【感想・ネタバレ】風車祭 下のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

わたしがこの話を興味深く感じ、書店で下巻を手にとるにいたらせたその理由は、
明和の大津波や巨大な台風災害を、話の重要な部分で
かなり大きく取り上げていること、
また島の歴史や伝承、民謡、昔話や祭りなどが、
細かに豊かに記されていることです。


石垣島を舞台に島人が書いた空想小説。
作者のかたの、生まれ島への愛が、
いとしいほどに伝わってきます。

ほんとうにこうであればなあ、と思うほど
理想的な情景、風景がちりばめられ
どこからか今にも三線の音が聞こえてくるようでした。

わたしも、もし叶うのであれば
生まれ島にはそのままの形で、ずっと平和にあり続けて欲しい。

この話の軸には、島人への、ひいては沖縄県民への
警鐘と問いかけがあります。
言葉や歌といった、島独自の歴史文化全体に対する関心の薄まり
形骸化した祭りや行事、祖先への信仰心
拡大する海岸の埋め立て地
歴史的・自然的価値観を無視した経済産業活動
これらは否めようのない事実です。


でも、わたしは最近やっと、こう、思うことができるようになりました。
人も島も言葉も思いも、そのままであり続けることは難しい。
四季の変化の乏しい沖縄では想像しにくいことだけれど、
木の葉や枝や、生きる命のように、
古いものは去り、やがて新しいものが生まれ、
絶えず世の中は変わっていくものだと。

その反対に、価値のあるものとして守り残す努力をすれば、伝え残すことはできる。
祭りや伝説や御嶽のように。
それは何がどんなふうに変わっても、
島があり続け、人が住み続ければ、それはきっとできないことはないと。

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2015年09月25日

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