【感想・ネタバレ】ワンダーランドに卒業はないのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

あの、中島さんによる、児童文学エッセイ。幼い頃から、こんなにも児童文学に親しんでいたなんて、羨ましい。しかもお姉さんという、価値を共有できる人までいて。

私が児童文学を読み始めたのは、大半が、20歳をすぎてからだ。私にとっての最初の児童文学は、小学4年生の時母から与えられた『くまのプーさん』で、金色のシールがついていたので良い本だろうと思ったとのこと。プーさんはすぐに私の友達になった。同じく銀のシールがついていたという理由で、宮沢賢治も与えられたが、この時はさっぱり興味を持てなかった。天才詩人の卓越した感性に、スカスカの脳みそな小学4年生の私はとてもじゃないがついていけなかった。父からは子供の頃の愛読書だったという岩波文庫の『ロビンソンクルーソー』(本書には紹介されていない)をプレゼントされた。こちらは、かなり夢中で読めた。『宝島』も、この頃読めていたらどんなに良かっただろうと思う。出会うタイミングというのはとても大事だ。このエッセイを読みながら、私もたくさんの物語を思い出して、その頃の自分に思いを馳せた。

もちろん、中島さんはもっとたくさんの児童文学を読んでいる。ここに収められたのは、「子供の時間を思い出しただけではなく、大人になったいま、書いてみようと思わせた18作」にすぎない。
読んでみたけれど、さほど面白くなかったものもあったそうだが、それでもまだたくさんの「書いてみようと思わせた」物語があるに違いない。あの物語についても、この物語についても、中島さんの話を聞きたかった、と思う本がたくさんある。ワンダーランドについて語り合える大人は、周りにそういない。
コロナ禍で家にばかりいた頃に、色々な本を読み返したことがこの本のきっかけらしいので、これからは多忙になり難しいかもしれないが、ぜひさらに18作追加して、もう一冊作って欲しい。熱望。

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2023年03月02日

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