【感想・ネタバレ】人類冬眠計画 生死のはざまに踏み込むのレビュー

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Posted by ブクログ 2022年07月31日

面白い! 生化学的な説明会ではさすがに専門用語と言うか名称が連続する部分もあるが、全て理解・記憶する必要も無いので、要点を理解、筆者の熱量を読み取れれば楽しい。「ここまて出来ました!」的な内容では無いが、可能性と新たな問題、新たな地平が見えて来るような感覚。

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Posted by ブクログ 2023年03月26日

コクーンの中で眠り続けて何万光年も先の宇宙のどこかについたときに、ゆっくりと蓋があがって目覚める…みたいなのを想像していたけれど、どうもそういう話しではなく…10分の速読では読み取れず ˘˘̥( ᵒ̴̶̷̥́ _ᵒ̴̶̷̣̥̀ )

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Posted by ブクログ 2022年07月21日

人工冬眠の実現に向けた研究について紹介。
冬眠の本質は細胞レベルの低代謝であることなど、冬眠とはどういうものかや人口冬眠に向けた課題などについて理解が深まった。
人工冬眠の実現は、医療等の面で画期的であり、タナトフォビアである自分にとっても夢のある話だと思ったが、冬眠についてはまだわかっていないこと...続きを読むだらけであるということも理解し、その道のりはまだまだ遠いなと感じた。
マウスを冬眠様状態に誘導するという著者らの研究についてその経緯等が詳述されていたが、とても興味深い研究だと思った。生物学をはじめとする科学的研究の一つのケーススタディとしても本書の内容は面白いと思った。

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Posted by ブクログ 2022年06月01日

冬眠できるかどうかは別として、なんか、すごい。発見はいいけど発明は倫理的に科学者の責任だ、はほんとにそれでいいのかな。

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Posted by ブクログ 2023年01月02日

マウスを冬眠させるための神経回路(Q神経)が見つかったという論文がNatureに掲載され、大々的なプレスリリースが行われたことはなんとなく覚えていたので一読。

冬眠って今まで考えたこともなかったが、全身がそのモードに入らないといけないわけで、全身に信号を伝える系が必須になる。脳神経系を介するものな...続きを読むのか、ホルモンによる液性のものか、いまだにはっきりしなかったり、かなり未知の領域らしい。と、いうのも通常の動物は一年に一回しか冬眠しないので研究のチャンスがないということが大きい。著者らはマウスでの神経回路を発見したわけだが、ヒトに同じものがあるのか、あったとしても末梢で冬眠反応を起こすような回路が残っているのか、まだまだ課題は多いようだ。

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Posted by ブクログ 2022年08月22日

SFの世界がまた近づいている。
人間の冬眠が実現化された後の様々な問題にも興味(そんな呑気な表現で良いのかどうか)が湧く。

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Posted by ブクログ 2022年08月16日

途中、やや専門的な内容も出てきますが、全体的にはボリュームもコンパクトで読み易くまとめられていました。人工冬眠というと、どうしても宇宙系の映画で銀河系の遥か彼方に向かう際に宇宙飛行士が入るカプセルをイメージしてしまい、著者の意図する医療への応用が想像しにくいのですが、それにしても、マウスでの冬眠が実...続きを読む現できたことから、この技術が全くの夢物語ではないことが語られ、なにやらワクワクさせられます。

タイミング的に、ちょうど、ドラマ「パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル」で冷凍保存がモチーフとして使われた時期だったので、読んでみた次第です(といっても、あちらは死体の冷凍保存で冬眠とは違いますが)

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Posted by ブクログ 2022年06月27日

人類冬眠計画
~生死のはざまに踏み込む~

著者:砂川玄志郎
発行:2022年4月14日
岩波書店

「春眠不覚暁」というが、僕は春より冬の方が眠い。FBにも何度か書いた。そして、冬に眠いのは当然で人間も昔は冬眠をしていてその名残だとの解説が、最近ではマスコミでもしばしば見る。しかし、この本を読む限...続きを読むり、そんなことは書かれていない。

著者は小児科医(臨床)、医学博士(京大)で、現在は理化学研究所生命機能科学研究センター上級研究員。人が冬眠することは可能か、どうしたら実現できるか、真剣に真っ向から取り組んでいる。「2001年宇宙の旅」や「エイリアン」で見た人間の冬眠は、時間がかかる宇宙の移動に際して、食糧や水の節約に有効だし、乗組員が年を取るのも押さえられる。だだし、この本によると、後者についてはよく分からないようである。

著者は2001年に京大医学部卒後、大阪赤十字病院の小児科に自ら望んで勤務した。当時は多くの科をローテーションする義務はまだなかった。2年後、小児重症例をたくさん経験したい思いから東京の国立成育医療センター(日本唯一の小児科専門ナショナルセンタ-)に移ったが、あまり興味のなかった麻酔と出会うことに。それが人間の冬眠研究へと繋がることになった。

全身麻酔をすると人は死んでしまう。まず筋肉が動かないから呼吸ができない。そこで人工呼吸で肺に空気を送り込む。また、体の末梢組織が必要とするエネルギーも供給できなくなる。とくに心筋細胞や神経細胞は活発。そのためには、血圧調整をして循環を維持し、血液によって酸素やグルコースなどの栄養分を全身に送り届け、二酸化炭素などを回収する必要がある。呼吸と循環が欠かせない。

