1960年(昭和35年)、「文學界」に掲載された「冬館」で文壇に認められ、1969年(昭和44年)、『戦いすんで日が暮れて』で第61回直木賞を、1979年(昭和54年)、『幸福の絵』で女流文学賞を受賞。
2000年(平成12年)、佐藤家の人々の凄絶な生きかたを、ありありと描いた『血脈』で第48回菊池寛賞を、2015年(平成27年)、『晩鐘』で紫式部文学賞を受賞。2017年(平成29年)、旭日小綬章を受章。
ユーモア溢れる世相風刺と、人生の哀歓を描く小説およびエッセイは多くの読者の心をつかむ。
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Posted by ブクログ
老い、死、人生、幸福、性(さが)、家庭教育、人間、男と女、夫婦の9つのテーマについて、今年100歳を迎える著者の存念が語られています。佐藤愛子「あぁ面白かったと言って死にたい」、2022.9発行。①昔は「毎日が敬老の日」だったから、そんなものは必要なかった ②下痢によって肉体が活性化するように、心の痛手によって人間性が豊かになる ③幸福とは「元気がいいこと」ただそれひとつ ④人の信頼を得るには何よりも「正直さ」である ⑤中年にとって大切なものは身ごなしの機敏さ。
Posted by ブクログ
『上機嫌で憤怒する
まことに人間万事塞翁が馬だ。加福はあざなう縄の如しだ。不幸な結婚は私を作家にしてくれた。借金は金への執着から私を解き放ってくれた。
思うに任せぬ現実に突き当たることによって、私の価値観は少しずつ変わって行った。おそらく生きようとする私の本能が私をそうさせたのだろう。私はいつで上機嫌でいたい人間である。憤怒する時でさえ、私は上機嫌で憤怒する。上機嫌で憤怒する芸当を薬籠中のものにするには、余計な情念、怨みつらみはすてなければならないのである。 「上機嫌の本」 』
書店でこの文章に出会い、興味が湧いた。 『上機嫌で憤怒する』作家・佐藤愛子に興味が湧いた。 じっくり読んでみたいと想った。
波瀾万丈な彼女の人生から生まれた、ときに独特で、ときに真摯な、それでいてちょっとユニークな思考は刺激的で、わたしを面白がらせた。
また、『不如意あってこそ』のように、歳を重ねたからこそ共感できるものも多々あり、嬉しかった。
『不如意あってこそ
生きるということは我慢したり、不如意や不幸を耐え忍んで乗り越えていく努力をするこのに意味があるんです。自分の求めるものをすべて獲得することが幸福という考え方に対して、基本的に私は疑問を持つ。
不如意があってこそ人生は面白いんですよ。充実するんですよ。 「日本人の一大事」 』