【感想・ネタバレ】ニュー・ダッド ──あたらしい時代のあたらしいおっさんのレビュー

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Posted by ブクログ

さいきんモヤモヤと考えていたことに対して、解決の糸口を与えてくれるような本だった。取り上げられる作品もいちいち面白そうで、どれも見てみたくなる。(特に『ボージャック・ホースマン』…!)パートナーや親友のUくん、彼のお姉さんなど、周りのひとのあたたかさにグッとくる。

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2022年10月16日

Posted by ブクログ

映画・音楽批評家であり、「おっさん」好きのゲイである著者が、近年、鼻つまみ者になりがちな「おっさん」という存在を、海外や国内、3次元や2次元の様々な「おっさん」たちを通して語り、捉え直すエッセイ集。
“知性”、“他者へのいたわり”、“自他の尊厳”や“多様性”。そういった堅苦しかったり、小難しかったりすることが、イケてる「おっさん」たちに託されて軽やかに、ユーモアたっぷりに語られている。

あとがきで「いい男列伝」と書かれているように、本書に出てくるのは基本的にパーフェクトな中年男性なのだけれど、何度か紹介される作者の彼氏についてのエピソードは、対照的に毎回完璧ではなくて笑いを誘う。
それだけでなく、そのおかげで、このエッセイ集が「おっさん」たちへの“完璧であれ”というプレッシャーと化さずに済んでいるのかもしれない。「おっさん」たちを責めるものではなく、自他それぞれのしょうがなさを見つめ合いながら、何かを新しく考えようとする姿勢が、これらのエッセイとコラムの間に見える気がする。

フェミニズムやポリコレといった言葉に気後れしてしまうひとにこそ読んでほしくなるような、より良い未来への可能性を少しだけ身近に感じられる本。

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2022年08月01日

Posted by ブクログ

最高〜

木津さんは確かにゲイのおっさんで、そういう視点で選んでいる(ヒゲでしっかりした体みたいな)とも言えるのだが、ストレートのひとでも、魅力を感じるのではというおっさんが紹介される

本当の意味での男女平等は、女性自身の権利の主張だけでは達成され得ないと思うけど、こういう魅力的なおじさんたちは、その一翼を担うんじゃないかな(自分もそうなりたい)

最後のbon iverと、友だちとのBBQパーティの話はすごくよかった
これぐらい本当に好きなモノ、ヒトがあるっていうことって、すごく幸福感を高めてくれるだろうし、そういう存在がいたら、なれたらと思う

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2023年08月19日

Posted by ブクログ

StrangerThingsでの最高なイケオジに心を射抜かれた身としては頷きまくりな内容でした。木津さんのおじさんへの愛も溢れてて、素敵。

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2023年02月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

p9
ハラスメントはセクシュアリティやジェンダーによらず問題であるし、ゲイ表象におけるハラスメントが笑いに転化するのはホモフォビックとすら言える。

p147
 トキシック・マスキュリニティは便宜上「有害な男性性」と訳されることが多いが、本来「トキシック」には「有毒な」という意味合いがあり、つまり、当の男にとっても毒のようにじわじわ効いてくるものである。

p210
セクシュアリティと関係なく、男性が男性の優しさや思いやりにときめくのは自然なことだし、それがきっかけで悩みが和らいだり気持ちが楽になったりすることもたくさんあると思うからだ。


映画や音楽のライターをされている著者の新しい「おっさん」に関する本書。ニューとオールドが共存する奇妙なタイトル。オープンにされているゲイセクシュアルの方で、記事もいくつか読んだことはあり、興味を持ち購読。
本書は、エッセイでもあり、コラムでもあり、映画や音楽、役者、アーティストの良質な批評でもある、と自分は受け取りました。だから、幼少期のこと、カミングアウトのこと、家族や友人、パートナーのこともあけっぴろげで、著者のバックグラウンドがどのようにカルチャーに接続されているかもわかりやすいかもしれません。
テーマは「ニュー・ダッド」ですが、右往左往しながら書かれていると同時に、その答えが読者や社会に委ねられているのもこれはこれで◎。若干、読み手側のリテラシーや基礎知識的なものも試されるかな、と思う部分もありますが、これからのジェンダーの在り方について考えるには基礎教養として必要なのかもしれません。

自分が子供の頃のテレビではまだ、ホモやオカマやオネエという単語が平気で使われ、それが普通に笑いのネタにされることも少なくない時代でした。『フレンズ』好きだけど、確かにアウトな内容も多い。好きだけど。自分はそれが面白いのかどうかわからずに眺めているだけ、という場面が多くあったように思います。ただ、そこで笑う人と笑わない人の差はどんなところがあるのだろうか、ということを最近よく考えます。今はアウトは、昔はセーフではないのだから。
つまるところは対話や理解の欠如かもしれません。真面目にやると途方にくれるし、大変なことですが、それをカバーするユーモアと優しさが本書には含まれているのかな、と思いました。
シスジェンダー、ヘテロセクシュアル、ストレート、30代、という自分のカテゴリを深く意識したことは少なく、こういった書籍を読むことによって、考えるきっかけや他者への想像を促す良著でした。

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2022年09月18日

Posted by ブクログ

様々な価値観が急速にアップデートされているこの時代において(もちろんそれ自体は良い事)どんどん肩身が狭くなっている「おっさん」という生き物。私も今年35歳になったので他人事ではいられない。著者は欧米のポップカルチャーに触発される形で「ニュー・ダッド」という言葉を創作し、それを理想像として目指すことでトキシック・マスキュリニティを乗り越えようと提唱する。各章ともポップカルチャーを出発点にしているおかげで読みやすく、同様のテーマを扱う書籍でたまにある「あれもダメこれもダメと正論で叩かれ続けて読んでる内に辛くなってきた…」という事態も無い。職場でこういう言動はNGみたいなお手軽ハウツー本と異なり、頭の中にじんわり浸透してきて考えるきっかけを与えてくれる一冊。

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2022年08月21日

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