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Posted by ブクログ
『筆者の解説付きで二度おいしいSF短編集』
筆者の様々な体験、問題意識を主題として描かれたSF短編集。テーマは多岐に渡り、全体的に暗い雰囲気の中にも温かさが感じられる、経験したことのない様々なSFの世界が楽しめた。
Posted by ブクログ
過去の短編とエッセイ、新作短編をまとめた本。
表題作はネビュラ賞、サイエンス・フィクション・クロニクル賞、ローカス賞、ヒューゴー賞を受賞した、バトラーの短編の代表作。
エッセイ二篇はどちらも「書くこと」について書かれていて、特に『書くという激情』はプリントして持ち歩きたいぐらい沁みる。大事なのは「粘ること。」
短編の方では新作短編のどちらも好きだけど、特に『マーサ記』がよかった。神に選ばれたマーサが、人間にひとつだけ変化を与えて「いまほど破壊的でなく、より平和で持続する生き方」をするよう、神と対話しながら考える。到達するのが「眠るたびに見る夢に現実味を持たせ、個人の希望や興味を叶える夢を見させて、自尊心や満足感を与える」ということだったのも、よく考えられていると思う。
あと、神とマーサとの会話がステキすぎる。後半でツナサラダのサンドイッチを神に勧める辺りなどもう悶えるぐらい。ドラマ版『ウォッチメン』のドクター・マンハッタンとシスター・ナイトの関係性や会話のようなロマンチックさがある。
各作品の終わりにそれぞれあとがきが付けられていて、執筆に至る背景や着想を得たものなどについて書かれていて、それも興味深かった。
目次で「新作短編」の文字列を読んでご存命とばかり思っていたけど、著者は2006年に亡くなっている。
訳:藤井光
Posted by ブクログ
ヤマシタトモコ先生が読まれていたので読んでみた。
久しぶりにSFを読んだので、最初は世界観や人物関係を理解するのに苦労した。
表題作の「血を分けた子供」では特に読み進めるのが難しかったが、少しずつ不思議な社会システムが理解できたところでテーマである愛が浮かび上がってきて圧倒された。
自己破壊的な遺伝病に苦しむ「夕方と、朝と、夜と」は精密な設定で読み応えがあった。作者が後書きでお薦めしていた本もいつか読んでみたい。