そんな中、著者は衝撃的な2004年発表の論文に出会う。アフリカのマダガスカル島で、霊長類でありながら冬眠をする猿「キツネザル」が発見されたというものだった。36~37度の体温が5日以上も20度台になっているという。人間なら数時間でも30度を切ると生命の危機に。同じ霊長類なので人間も冬眠できるのではないかと思った。麻酔中に外部から補わなければならない末梢へのエネルギー(呼吸と循環)について、冬眠であれば需要そのものが落ちる。医学上も役立つ。

冬眠が実現すれば、今の医療では助からない患者を救えるのではと思った。死の近い患者を冬眠させて本格的な治療が始まるまで時間を稼ぐこともできる。冬眠に興味を持った著者は、京大大学院に入るとともに、理化学研究所神戸研究所に入って10年間、睡眠研究に専念した。

2015年に休眠研究を本格始動。大きな課題があった。
●どんな冬眠動物を対象にするか。
クマ、リス、ハムスター、コウモリ・・・
①入手が困難、飼育が困難な動物が多い。ハムスターは購入しやすいが、ゲノムができる限り似通った動物の方がよく、それが入手のネックとなる。
②遺伝子改変が難しい。これだと実験スキームに乗らない。ハムスターは、遺伝子ノックアウト(特定遺伝子の破壊)は可能になりつつあるが、特定の遺伝子を改変することは難しい。
③冬眠は好きなときにできない。1年に1度、動物は食料を蓄えたり、肥満になってエネルギーを蓄積したりして、準備をする。それでも直ちに冬眠するわけでもない。研究が難しい。
→上記の問題をクリアできる動物として、唯一残ったのがハツカネズミ(マウス)だった

マウスを使う困難さの解決①
睡眠判定が難しい。人間なら20箇所取り付ける脳波測定の電極は、脳が小さいマウスの場合は2箇所。電位差が小さいので測定は難しい。しかも、暴れるので頭蓋骨にしっかりねじ込まないといけないが、それをすることですでに睡眠に対して重大な影響を与えていることになる。
→結局、呼吸の微妙な圧力差により睡眠判定することに成功

マウスを使う困難さの解決②
どのように操作して冬眠させるか。視床下部視索前野(POA)は体温調整に大きく関わっている。2017年末、筑波大の櫻井教授が、POAの中の、QRFPというペプチドを含んだ神経を興奮させると何日もマウスが低音状態になることを発見。Q神経、Qマウスと名付けられた。QマウスのQ神経を興奮させて体温低下させた状態をQIH(Q神経誘導性低代謝)と名付ける。

外気温20度でQIHのマウスの酸素消費量は通常の約75%低下することが判明。人間なら全身麻酔で人工呼吸にしても25%程度しか低下しない。

冬眠状態へ導く研究は、大体このあたりまでしか書かれていない。その後は、人間を冬眠させられるかどうかという実現性や、そのために必要なことなどが検討されている。
①冬眠する霊長類が存在すること②体の大きなクマも冬眠する③雪山で遭難して奇跡的に助かった人の存在
この3つの理由から、著者は人間の冬眠は可能であると考える。

人間が冬眠する場合、最も大きな問題は低代謝に耐えられるかどうか。低代謝は、ほぼ低酸素状態で置き換えられる。では、なぜ酸素が必要なのか。それは、食べ物からエネルギーを取り出す際に、酸化させているから。グルコースなどの科学エネルギーが詰まった分子を酸化させてエネルギーを取り出す。

低酸素でそれができないとなると、酸素とは別の方法でエネルギーを取り出す必要。哺乳類には解糖系という酸素を使わない経路が存在するが、燃費が悪い。他の冬眠動物でもそれをしているものはない。もう一つの方法は、必要な酸素要求量を下げること。冬眠動物はどうやってそれをしているのか、2020年段階では不明。

冬眠に導くためには、脳からの指令で入る方法と、末梢組織を〝その気にさせる〟方法とがある。

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冬眠動物は体温が落ちる。最も低い体温として記録されているのは、ホッキョクジリスのマイナス2.9度。氷点下になっても血液が凍らずに循環している。一般的に2~10度ぐらいの体温で冬眠するが、人間だと死に至る体温。

冬眠中の哺乳類の動物は、数ヶ月にわたって体温の低い休眠と、正常体温の途中覚醒を10回程度繰り返す。体温が低下しているから休眠期は正常体温期と比べて代謝が落ちているという印象を持ちがちだが、研究によりそれは否定されている。体温が低下したから代謝が低下したわけではなく、代謝が低下したから体温が低下しているということ。一方、爬虫類や両生類は冬眠中でなくても体温が下がると代謝が低下する。つまり、体温が下がれば冬眠状態になりうる。

1日の中で短時間の休眠をする動物が存在する。「日内休眠」と呼ぶ。マウスは代表的な日内休眠動物。日内休眠は冬眠と比べて期間が短く停滞者の程度も浅い。エサがなくなったときに休眠するものもいれば、毎晩決まった時間に休眠をする日内休眠動物もいる。ゴールデンハムスターは冬眠も日内休眠もするハイブリッド型。

化学反応は温度が高いほど進みやすくなるが、体内ではこれに反する現象が存在する。サーカディアンリズム(既日周期)は生体が持っている24時間周期のリズムのことで、温度補償性があり、温度が変わっても周期が変わらない。冬眠動物が、著しく体温の低下する冬期にこれが保たれているかどうか、今後の解明が待たれる。

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